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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第一章 『憑依☩生活』
4/139

勝ち続けます。

 北の大王国ガラシア。

 ダンジョンの攻略に力を入れている武闘国家だ。

 世界一血の気の多い国として有名で、他五か国の中では随一の武力を誇る。

 当代のアンセム・バトルスピーチ=ガラシアは第58世代目の王様であり、レベルは200ある。とてつもなく大雑把で優柔不断だが、その鍛えられた技を見る目は本物である。その妻であるナシア=ガラシアは貴族の身でありながらも魔法使いの才に長けている。夫のダメな部分を補っており、その力の前ではアンセムなどハムスター同然でもある。

 そしてその娘の名はリピア=ガラシア。勇者の嫁候補でもあり、パーティの貴重な回復役でもある。

 

 その王家が毎年行う『ガラシア武闘大会』の会場に僕はいた。


 総勢287名、出身は貴族や商人、農民や労働者である。この大会において地位は全く関係なく、全員が平等の地に着き剣技を競うのだ。

 僕もまたその大会の選手の1人でもあり、『勇者への推薦状』を獲得するための剣士でもある。

 この大会で出てくる選手のレベルは7~9であり、中々の強者ぞろいである。しかし恐れることなかれ。精神力でステータスが下がっていても、僕の現在のステータスは周りの1,5倍から2倍近くある!絶対に負けることはないのだ!!


 「出場者の皆さん、模造刀の配布をします。順番にお並びください」


 これはスキル『拡散』である。目に見える人すべてに声を伝えるという効果を持っており、特定の人に声を伝えることはできない。

 続々と人が並んでいく。僕も続いて模造刀を受け取る。


 模造刀:鉄程ではないが硬くて頑丈な素材でできている。切れないように刃の部分は丸みを帯びている。

 効果:攻撃力+10

 耐久度:50


 僕の知っている模造刀の最高品質だ。攻撃力が低いのは仕方ない。無駄な強化が一切なく、スキルも加護も耐性もない。まさにシンプルイズベストって奴だ。

 軽く振ってると闘技場の扉から人が出てきた。


 「キルエル=ヴェルモンド君、前へ。第一試合ですよー!」


 「はい」


 どうやら審判のようだ。僕はその場から動き扉へ向かう。途中に金髪蒼眼男子を捉えたが気にしないようにする。おそらく勇者だ。一瞬だったから確定ではないが、もしかしたら・・・・。


 闘技場は多くの観光客や傍観者でにぎわっている。僕は一人で来たのでミルとその両親はいない。だが勇者の家族はいるみたいでこちらを興味なさそうに見ている。


 「随分、余裕のようだな・・・」


 周りをぐるぅッと見渡していると目の前の参加者から声を掛けられた。声の主は長い銀髪男子で、僕と同じくらいの背丈だ。ちなみに僕は『Brave☩Innocent』に出てくるキャラ全てを覚えている。ステータス、スキル、耐性、加護、持ってるアイテム全て記憶している。1文字も間違えたことはない!!


 「アリクイ=レオンスか・・・」


 「ほう、僕の名前を知っているようだな。我がレオンス家も有名になったものだ」


 「ウンウンソウダネー」


 このゲーム、ステータスの割り振りはしっかりしてるくせにモブキャラの名前は全てふざけた名前なのだ。ふ、お前の名前を知ってるのはお前の名前が『アリクイ』だからだよーーー!!

 他にも『タコス=オレンジ』や『ジンジャー=エール』など食べ物のような名前もあったりする。


 『第一試合、開始!!』


 思い出した名前に思い出し笑いをしていると試合のゴングが鳴った。審判6人による判定で勝ち負けが決まる。ゲームだと相手のHPをゼロにすれば勝てるのだが、ここでは8秒以上のダウンや気絶など、急所への一撃などが適用される。そして極めつけは審判一人一人がスキルを持っていることだ。ここではそれを紹介していこう。


 『反魔の魔眼』:対象の魔法一つを無効にする。

 『束縛の魔眼』:対象の体を10秒間動けなくさせる。

 『蘇生の魔眼』:対象の一命を取り留める。


 これによってこの大会は成り立っているともいえる。つまりこの審判によってどんな些細な不正m・・・ッ。


 「ふッ!!」


 あぶなッ!模造刀とは言えどアリクイ相手なら一撃40ダメージちょっと出るだろう。だがそれはあくまでも防御力0の敵に対してだ。僕程となればダメージも10~20であろう!!だが、それでもダメージは受けない方がいい。ダメージを受ける=打撲を受ける、と言うことになる。下手すりゃ骨折まで行く。そんな状態で次の試合とか、無理がある。どれくらいのダメージが出るか、試してみなければ長期戦にもなりえる・・・ッ!!


 アリクイ=レオンス(11歳 男 レベル5)

 HP200 攻撃力71 防御力59 素早さ51 魔力44 精神力14 運16

 耐性:無し

 スキル:無し

 加護:無し


 ・・・だったはず。そうなると通常攻撃は模造刀の攻撃付与で40ダメージ。僕の現在の防御力は200ちょっとあるため、受けるダメージは1回に付き約10ダメージと言ったところか・・・!!

 対して僕の攻撃力は198、模造刀の付与効果で208、防御力59と言うことは低く見積もって73のダメージか・・・。素早さは高ければ高いほど相手より早く行動できるし、回避性能にも優れている。だが長期戦は駄目だ。素早くこの戦いを終わらせる!!ならば、西の村のボスモンスターでもあったミサイルサソリ戦で生み出した技で切り抜ける。この大会では魔法は禁止されているが物理の技の使用は禁止されていない。

 僕はアリクイの攻撃を避けると横に大きく剣を振りかぶる。そして狙いを外したアリクイの土手腹に一撃を繰り出す。


 「しぃッ!!」


 『渾身の一撃』―――物理系の溜め技で、溜める秒数で威力が変わる技である。2秒でダメージ1,3倍、4秒で1,5倍、5秒以上で2倍である。ミサイルサソリはレベル12のボスであり、鋼鉄のような硬さの尻尾から10ダメージ(固定)+麻痺効果付与の針を多数噴射してくるのである。防御が高いためにダメージを通すには渾身の一撃のような大技を使うしかなくなる。


 「ぐはぁッ!!!」


 アリクイは叩きつけられた攻撃で真横に大きく吹っ飛ぶ。これはクリティカル効果が出たかも知れない。クリティカルはダメージ2倍と『ふっ飛ばし』を得るシステムで、攻撃した相手をそのまま吹っ飛ばせるのである。今の攻撃なら70×2×2=280の大ダメージだろうか。アリクイは地面をバウンドしながら場外に押し出される。壁に激突してその勢いが止まり、審判が声を上げる。


 「しょ、勝者、キルエル=ヴェルモンドーー!!」

 「お、おい、しっかりしろ!!」

 「眼回して泡吹いてるぞ!誰か、担架もってこい!!」

 

 民衆も運ばれていくアリクイを見ながら騒然としている。今さっきまでの盛り上がりようは何処へ行ったのか・・・。僕は模造刀を腰に仕舞いその場を後にした。


 S S S S


 とてつもない奴を見てしまった・・・。俺は自然に出ていた冷や汗をぬぐい、あまりの強烈さに息を飲んだ。


 キルエル=ヴェルモンド・・・・・。とてつもない強さだった。一撃で相手を場外までぶっ飛ばし、尚且つあの余裕の態度。相手を舐めているに違いない。儀礼的に必要な礼すらしないとはどこまで人をコケにしているんだ・・・。


 と、休憩室で応援に来てくれた友達と駄弁っていると扉が開かれた。そして音もなく入ってきた奴に俺は驚いた。


 キルエル=ヴェルモンド。確かアイツは2回戦目で行ってきたばかり、・・・。此処に来たということは勝ち上がってきたのだ。黒髪から除く紫の瞳は何処か恐ろしい気配を醸し出している。

 他の人も目が合った瞬間に顔をそらす。だが俺は無性にあいつのことを知りたくなった。

 ということで、声を掛けます!!


 「オイ、キルエル。お前2回戦も勝ち上がったのか・・・。どうやって倒した?2回戦目はウチのところのガキ大将だけど」


 丸々太った腹に憎たらしい目つき、父親が貴族を護衛する衛兵と言うのもあり剣を持たせると結構強い。そのおかげで現在のガキ大将に上り詰めた俺のおやつの仇でもあるアレックス。そのガキ大将を倒したキルエルは整った顔で俺を見る。


 「お前が、アイツの言っていた『勇者』ヴェルトリッヒ=カルヴァ―ンか・・・。2回戦目のガキ大将、あぁ、アレックス=プルコーギのことか・・・。アイツは雑魚だ。中途半端な攻撃寄りで防御も素早さも低い。おまけに精神力も低い。ガキ大将で威張っていただけの分際など、初撃を漢の急所に当てて気絶するまで説得しながら殴れば良いだけだ。だが、体力だけは地味に高くて、気絶まで時間がかかったがな」


 その言葉に俺はかなり引いた。無論後ろにいる友達も引いている。いくら憎い俺からしてもやりすぎではないだろうか・・・。と、思っていたが俺の口は正直で、思ったことは言ってしまう。


 「それは、やりすぎだろう!アレックスは大丈夫なのか!?」


 「大丈夫だろ。軽傷だ。歯が抜け、鼻が折れ、腕と足が折れ、あばら骨が折れた。涙と鼻水と涎と血でぐしゃぐしゃなのは仕方がない。・・・・あ、そうそう、初撃喰らったら急に倒れ込んでおしっこ洩らしちゃったんだよな・・・。僕もまだまだだと痛感するよ」


 コイツ・・・・本当に人間か・・・?

 目の前のキルエルは人を叩きのめした直後だというのに反応が冷静で淡泊すぎる。どう考えても大丈夫じゃない攻撃じゃないか!コイツ、人の心を持ち合わせてないな・・・ッ!


 俺は例えおやつを奪うガキ大将でも少し哀れになってきた。

 でもってキルエルのすることは駄目な気がする。これは一歩間違えるとヤバいって分かる。

 

 「まぁ僕も出来る事ならあまり時間をかける戦いはしたくない・・・魔法が使えない分厄介だからね。ヴェルト君もそこの友達も僕と戦う事になったら大人しく棄権した方がいいよ」


 キルエルはそう言い残して、キルエルは外に行った。

 何かを言わなければ、アイツをあのままにすると絶対ヤバい・・・!!

 

 俺の本能はそう言っているが追い付けたところで何か言い返せるだろうか・・・。

 ・・・・結局俺はただただ、そこに立ってキルエルの後ろ姿を見送ることしかできなかった。


 S S S S


 何か、不思議な感覚だった。部屋を開いた時から意識があまりない。僕は彼を治療しに行こうとしただけなのだが、何故か遠回りをしていた。

 まぁ、アレックスを捕捉できただけ良しとしよう。

 

 「やぁ、アレックス君だっけ?」


 「お、お前は・・・・・!!!」


 アレックスは僕を見た途端に、震えだし泣き出した。

 精神力大分削ったからかな・・・。おかしい。僕は彼をいじめた記憶なんてないぞ。戦闘中だって『ガキ大将の力はそんなものか!?』とか『これ以上君を攻撃したくない!棄権してくれ』とかしか言ってない。

 彼は全身包帯だらけで血が滲んでいる。まぁ、子供相手にはやりすぎたか・・・。


 「まぁ、落ち着けよ。やりすぎたことは謝るからさ」


 必死で顔を背け逃げようとする彼の肩を摑み、顔を摑んでこっちに向ける。

 

 「★△〇◇%=///ゴブルプファ!!!!!!」


 するとアレックスは気が動転したのか息切れを起こしながら白目をむいて気絶した。


 ・・・・・何故や?


 まぁ回復する分、動かれると困るし都合がいいか。

 

 僕は掌を彼の胸に押し当てて体の傷が治るイメージを創る。


 「リープ」


 なんとなくだが骨がつながっていく感覚がする。何だその感覚。

 そしてそこから約6分、僕は彼の回復に専念した。

 

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