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はじまりの前のおわり・・・世界から世界へ
「なぜ?なぜ、あなたが?」
彼女は自分の胸を貫いた剣に手をやる。
両手は血に染まって真っ赤だ。
もはや激しい痛みを感じることすらないのは、自分の身体から命が離れようとしている故か、、、もはや肢体は麻痺して何も感じないのだ。
向かい合う彼に手を伸ばそうと、僅かに残る力を振り絞るが、震えるその手すら彼には届かない。
「あな・・・た・・・が・・・な・・ぜ?・・・わ・・たし・・・を、、、ゴッボッゴッ」
言葉を紡ぎたい口からは、もはや血が吐き出されるばかりだった。
なぜ、、、わたしを、、、ころすの?
意識が最後に留めたのは、宙に浮いたその疑問。
生と死のはざまで、、、彼女の瞳は彼を見つめながら、、、彼女の命はそこから去ったのだった。