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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第三章 『休暇☩旅行』
89/139

料理と戦っています。

キルエル君は誕生日を迎えて12歳になりました。

 キルエル=ヴェルモンド 12歳 レベル39 男性

 HP1040 攻撃力1025 防御力1444 素早さ947 魔力967 精神力-519 運2

 スキル:『浮遊』

 加護:『渡り人の加護』

 属性:闇 無

 

 追加で状態異常が『全ステータス大ダウン』。効果はステータス半減。実質クリティカルダメージが通常ダメージだ。そしてノゥアが居ないため。全属性耐性もマイナスである。受ける魔法ダメージが2倍である。

 

 ジォス=アルファイド 12歳 レベル1300 男性

 HP35920 攻撃力38222 防御力40000 素早さ32988 魔力39804 精神力50212 運497

 スキル:『神出鬼没』『魔法破壊』『スイッチ』『奇想天外』

 加護:『人外の加護』『変人の加護』

 属性:火 水 雷 土、風、氷 善 無 竜 王

 

 ジォスは『百鬼夜行』で唯一単体最強を誇るキャラだ。レベル1000を超えているだけあって馬鹿みたいな火力が出る。ちなみにジォスは基本的に装備をしないため生身でこのステータスである。ちなみに精神力50000を超えているため常時『ハイテンション』『超やる気』『脳内麻薬』などなどが発動しているため、攻撃力実質90000で、クリティカル率は驚異の300%、被ダメ50%軽減やら『吹っ飛ばし無効』が付いている、裏ボスも涙目みたいな状態になっている。


 う~~ん。・・・・バケモン。

 

 ダルマオ・トシ=ヴィアチェ 44歳 レベル110 男性

 HP4580 攻撃力5001 防御力3402 素早さ5020 魔力4908 精神力2438 運200

 スキル:『シャッフル』『変身』『厚顔無恥』

 加護:『親バカの加護』『仲介の加護』『指揮者の加護』

 属性:光 闇 善 竜


 こちらがネット対戦の環境を現在掌握している壊れの一角、ダルマオだ。役割が『魔獣使い』でモンスターをパーティメンバー数度外視でバトルに参加させたりできる上に、『変身』を持っているため従えるモンスターに変身出来たりとモノによっては大きく化けるキャラだ。


 勿論、その類いまれなる『魔獣使い』の性能は凄まじいが、ソレだけでが環境を制する理由ではない。別の要因で彼は環境へと上り詰めたのだ・・・。


 『知らないスキルや加護がありますけど・・・』


 キルエルが説明を要求してくるが、ぶっちゃけソコまで説明している暇はない。目の前の料理がヤバすぎてもうヤバい(語彙力崩壊)。


 慌て過ぎて語彙力を失っている僕の目の前にはジォス、ダルマオと戦闘をしているノゥアの作った料理が居る。樹木の足ではうまく方向転換できないのか、ほとんどその場を動かない。


 だが侮ることなかれ、この生命体は前後左右から攻撃を放つことが出来る仕様になっている。その上かなり上位の魔法を使ったりと鈍足代わりの攻撃性能面に関してとんでもない力を持っている。そして何よりも僕はこの場を動くことが出来ずにいる。


 ずっと生命体の動きを見ているだけで、僕の足は微動だにしない。それは何故か?


 決してあまりの迫力に怖気づいたという腑抜けたモノが理由ではない。


 「攻略本にも載ってないし、アニメでも映画でも小説でもあぁいう生命体は出てこなかった・・・。迂闊に攻撃をすれば返り討ちに遭う危険性がぬぐえない・・・」


 ダルマオのようにレベルが110もあれば一撃受けてもいいとは思うが、僕は三人の中でも最弱だ。とても彼らのように攻撃できる自信はない。だからこそ、彼らの攻撃に対する生命体の行動パターンを分析して理解する。そうでもしなければ、真面に戦闘が出来る訳がないのだ。


 そうして目を凝らして生命体の行動を監視していく。すると、自立稼働するツルの上を縦横無尽に跳躍しながらジォスが攻撃を仕掛けた。


 「しぃッ!!」


 動き回るツルを踏み越え、さらに空気を蹴り飛ばして三つ目の頭に突撃、音速のヘッドバットを食らわせた。


 「グギッ!!?」


 鈍い音と共に三つ目の頭部が大きく凹み、三つ目が驚愕の叫び声を上げる。だがソレも一瞬で凹んだ頭が隆起するかのように起伏を繰り返してあっという間に再生した。


 「『自己再生』・・・・いや、治るのが速ー上にほぼ完治・・・・こりゃーもしかしなくても『自動回復』か?面倒だな」


 ジォスは奥歯を噛んで、空気を蹴りながら後ろに後退する。あの生命体、『自動回復』持ちか・・・。他にもあるかもしれないし、もうちょっと様子見を・・・・・・。


 と思った矢先だった。


 『――――ッ!!来ます、ゲーム君下がってッ!!』


 キルエルの声が響いた瞬間、ほぼ反射で後ろに下がる。すると目の前で巨大な火柱が上がった。


 「またか、・・・・攻撃の前兆が分からなくって困るんだが・・・ッ!!」


 『いえ、前兆はありますよゲーム君』

 

 僕の歯ぎしりにキルエルが反論する。


 「どういうことだぁ・・・・?」


 『僕らが一定位置から動かないでいることですよ。おそらく・・・』


 「ッ!!」


 その言葉にハッとする僕。思い直した後、生命体の足を見る。―――そして気づいた。


 生命体の足、―――樹木はよく見れば地面から生えていることに。


 「そう仮定すると、地面から伝わる振動をあの樹木から伸びている根っこが察知して、ソコから上に魔法を発動している・・・・か。なるほど。確かにそういう風に考えられるな・・・・」


 でも、だとしたらだ。動かなければ魔法でやられ、動いたとしても何か出来る訳でもない。完全に八方塞がりだ。・・・・キルエルの助言で生命体の仕組みがなんとなく分かったが、弱点じゃねぇ。むしろ逆だ。前後左右、さらに床から根っこを張り巡らせての敵察知に魔法飛ばし、そしてダメ押しの『自動再生』ときた。


 さて、・・・・どうする。


 僕が悩みながらも生命体の分析を続けていると、意識の中からキルエルが提案してきた。


 『僕が、―――アレの相手をしましょう。ゲーム君は、引き続きアレの分析をお願いします』


 キルエルの言う通り、僕ではどうしても動くに動けない。ソコを変わってくれるというのならソレはとても良いアイディアだと思う。


 なので、「後は頼む」と言って身体の制御権をキルエルに譲渡する。


 精神が体から離れていく感覚を覚え、新たにキルエルの精神が身体に癒着した。


 S S S S 


 さてと・・・・、久々の戦闘な訳だけどゲーム君。コレ相手ならアレ使ってもいいよね?


 僕がアレの使用許可を求めるとゲーム君が『おう!』と即座に肯定した。―――なので、僕は『次元収納鞄』からアレを取り出す。


 魔龍の逆鱗から色濃く顕現する黒紫の刀身、その禁断の刀身に張り巡らされている赤紫の血脈。終焉を招く破滅の末裔が張り裂けんばかりの瘴気をさらけ出して、冥府の園から遥々と戦場に蘇み返ったことを世に知らしめる。


 「現時点(僕の中では)最強装備、―――『禍根之終焉剣・マガツ』」


 『コレで現在キルエルの攻撃力は3525、素早さ2944。問題はダメージ量だな。マガツでも正直どこまで削れるか分からない・・・』


 まずは、全体的に打ち込んで弱点探しからですかね・・・。ゲーム君も唸ってますしもう少し情報が欲しい。


 「――――るぁッ!!」

 

 「せぇいッ!!」


 僕が動こうとした矢先、ジォス君が掛け声と共に龍の頭を首ごと手刀で切り飛ばす。その時点で色々疑問が頭をよぎるが生命体も負けていない。切り飛ばされた首が消失し、斬られた部分からあっという間に再生した。

 

 そして首が回復した直後にダルマオさんがゴム製のビヨンビヨンする玩具で鳥頭のくちばしを叩き折る。さらにその横顔にフルスイングし、二度にわたる顔面攻撃を成し遂げた。すぐに再生したが。


 ジォス君はそのまま生命体の振り回す腕をパルクールで縦横無尽に駆け回りながら三つの頭に連続攻撃を繰り返す。


 ダルマオさんは残りの腕3本を相手どりながら迫りくる攻撃を叩き落としたり、ゴムの性能を生かしたカウンターを発動したりする。


 『今ならアレの注意はキルエルから削がれている。やるなら今だッ!!』


 「はッ、そうか。――――はいッ!」


 ゲーム君の注意を受けて走り出す。ツルも此方には見向きもせずにダルマオさんやジォス君の制圧を試みている。彼らには悪いけれども今は囮になってもらおう。


 素早さが装備の効果で上がっているからか、全ステータス大ダウンのデバフを受けてもおつりがくるほどに速さを感じる。


 まずは一番近い樹木の足からだ。


 「しッ!」


 幹を何本も重ね合わせた様な樹木の足をマガツで両断する。幹の数本が切れて断面を露わにするが如何せん、僕の感覚が間違ってないならダメージは全然出てなかったと思う。


 『キルエルの言う通りだな。ダメージ感覚は1だな。クッソ低い。低すぎる』


 やはりか・・・・、と期待を裏切らない返事に自身のふがいなさを感じざるを得ない。幹もゆっくりと再生していくし違うところ叩くか・・・。


 『・・・・・・・・』


 どうかしたのかいゲーム君?何か分かったことが・・・?


 『いや、・・・少しな。まだ確定じゃねぇが、少し引っかかったところがあるんだ。まぁ後で良い。キルエル、マガツの『刀狩り』が切れる前に他の部位を叩け!!』


 「――はいッ!!」


 ゲーム君の激励に身を任せて他の部位に切り傷を与える。ゲーム君から教えて貰った『刀狩り』の影響か、若干ダメージが上がっている気がする。


 『刀狩り』・・・攻撃する程、攻撃者の攻撃力が上がり、攻撃された側の攻撃力が落ちる。攻撃しないと効果が切れる。


 『刀狩り』の持続時間は発動から10秒以内だ。その間に再度攻撃成功すれば効果が重複されて発動するためかなり多くの斬撃を浴びせないといけない。


 だがずっと同じところをグルグル回って行ってもキリがない。


 「少し、飛ぶかな」


 僕はマガツを幹の足に刺しこみ、そのまま腕力に集中しつつ飛蝗脚・羽の『スプリング・改』を発動する。


 「運動エネルギー?だったかを足の一部分に集中して、―――放つ」


 ゲーム君のやっていた通りに真似をして収縮圧縮された運動エネルギーを開放する。刹那、爆発的な火力が僕の体を上に押し上げた。


 刺しこんだマガツが幹の足からトゲトゲの鱗すらも割って上昇する。なおこの間にも『刀狩り』は発動していて、手ごたえ(ダメージ)が増していく気がする。


 斬った部分は斬った直後に回復していくが、ダメージを与える速度の方が速い。


 「ソレでも一か所に集中してしまうな・・・・。全体的に切りつける技を習得しておけば良かった」


 僕がボソッと呟くと、ゲーム君がサラッととんでもないことを言った。


 『今覚えればいいじゃん!』

 

 「は?」


 『今、覚えればいいじゃん。全体的に切りつける技が必要なんだろ?・・・例えば『竜巻落とし』とかどうよ?』


 「・・・・突っ込みたい事山々なんですが、事態が事態なので・・・。どういう技何ですか?」


 『文字通りだよ文字通り。本当は二刀流の方がやりやすいし格好いいんだけど、一刀流でも出来ないことはないか・・・。上から下に、敵の全身を回りながら斬り裂く技だよ。自分を竜巻かなんかだと思って攻撃だッ!!』


 「うわぁ、すんごいテキトーですね・・・。まぁ、想像は出来たのでやりますけど」


 魔法も物理も大抵成功するかどうかは自身の想像力にかかっていると最近になって思い始めた。


 なので今回も大丈夫だと思う。


 『スプリング・改』の効果が切れて生命体の胸部分で完全停止した僕は刺しこんでいたマガツを引き抜き、そのまま生命体の肉壁を周回するように斬りつけていく。そしてソコに速さを加えるのだ。


 壁を走ったことは何回かある。村近くにある山の岩壁や崖を垂直に走り下りたり、ダンジョンの壁を走り抜けてモンスターを撒いたことだってある。


 だから大丈夫なのだ。今回も。ツルも棘も踏み台にしてさらに攻撃に鋭さに速さを上乗せする。生命体の体表も利用した走りで、僕はこの瞬間風の刃となるッ!!


 「お、キルエルスゲー事してやがるな。見た目『竜巻落とし』に似てるなー。―――ほれ、ソコのツル共、キルエルの邪魔してんじゃねーよッ!」


 僕の攻撃を防ごうとするツル3本がジォス君の手刀飛ばしで真っ二つに切り飛ばされる。そしてそのまま僕は加速を繰り返しながら生命体の全身を斬り裂いて行った。


 だがコレだ!となるようなダメージ感覚は無い。ダメージが上がっている感覚はあるが、『一撃必殺』も『+祟り』も機能してるようには見えず、まるで幻影を相手にしている様にすら感じる。


 ソレを感覚共有で感じているゲーム君が考えるように腕を組んで呟く。


 『やっぱり、樹木の足が一番ダメージ出てるって気がするんだよなぁ・・・。ダメージが上がってる割にはすぐ回復するし、手ぇ出してるのツルだけだし、何よりあの生命体事態、攻撃が通ってないような顔してるんだもんなぁ』


 「そう言われると、そうですね・・・。ジォス君とダルマオさんの攻撃はダメージがデカすぎて驚いてるような顔で、首やツルが飛んでも苦痛の表情を見せませんからね。ソコは確かに納得です」


 平気で手刀を飛ばしてツル刻んでたらソレはもうゲーム世界とやらだったら、アホみたいなダメージが出てることだろう。確かに、僕が敵でそんな攻撃されたらビビる自信がある。


 『とりあえず分かることは、・・・・この部位でダメージは実質通ってないようなモンだ。首、ツル、腕、体表は攻撃してもすぐに再生する。キルエルの言う通り、幻影を相手にしてるって感じだ。・・・一部分を除いてな』


 「一部分・・・?」


 『思い返してみろよキルエル。幹の足は上半身と比べて回復が遅い上、『一撃必殺』で回復しなかったモノも存在している。そして削った部分は幻影見たく斬り飛ばされた部分は消失してねぇ。・・・コレで導かれる答えは、もう決まったようなモンだ』


 ゲーム君の推論にハッと閃きを覚える僕。


 「樹木の足を全部削り落す・・・・。ソレが突破口ってことか・・・ッ!!」


 僕の答えにゲーム君が首を縦に振る。


 僕はそのまま『竜巻落とし』を急降下させて幹の足に迫る。


 だがソレを生命体が一早く察知し、追加で20本のツルを背中から顕現させて僕に襲い掛かった。僕は現在急降下中、背後からは僕以上の速さでその巨大な顎を開き追尾してくる。振り返って迎撃している暇さえない。ジォスも小指から放つデコピンの衝撃波でツルを蹴散らして助けようとしてくるが、ぎりぎりで間に合わない。


 そして、ツルの内の一つが大きく撥ねて僕を頭から吞み込まんとその何重にも生えた牙で蹂躙せんとする。


 「しまッ―――――――ッ!!!」


 声を上げる暇もなく僕の視界が鋭い牙で覆われた口に包まれる。


 恐怖による生存本能より刹那の驚きが勝る。ソレが命取りだった。


 後悔する暇もなく、外の景色がツルの口の中へと抹殺されていく。暗い殺意が暗器を携えて全方位から完全に僕の命を刈り取らんと迫りくる。そしてその顎が完全に閉じる前に、一人の男の叫び声を聴いた。


 ―――「『シャッフル』ッ!!」

 

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