ルインウッド
ユーディット様達は様々な冒険を経てこのルインウッドまで到達しました。彼女達のおかげで、私も道中危険な事もあまりなくここまでスムーズにこれたのです。
しかし、この土地からは私もある程度の危険は覚悟しなくてはなりません。ここはもう人間の領域ではないからです。
ルインウッドはかつて高度な文明が栄えた土地だといいます。ですが、今は広大な廃墟と化しており、立ち並ぶ巨大な廃墟がまるで森のように見えることからルインウッドと呼ばれているのです。
ユーディット様達はここを探索し、根城としていたモンスターを退治した後魔王の居城へと向かったと言われております。しかし実際に彼女達の姿を確認したのはこの土地の入り口にいた人が最後です。この先には人間が住んでいませんからね。
「ああ、確かにここからルインウッドへ入って行ったよ。ずっと聞こえていた魔物の恐ろしい唸り声ももう聞こえなくなったし、きっと退治してくれたんだろう」
との事でした。
もうこの先は私自身の目で彼女達の活躍を調べなくてはなりません。意を決してツタに覆われた、見上げるような四角い建物の森に足を踏み入れました。
「古代の人々は一体どのような生活をしていたのだろう?」
とても不思議な場所です。建物の中に入ると、滑らかな石の壁に仕切られたいくつもの四角い部屋で構成されていました。
「何か過去の事が分かる資料はないかな、石板とか」
羊皮紙などは長期間の保存が難しいので、やはり後世に何かを伝えるには石に刻むのが一番だとよく分かりました。全てが終わって帰ったら私の詩も石板に刻む事にしましょう。
「これは……戦闘の痕跡だな」
勇者達は確かにここで魔物達と戦いを繰り広げたようです。更に調べてみましょう。
いくつもある廃墟の群れは、どれも階段で上る事が出来ました。全てを調べるのは骨でしたが、モンスターが襲ってくる様子もないのでじっくりと調べられました。
調査の結果分かったのは、ここでユーディット様達が倒したモンスターは魔王の配下ではなく古代からこの地を守り続けていた守護者のような存在だったという事でした。
そして、モンスターがいないのはこれまで各地を守っていた守護者が撃退したためでした。守護者は全て殺されて、いや破壊されてしまったので、このまま魔王を倒さずに帰ってしまったらここも魔物の支配下になってしまう事でしょう。
破壊されて、と言い直したのはここの守護者達はどうやら生物ではなくゴーレムの一種のようなものだったからです。破壊されたゴーレムの残骸があちこちにあったので分かりました。
さて、もう少しこの地を調べてみましょう。