キレそうになりました。
明日書いたら一週間ほど投稿が遅れます。定期・・・違う間違えた。期末が迫っているので勉強に本格的に従事します。ご了承ください。
この『Brave☩Innocent』の世界では基本的な火、水、雷、土、風、氷、光、闇、毒だけではなく様々な属性が存在する。王、竜、善、悪、神、そして、―――無だ。
無属性とはレアリティの高い属性だ。いや、王とか神とかもレアリティ高いけど・・・。
そもそも無は全属性の最初の属性、派生された属性の原点とも呼ばれる他の属性とは別格の歴史を持った属性だ。どんな属性よりも詳しく研究され、時には魔力を構成する物質を分解しようとして大事故が起こったことだってある。それだけ特異な属性であり、その真実は今だこの世界では解き明かされていない。
ということは、だ。
それだけ人が熱中してしまう程に無属性は何かしらの特徴があるのだ。それを簡単に説明しよう。
無属性は基本、というかほぼほぼ例外なく攻撃、防御に関する魔法が存在しない(とされている)。
何世代にも渡る昔の研究では、『無属性には何かしらの攻撃魔法や防御魔法が存在するが、人間の声帯による振動では再現が出来ないモノである』という結果が出ていた。まぁ間違いなんだけどね。
最近の研究では、『無属性には本当に攻撃と防御に関する魔法が存在せず、応用を駆使することで攻撃、防御らしい魔法が使えるようになる。基本は強化、妨害、回復を主軸とした第一線向けではない魔法を使える』という発表があった。ちなみにこれも間違い。惜しいけど違う。
本当の正解は、『無属性は応用で強くなる属性であり、攻撃でも防御でも回復でもなんでもできる。攻撃魔法や防御魔法が使えないのはガチ育成してないから』である。
『Brave☩Innocent』では魔法、技、プラス値などは育成で習得でき、育成で強化される。秘伝書を読むだけとかアイテム使えば一撃とか生易しいモノではない。強い技を、魔法を習得したければガチの育成が必要になる。
研究が全部間違った結果になるのは机上で考えたこと、無属性の魔法を他の属性の魔法と同一の法則性があると思った事、そして――――単純な努力不足だ。
そもそも無属性の魔法の習得は他の属性とは違い、”相性”、言わば適性がとても左右するのだ。今ではフルーツで遺伝子改造して無属性を適正属性に出来るが、昔からそうだったわけではない。フルーツによる遺伝子改造はまだ知られてないし、無属性を適正属性として持つキャラは数少ない上入手率もバカ低い。
無属性を適正属性に持ってるキャラは無属性を最大限まで強化することができるが、無属性を適正属性として持っていないキャラは初級、中級までは強化できても上級、さらにその上までの強化は不可能である。
それなら無属性を適正属性として持つキャラを育てればいーじゃん!!、となるがそんな甘い考えでは最大限まで強化する前に心が折れる。
無属性のガチ育成は他属性とは比べ物にならない程時間がかかる。初級であればほんの30分から1時間の育成でどうにかなるが、中級ましてや上級は1日頑張ってどうにかなるものではない。
中級なら1週間、上級なら1か月、最大限までの強化は軽く1年を超える。人間ずっとゲームをしているわけにもいかない。寝たり飯食ったり勉強したり風呂入ったりする時間を考慮すると現実でも5年は軽くかかる。それほど無属性は強化が大変なのだ。
だが、それと同時に強化すればそれ相応の威力を発揮する。無属性であるため、得意・弱点属性たるものがなく、全属性に対して平等なダメージが出る。それに無属性魔法はそれこそ初級からしてとても強力な魔法が多い。『身体強化』や『リーパ』、『エンポット』などもそうだ。さらに無属性を強化する武具やスキル、加護には一切弱いモノが存在せず、「パーティに入れたい奴が居ないならとりあえず無属性ぶっこんどけ!」というどんなパーティにも入れる力がある。
つまり、無属性の強化は”ハイリスク・ハイリターン”なのだ。
そして、そんなハイリスク・ハイリターンの代名詞たる無属性はキルエル=ヴェルモンドの適正属性でもある。・・・・これが何を意味するか分かるだろうか。
S S S S
説明終了。―――さて、イイ感じに時間潰せたし、現在の状況を説明しよう。誰にって?・・・・・さぁ?
『もはや彼らは無視なんですね・・・・・』
キルエルが諦めたような溜息を吐く。さて、じゃぁまず今に至る経緯から説明しようか。
数分前、何とかアムールがべルスティガーを倒し、僕が回復魔法をかけてギルドに帰還したところだった。
「あぁ―――ッ!!キルエルテメェ、何処行ってやがったぁぁぁああああああッッ!!!!!」
最悪だった。
まさか勇者御一行が帰っていたなんて・・・。しかも鉢合わせるなんて・・・・。運が無さすぎるにもほどがある。
「テメェッ!!宿屋の部屋空っぽじゃねぇか!!どこに行ってた!?今まで何してた!!全部正直に俺らが納得するように言え!!」
そしてすぐさま勇者による僕に対する愚痴が始まった。
で、現在。
「はぁ―――、テメェ、なんか誠心誠意込めて謝罪したらどうなんだ?オイ聞いてるのかキルエル!!」
「みょふ?」
勇者がブチ切れ散らかしながら僕の眼前で叫んでいる。やめて叫ばないで公共の場で。五月蠅いから、目立つから、ほらぁ!アムールが凄い近寄りづらそうにしてるじゃん。
もはや勇者の罵詈雑言は定期であり、慣れたものだ。この程度では僕の精神力は下がらない。怒りかたと怒る内容なんて僕の3代目母親に比べればどうってことない。五月蠅さなら勇者の方が上だが。
それに勇者の怒りなんてまともに聞いてるわけがない。別に僕の事情なんだから話す必要ないじゃん。他人じゃん。人の話聞かないで曲解する癖に何言ってるんだ?
それに僕が口を開かない理由がもう一つある。それが何かと聞かれれば答えるが、出来るだけ答えたくない。汚いし。
とりあえず聞いていないの意を込めて「みょふ?」と返事しておいた。変に口開くと勇者の唾が顔だけには飽き足らず口の中にも入ってくるからだ。おい、キルエルの顔面が汚れちゃうだろ。公衆衛生大丈夫か?勇者の顔面が保健所来るレベルで汚い有様になってやがる・・・。
汚い花火ならぬ、汚い間接キスだ。キルエルの初めては歯を磨かない勇者の唾の味~。
・・・・最悪過ぎるだろ。
『僕としては出来ればそういうお相手はミルの方が・・・・・・』
キルエルがなんか言ってるが気にしない。そういうのは本人に言え本人に。
「みょ・・・・・キルエルッッ!!テメェが勝手に行動すると怒られるのは俺なんだぞ!!前に独断行動はしねぇってしっかりと約束は守るって俺たちの前で誓ったじゃねぇか!!嘘つきが!!!」
おん?・・・・どうやら僕の知らない間に勇者の記憶が改ざんされているようだ。いつの話だっけ?
僕が首をかしげるも、勇者が「なぁ?」と天然ドジ、偽善者、ノミに聞くと全員首を縦に振る。
あぁ~~なんかあったなこういうシーン。僕が謝ってなくとも勝手に謝ったことにされている。どうやら『Brave☩Innocent』の公式ストーリーに沿っているようだ。
『Brave☩Innocent』ではキルエルがファムルスとの模擬戦で負けた結果、勇者が怒涛の勢いでキルエルをまくしたててキルエルを謝らせたんだっけな。・・・・確か勇者たちの目の前で跪いてなんか誓ってたシーンが僕の記憶には存在している。だが、僕は誓った記憶がないのでおそらくは勇者の『主人公補正』で僕以外の全員の記憶と歴史を改ざんさせたのだろう。何故僕の記憶は改善されないのかが不思議だが。
何にせよ、直接的な被害を被ってないにしろ、勇者の横暴さには僕の眼にも余る。
・・・・チッ!これだからクソッタレなんだ勇者は・・・・!!
僕がギリッと奥歯を噛むと勇者を睨む。まだだ、まだ耐えるんだ。キルエルとミルを添い遂げさせるために1パーセントでも悪魔戦での勝率を上げるんだ。此処で変に勇者ぶん殴って不敬罪で牢獄とか、マジで勘弁してくれである。
震える拳を無理矢理落ち着かせて鼻で深呼吸をする。今すぐにもべらべらと悪意の漏れ出すその口を顔面ごと殴り飛ばしたいが、それも出来ない。出した瞬間、負けるのはキルエルだ。長い目で見ろ。今だけを見るな。悪意をコントロールするんだ・・・・!!
「オイキルエルテメェ!!何睨んでるんだ、あぁッ!?言いたいことがあるならちゃんと言えよ!!人と人との絆の繋がりを構築する上で大事なのは話し合いだろうがッ!!ちゃんと俺が納得できるように正直に丁寧に話すんだよ!」
言っても聞かないだろ勇者は。そして勇者が納得する答えってなんだよ。ソレ、完全降伏のポーズを取れと言ってるモンだぞ?嫌だッ!!勇者の奴隷なんか嫌過ぎるッ!!僕が奴隷になるくらいなら勇者を奴隷にするわッ!!・・・・ぐぅッ・・・・!!イライラする。
僕が怒りを抑えていることに何を思ったのか、勇者はいきなり僕の胸倉を摑んで後頭部を壁にぶつけてきた。怒りを制御していた僕はそれに反応するのが遅れ、そのまま壁にぶつけられる。
「がっっ!!?」
思い切り壁に頭を打ちつけられて少し星が飛んだ。一瞬遅れて衝撃が頭に伝達され、同時に何が起こったのかをしっかりと理解したとともに後頭部に激痛が走る。
『だ、大丈夫かゲーム君!!!』
キルエルが慌てて僕の状態を確認してくれる。その時チラッと周囲を確認したが、ギルドの職員や他の冒険者、ましてやアムールも無反応。というか誰も僕がやられていることに気づいていないのかいつも通りの光景を見せている。これも主人公補正ってか・・・。
自身にとって悪い奴を殴っても誰も文句を言わないし、止めに入ってこない。それどころかそのことにすら気づいていない。
見ている世界が違うのだろうか、とも錯覚させて来る。
僕が痛みと怒りで顔をしかめると、勇者はさらに顔を近づけて怒声を放つ。
「なんでそんなに正義の勇者な俺のことが嫌いなんだ!!あぁッ!?何でそんなに周囲の迷惑になることばかりするんだ!?暴力暴言じゃ何も解決しないんだぞ?何で俺に嫌われるような行動ばかり取るんだ?キルエル、・・・・・・・・・・・言えよ」
やめてくれ。今ちょっとそれどころじゃない。一端落ち着かないとヤバい。勇者の顔面殴り飛ばしそうで、いや本当今怒りを抑えるのに必死だからやめてくれ・・・。
僕が歯を食いしばりながら心で叫んでも意味はない。『Brave☩Innocent』のアニメで女子の心をくすぐった男の友情のシーンだがそんなことはどうでもいい。とりあえず今は抑えるんだ!
僕が胸倉を摑まれながらも怒りを耐えていると、勇者が大きく拳を振りかぶる。その行動にすぐさまキルエルが僕に訴えかける。
『ゲーム君!』
だが、怒りの抑制で必死の僕にはその言葉が届かず、・・・・。
「正直に、俺が納得できるように、言葉に気を付けて相手を傷つけないようにちゃんと!ちゃんと言葉で伝えて!言えよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!!!!!!!」
その拳に反応できなかった。
落ち着きを取り戻しかけるその一瞬を、その拳は穿った。
胸倉を摑まれた状態で放たれた一撃は確実に僕の左頬を捉え――――、
殴り飛ばされた。
一瞬の意識の昏倒、床をバウンドする感覚、そしてやってくる痛覚と舌に絡みつく鉄の味。
そして、転がった先で訪れる爆発的な衝動。恐怖を殲滅する意志が、その闇黒たる悪意が僕の脳を掻きまわす。
もう少しで抑えられた衝動が、悪意が、恐怖が、業が、一気に溢れて――――、
その衝動ォが、放たれる直後にィ・・・・。
商店街の一角を吹き飛ばす程の爆発と轟音が鳴り響いた。




