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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第ニ章 『短期留学☩テロ』
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再会してしまいました。

 僕はアムールにお留守番させた後、『ジャウール教』の目的阻止のために『ジャウール教』の拠点となっている山に足を踏み入れた。


 そんな時だった。


 「あッ!おめーは!!」


 「げ」


 茂みの中から野生児が現れた!


 僕は『逃げる』を選択した。だが、野生児の『先回り』で逃げられない!


 「おいおい、人を見るなり逃げるたーどういうことだ!?」


 「おまッ!!その恰好で近づいてくるな何背負ってるんだ!!」


 「プルプルゲッペイガニ」


 目の前の野生児、もといジォスの背中にはもう既に息絶えたであろうプルプルゲッペイガニが縄で縛られていた。つぅか、ソレ毒持ちなんですが・・・。


 いやそもそもの話。


 「何でそんなモノ背負ってるの?ソイツの生息区域もっと北の方じゃね?」


 「あぁ!カニ喰いたかったからな!!」


 日本語が通じねぇ・・・。


 「ていぅか、お前。プルプルゲッペイガニは甲羅に猛毒が含まれてるし、安全に処理しないと内臓の毒袋の中身が溢れて体全体に染みわたるぞ!?」


 「あー、そうなのか?安全に処理ってどうやるんだ?」


 ジォスはあっけらかんと言う。僕の言葉を信じているようだが、いまいち毒に対する脅威を感じ取れていないようにも見える。おそらくその言い分だと安全な処理はしていないのだろう。そして普通に甲羅をバシバシ叩いてジォスが倒れないのは謎過ぎるので割愛しておこう。


 「お前、何処で生命反応停止させた?」


 「山で」


 「海の中だぞ。・・・その時点で間違ってるじゃねぇか・・・」


 プルプルゲッペイガニは動体視力と逃走能力が凄まじく高い。滑らかに水圧抵抗を受け流すように、身体はとてもプルプルしていてとても深い海域に生息している。そして急激な環境の変化に弱く、水圧が変わるだけで毒袋が破ける。毒自体も相当強力なモノで、破けたら最後。カニ自体も毒にやられて、痙攣しながら甲羅をとても硬くするホルモンを出して体全体から泡を吹きだして死ぬ。


 ジォスの背負うソレはプルプルさなんて1ミリの欠片もないガッチガチベッキベキの硬さを見せつけており、今も体の接続部分から泡を出している。


 つまり、普通に毒袋が破れたと言っていいだろう。


 というか、どうやって水深2000mの地点に生息するプルプルゲッペイガニを山まで持って行けたのかとても不思議だ。


 「本来プルプルゲッペイガニは水深2000mのところで催眠魔法をかけて瞬間移動させて浅瀬で処理するのが定番のやり方だ。お前、そこらへんどうしたんだ?」


 「あー、まず2000mまで潜るだろ?」


 「そうだな(その時点で色々オカシイが、まぁいいや)」


 「で、カニを見つけたから素手で摑んでハサミを取る」


 「甲羅の毒はどうした?触るだけでも高熱を発生させる毒だぞ」


 「んぁ?毒・・・?そういや、なんか触った時だけちょっと気分が上がったな」


 熱(頭の方)を上げたのかよ・・・・。どんな体してるんだお前・・・。


 「で、気分が上がってどうした?」


 「持ち運ぶの面倒だったから投げた」


 「そうか、投げたのk・・・え?」


 少し、いやかなり聞き逃してはいけないことが耳に入り、僕は思わず聞き返す。


 「やーよ、海の中だとやっぱり投げてもあんまり飛ばなくてよ。最初軽く投げた時は30mくらいしか飛ばなくてよ。で、ちょっと力入れて投げたらすんごい勢いで飛んでなー」


 「」


 「漁してる男が『なんだ!?海上で大爆発が起こったぞ!!?』、つってたなー。そん位でけー火力で飛んだな」


 「・・・・・・・・」


 意気揚々と語るジォスに僕とキルエルは笑顔で悟った。


 『『あ、コイツ絶対ヤベェ奴だな』』


 僕は『Brave☩Innocent』で少なからずそこの野生児のことは知っている。言動がヤベェなと思っていたのだがここまで意味不明な奴だとは思ってすらいなかった。むしろ想像の次元が72次元は飛んでてもはや追及しても意味ないとまで悟らされるんだが。


 最初はそれこそ少し言動に難があるガチムチアグレッシブ世紀末野生児なイケメンだとばかり思っていたが、現実はそんなに甘くないと分からされた。言動に難があるとかいう話じゃねぇ。存在がエグイレベルでぶっ飛んでいる。


 僕がジォスのヤバさを改めて肌で感じていると、ジォスがいきなり目を細めて腰を下げた。


 「どうしt」


 「しッ!一瞬だけ俺を信じて腰をかがめろ!」

 

 「!?」


 急にすごいくらいのイケボで警告するジォスに僕も腰を下げる。


 『いきなりなんだというのでしょうか・・・』


 キルエルがジォスの言葉を疑問視しながら僕の目で周囲を確認する。


 すると野生のジォス(キチガイ)が出現した茂みの向こうに3つの人影があることが分かった。一人は『影の仮面』の透明化が切れているのか姿がはっきりとあり、残り二つは影だけあって声が聞こえる。


 全員黒ローブに白い仮面をつけている。見た目からして完全に『ジャウール教』の信者だということが一発で理解できた。そして、その三人は何かコッチ?を見ながら会話をしている。


 「こっちから声が聞こえた気がしたんだけどなぁ・・・」


 「お前、仮面の効果切れてるぞ。ほれ、こっちのスペアに取り替えろ」


 「いや、こっちの方が『見られてる!』っていう感じになって俺得なんですよ」


 「お前得でもコッチ側としてはなんも得じゃねぇんだよ。ほれスペア」


 「おい、なんで拠点には味醂の数が少ないんだよ!船の倉庫にもストックほとんどねぇし。モノ足りねぇ~。おい、もう一度商店街行って味醂買い占めるぞ!!」

 

 「3時間前に買い占めてきたばかりじゃねぇか!!それに商店街なんてアイツら居るから無理なんだけど・・・」


 「あぁ~~、アイツらか。情報網と執念に関しちゃファムルスの勇者より性質悪ぃからな~」


 「ホントによ、あのロリコン集団が・・・・ッ!!」


 「会うたびに『幼さのなんたるか《初心者編》』を14時間に渡って説明してくるからな・・・」


 「それに今回は事が事なだけに委員会は本気で『ジャウール教』を潰す気だぞ」


 「マジかよ。何でそうなるんだよ。頭おかしいだろ」


 「頭おかしいのは否定しないが、どうやらあの会合で手に入れた情報を無断で持ち出したうえ、無断使用したらしい・・・・」


 「「あぁ、ソレはやばいですね・・・・」」


 白仮面の男が重々しく呟くことを黙って聞く二人。”委員会”とか”あの会合”とか”アイツら”とか意味わからん単語を使いやがって。委員会はギリギリ分かるんだけど”あの会合”とか”アイツら”が分からない。


 『ゲーム君が分からないってことは、相当ヤバい展開があるってことですからね・・・』


 僕が謎単語を理解しようとしていると、目の前のジォスが俺を見たかと思うと「ちょっと失礼」、と言い残してその場から姿を消した。オゥッ!ジャパニーズ・ニンジャァ!


 そして程なくして、すぐさま元の場所に姿を現した。


 「どこ行ってたんだ?」


 「ちょっと、制圧しただけだ。・・・それと、聞いておきたいことがある」


 そういってジォスが親指を指す方向には今さっきまで話していた男達がローブと仮面を取られて木に縛られていた。


 まさか、今さっき姿を消したときに制圧したのか!?なんだこのバケモノ。お前人間じゃねぇな!?


 僕が目を見開いてその光景を見ているとジォスが尋ねてきた。


 「俺はギルドの依頼を受けて、この山にあるダンジョンに向かってる最中にあの野郎共を見つけたんだが、お前はどうして此処に来た?そこのダンジョンはAランク以上しか入れないぞ。お前の男情報からしてランクはAランク未満。何の用で此処に入った?」


 警戒と好奇心の割合9:1を具現化したような顔で僕の返答を待っている。まぁこの山、Aランクダンジョンがあるだけで他には何もないし・・・、こりゃ怪しまれるわな。


 本来ならこんなガチムチアグレッシブ世紀末野生児とは関わりたくないから適当に言い訳したいところだが、そうもいかない。コイツ、公式攻略本ではレベルがまさかの1000を超えているバケモンだ。しかも男子の嘘には敏感だ。変に刺激すると色々ヤバい。


 『ぶッ!!?―――――え!?こんな如何にも危ない人がッ!!?』


 レベル1000なら軽く走るだけで亜音速、本気で走れば音速の33倍の速度が出る。ゲームの中では全員同じ素早さに見えるが厳密には全然違ってたりする。だから怖いんだよなぁ、敵に回すのが。


 だからここははぐらかさないで真実を話す方がいいのかもしれない。


 「僕は、ガラシアの勇者パーティの一人で名をキルエル=ヴェルモンドと言う。商店街爆破事件と『ジャウール教』からの犯行声明文にてファムルスに居る『ジャウール教』を探し当てて鎮圧する役目を担わされたんだ」


 「勇者パーティ・・・・か。・・・・ん?仲間はどーした?迷子か?」


 「いや、あの脳筋一族はおそらく別の場所で『ジャウール教』の信者と戦っているだろう。・・・僕はこの場所に『ジャウール教』の拠点があることを知っているから来たのだ。勇者共は僕の言う事信じないからな。置いてきた」


 「ほんほん、なるほろ。・・・でも今さっきの男どもは結構強いぜ?ソロだとキツくねーか?レベルどれくらいだ?」


 「ん!?レベル!!?」


 ジォスの発言にちょっと聞きなれない単語があったことに気づき、僕は焦って聞き直した。ちょっと待てよ。いやいや待て待て。コイツただでさえ意味わからんのに、まさか・・・・。


 「レベル・・・・って、・・・・あ―――、すまねー。なんでもねーよ(・・・・あー、この”ステータスプレート”とかってもしかして現地の人には出せない的なモノか・・・)」


 小声でぼそぼそと呟くジォス。その言葉の一つに聞き流せない単語があった。


 キルエルもソレに気づいたのか僕に問うてくる。


 『んぇ?・・・・もしかしてですけどゲーム君。彼って、・・・・』


 待て、言うな。・・・・おそらくそうだ。間違いなく、そうなんだろう。


 僕は恐る恐る、絶対に勘違いという可能性に懸けてジォスに聞いてみる。


 「なぁ、お前・・・・」


 「おん?なんだ?」


 「もしかしてだけど、・・・・お前、”異世界転生”って奴か?」


 「――――うん」


 「いや『うん』て」


 あっさりと肯定するジォスに僕は度肝をぶち抜かれた。マジかよ、コイツ異世界人なのか。


 ・・・・・なんか頭痛くなってきた。


 この異世界は絶対人選ミスっただろ。


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