表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

忌み子ちゃんとプロローグ

 拝啓お父様お母様、そちらはもうご無事に目的地へ到着しておられますでしょうか。きっとお二人ならご無事に辿り着けると私は信じております...


 って言うか辿り着けてないと困ります。やれ忌み子だ、やれ穢らわしいだ...そんな罵声を実の子に浴びせ続けて毎日毎日殴る蹴る...終いには魔物の生き餌として突き出そうとする...そんな腐った人間が地獄に行かなかったら一体神様は誰を地獄送りにするのでしょうか?


 あ、失礼しました。どうもみなさん、初めまして。私の名前はリリィ、ただのリリィです。


 この人種差別が“殆ど”無い国...『ベルファ連合王国』で産まれ落ちた類稀な忌み子、この国で唯一嫌われて差別される存在です。多種多様な人種・肌の色・髪の色、たくさんの特徴を備えた人々が居る中で忌み子として見られる人々は一般的に”魔族“と呼ばれています。


 そんな魔族の特徴は2つあります。1つ目は髪の色が白い事、そして2つ目は目の色が紅い事です。


 この世界の嫌なところは目が紅いだけ、髪が白いだけだと対して差別を受けないところですよ。別に変わらなくないですか?私はかわいいと思うんですけど...世間はそう言う評価にはならないみたいですね。悲しいです。


 嫌われてる理由としてはかつてこの世に存在して暴虐の限りを尽くした魔王とその配下達が白色の髪に紅い目をしていたからだとか...そんな昔の事引きずられ続けても知らないですよ全く...


 え?そんな世界で生きていくのは大変だろうって?心配してくださるんですね...皆さんは優しいです...でも心配はご無用ですよ!だって私...


もう、死んでますので


 な...なんです?拍子抜けでした...?もしかして『そんな差別がある中で頑張って生き抜こう!』的なお話だと思ってましたか?


 いやぁ...なんて言うか...そう言うの期待してくださっていたなら申し訳ないです。だって普通に嫌になりますよあんな世界、死んだ方がマシと言う言葉はこのためにあるんじゃないですかね。


 16歳の誕生日の日にそれはもう盛大に死んでやりましたよ。詳しく知りたいですか?いやぁ...ちょっと気が引けるのでまた今度って事で...


 それでまぁ、私が呪ってやる的な死に方をしたので両親は精神崩壊してお母様は発狂して死に、お父様はストレスで酒を一気飲みして死にました。ざまぁ見ろって感じです。それで始まりの文があんな感じになってるってわけですよ。まぁ、せいぜい地獄観光でも楽しんでください...


 ん?私ですか?私はまぁ...地獄にいますよ。ただの地獄じゃないですけど。女神様が言うには...


『申し訳ないんだけどねぇ〜』

『自殺した人は魂の循環の優先順位が最下位になっちゃうのよ〜』

『かわいそうだとは思うんだけど順番が来るまでそこから動けないから...まぁ...頑張れ♪』


 と言っていました。んま、仕方のない事です。仕方のない事ですが、なんですか『頑張れ♪』って他人事みたいにムカつきますね...


それにそこから動けないって、死んだ場所から動けないって事ですからね?黄泉の世界にすら行けないんですよ?何が悲しくて因縁しか無いこの屋敷にずっと居なきゃいけないんですかね?

 

ほんと、地獄ですよ地獄。私と似たような境遇の方達はこの状態の事を《無間地獄》と呼んでるようです。言い得て妙ですよね無限の様に感じられる時を死んだ場所で耐え続ける...ほんと、この世界にはつくづく救いがありませんね。


「リリィちゃーーん!ちょっとこっちに来て〜」

「面白いものが見れるわよ〜」


「ちょっと待ってください!今皆さんに私の説明を...」


「皆さんってだぁれ?」


「そりゃもう...皆さんですよ」


「???」


 あぁ皆さん失礼しました。この方は《女神様》です。さっきの他人事な台詞を吐いた張本人です。


「どうも〜皆さん、女神でーす♪」


「はいはいよろしくよろしく」


「ちょっと雑すぎなーい?」


「あぁはいはい」


「むぅー」


 この女神様の名前は俗称でもあり個人名でもあります。何せ女神様と言ってもたくさん居るようで、この女神様はそのひとりだそうです。


その上、あの世では名前はあんまり重要じゃないみたいで全ての女神様が“女神様”らしいです。なんだかややこしいですよね、わかります。


「えぇーじゃあリリィちゃんが名前をつけてくださいよ〜」


「いやです」


「つれないなぁ〜」


 さて、この女神様がなんで私の死んだ場所に居るのかと言うと...


「普通の人はこんな屋敷で自殺したりしないから〜」

「この場所だったらいろんな人を観察できて面白いんだもん♪」


だそうです。なんでも、女神は無間地獄の人たちを見回る時くらいしか下界に来れないんだとか。でも大体は狭い部屋とか森の中とかで命を断つからそんな場所見てもすぐ飽きちゃうと言ってました。


 こんな女神の話はこれで終わりにしましょう。それに言いたい事もほとんど言っちゃいましたし。


「わぁ!わぁ!リリィちゃん!すっごいわよこれぇ〜」


「あーもう!わかりましたから!」

「今行きます今行きます!」


「早くリリィちゃん!終わっちゃうわよ〜」


 ではみなさん、短い間でしたがお話を聞いていただいてとても嬉しかったですよ♪


次回からはもっとじっくり私の無間地獄で起きる変な事を私と一緒に...


「私もよ〜」


...このクソ女神と一緒に観察していきますので、どうかお楽しみに。楽しいかどうかはわかりませんが...


 では!また次のお話で会いましょう!バイバイ!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あー、終わりました終わりました」

「で、何が見られるんですか?」


「あれよあれ〜♪」


「あれ...?うげ...これが面白いとかあなたも良い性格してますね...」


「あれ?リリィちゃん、なんかまだ赤い光がついてますよ?」


「え!?」

「早く言ってくださいよ...!」

プツッ




閲覧いただきありがとうございます!

どうか些細な事でもコメントなどいただければとても嬉しいです♪


次の作品も楽しみにしていただけたら幸いです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ