有名な冒険者達の故郷
ここが彼等が旅立った場所ですか、なかなか牧歌的で良いところですね。
おっと失礼しました、私は名も無き吟遊詩人でございます。私は今世界中で話題になっている、ある冒険者達の冒険の記録を作成しているところなのです。
何のために? それはもちろん、彼等の活躍を詩にして後世に語り継ぐためでございます。それが吟遊詩人としての私の使命と考えておりますゆえ。
では参りましょう。数々の魔物を打ち倒し、数え切れぬほどの人々を救った英雄達の冒険を詩にする旅へ。
「こんにちは! 今日はいいお天気ですね」
村の人に笑顔で挨拶をします。このキルカ村は冒険者達が生まれ育った村であり、私以外にも多くの人間が取材の為に訪れている様子です。
「はいこんにちは。あんたもユーディット達の話を聞きに来たのかい?」
「ええ。私は吟遊詩人をしておりまして、多くの人を救った彼等……いえ、彼女等の冒険の旅を詩にしたいと思いここに来させて頂きました」
そう、冒険者達のリーダー、ユーディット様は女性の方なのです。
「そうかいそうかい、何もない村だけどゆっくりして行きなさい。あの子達の話ならみんな喜んで教えてくれるだろうさ」
「ありがとうございます」
とても好意的に受け入れて下さいました。やはり自分の村の出身者が英雄になると気分が良いものなのでしょう。
私は村の人達に彼女達の話を聞いて回りました。
パーティのリーダー、ユーディット様はこの村でも人望が厚く皆から慕われていたようです。剣を学んだのは隣町で、幼い頃から定期的に通っていたそうです。
攻撃魔法を得意とするクロウリー様はどちらかと言うとインドア派で、小さい頃から読書家だったようです。インドア派とは言っても、人付き合いは悪くなかったようですね。
回復魔法を得意とするマリア様は村にある小さな教会で働いていたシスターで、赤ん坊の時に教会に捨てられていたのを神父様が保護し育てていたという事です。誰が捨てたのかを詮索するのは野暮というものでしょう。
パーティの金銭管理や道具の運搬を任されているヨハン様は力自慢の木こりだったそうですが、非常に真面目で義理堅い性格なので財布を持たされているそうです。
そんな彼等が冒険の旅に出るきっかけとなったのは、村に現れたモンスターを退治した事件だと言います。
「その事件を詳しく教えて頂けますか?」
私はその事件を最初の詩にしようと決めたのでした。