模擬戦します。
※追記、英検があるので1週間ほど投稿頻度がとても遅くなります。ご了承ください。
僕は軽く泣きそうになった。
目の前には兎の獣人の(女王的な)方に自身の尻を向ける変態野郎が四人も居る。
「他国の勇者ナンパするとか舐めてんだろ?アタシを!あぁッ!?オイ、何とか言え豚犬ども!」
「「「アオ―――ン!!!」」」
「僕の《ピー》の脂がぁ!剥がれ落ちるワァァァァァァン!!」
「誰が喋って良いと言った?テメェみたいなデブ犬は「ワンワン」だけ言えば良いんだよ!!きたねぇ地溝油みてぇな《ピー》をいつまでアタシに向ける気だアァンッ!!?」
「ブヒィッ!!!」
ゲームをする時の客観的な視点だと笑うのだが、同じ勇者パーティの立ち位置で、さらには種族は違えど同じ雄だということに、何というか・・・見苦しいモノがある。
女王、もといホストラビット=クゥィーンはその圧倒的な鞭捌きで、かまいたちのような嵐撃を奴らの尻に叩き込む。とても美しい舞だった。でも響く音と、えげつない情景で我ら男子一同の尻はキュッと締まる思いになった。
・・・・ここは地獄か?
『世界って広いですねぇ。アハハハ・・・』
キルエルが完全に悟りを開いている。・・・コイツ、耐えられなかったのか・・・。
僕がキルエルに憐れみというか同情の眼差しを送っていると、後ろにいたハルトマンが勇者に声をかける。
「すまない。もういいか?そういうプレイは他所でやってくれないか?勇者と言えど、まだ11歳の子供にこんなレベルの高いモノを見せるわけにはいかない。吾輩も見ていてなんとも言えない気持ちになる」
いや、言うの遅いわ!もう40分くらい見さされてるぞコレ。なんとも言えない気持ちになってから言う言葉じゃねぇんだソレは!!
まだまだ続けるのかと思いきや流石は王様の言葉なだけあって、(もう勇者とは思えない)勇者たちはすぐに行動をやめた。
そして僕ら勇者パーティの男子に顔を向けてくる。全員、キリッとした顔だ。やめろこっち見んな。
「えぇ~~、まだまだこれからなのに~~。まぁいいか、・・・男子諸君。今のは忘れてね☆キャピルン」
もう、・・・・忘れられない。体質的にも物理的にも、リアルだとインパクトが凄すぎて記憶にこびり付いた。夢に出そう。
「さてさて、親善式戦始めたいと思いま~す!!」
ドン引く男子達と、何かの嫌悪感を感じて身を守る姿勢に入る天然野郎を置いていき、勝手に親善式戦の説明をするホストラビット。
親善式戦のルールは以下の通りだ。
1:パーティの中で総大将を決める。この総大将を先に倒した方が勝ち。
2:パーティメンバーは好きな武器を使っていい。ただし、致死性の低い模造武器を使うことになる。防具は全員同じものを着用すること。
3:魔法の使用、スキルの使用、加護の使用は許す。
4:回復アイテム、強化アイテム、攻撃系、防御系アイテムの使用禁止。
5:武器があってもなくても体術技の使用は許す。
6:ルールはしっかり守れ!!「知りませんでした」は通用しない。後は知らん。ガンバレ!!
「ほーん」
なるほどなるほど。知ってたけど。剣大会の上位互換的な試合だな。
『なんの武器にする予定ですか?』
キルエルが聞いてくる。・・・そうだな。結構迷う。
この親善式戦で使える武器のバリエーションは豊富だ。刃物というジャンルだけで、手裏剣、ナイフ、片刃剣、両刃剣、鎌、斧、薙刀、大剣、鉈と九種類もある。
でも残念ながら、飛び道具の分類に銃が無いのは仕方がない。他国にはあるのだが、ガラシアにはほとんど存在しないため、それにならってこの国にも銃はない。
正直なところ、僕が扱いやすいと思う武器はキルエル視点で言うとナイフと両刃剣かなぁ。
ゲームでは武器の使用に向き不向きもなかったからモーションのカッコよさで、そのキャラの使う武器を設定していた。キルエルの場合も同じで、ナイフや剣、銃を使うモーションがめちゃくちゃ格好良くて、僕の感性にぶち刺さったからだ。
他にも、ストーリー終盤でのキルエルの装備が『黒幕!!』みたいな感じで、その時に使っていた二刀流のモーションが勇者より格好良かったのもある。
『そんなに推してくれるなら、使ってみようかな。・・・ナイフは自信ないから両刃剣で』
キルエルが照れながらも、最後の選択は迷いが見えなかった。扱いなれた剣を選ぶ。
模造・両刃剣:攻撃力+100 耐久度300
此処で使う模造武器はすべてが同数値の攻撃力増加と耐久度だ。攻撃の仕方は違えど、中身は差別化されていない。
『それにしても、どうやって判定を付けるんですかね』
キルエルがそんなことを聞いてきた。お前、今さっきの説明聞いてたか?総大将を一人決めて、
『あぁ、そうではなくてですね。例え死なない程度の武器だとしても骨折とかありますし、武器によっては当たり所が悪いとそのまま逝ってしまうこともあるわけで―――』
キルエルが僕の言葉を遮って口にしたのは、案外現実味のあることだった。
あぁ、それは大丈夫だ。この闘技場全体にとある術式が刻み込まれているからな。
『術式・・・・・?』
模擬戦専用の術式だな。効果は、攻撃によって骨折、脱臼はしない。死亡および気絶するほどのダメージが与えられると、『気絶状態』として扱われて敗者ゾーンに強制転移させられるんだったかだ。
『なるほど・・・』
キルエルが納得したように頷く。
「さてさて!始めようじゃないか!勇者諸君!俺たちと!親善式sアハァッ!!」
準備が終わったブルドッグの獣人、もといスコップ=ドリアンがノリノリで模擬戦の開会を宣告しようとした瞬間、背後からのかかと落としで地面に倒れ伏した。
しかも愉悦に満ちた声で地面に落とされるおまけつき。・・・何で喜べるんだろうか・・・。
僕が半歩、いや5,6歩くらい引いていると、かかと落としの張本人がスコップに怒鳴った。
「アタシの台詞をとるたぁ良い度胸だなぁッ!アァ!?お前の汚ねぇ《ピー》の《ピー》を槍で口まで貫通させてやろうか!?」
ホストラビットはそれこそいつもの本気の黒タイツ装備ではなく、模擬戦専用の服をきちんと着ている。ただ、話す言葉が女性のモノだとは思いたくない程過激なのを除けば完璧美人なのだが・・・。
僕が踏まれて喜ぶスコップと、まんざらでもない表情で下敷きにしているホストラビットにげんなりしていると、後ろから次々に人がやってきた。
「ふむ、いつもの相棒を使わないで戦うとな。ハンデにしては足りない気もするが、相手がこの国の勇者なら問題は無かろう」
片手に模造の刺突剣を握るノミ。やめろ、お前ハンデなんてwww。一応親善式戦なんだから相手が手加減してくれて当たり前なんだよ。むしろレベルに50近くの差がありながらも全力を出さないでくれている獣人勇者に感謝しろや。
「えへへ、勇者様、似合っていますよその恰好。私的にはこういうのもアリだと思い、眼福です」
模造のロッドを持った天然野郎。何も知らない状態のときに見ればそれこそ「結婚したい・・・」とも思うような可愛さだが、被害者の僕からすると下心がバリバリに出ているのを見ると萎える。ついでに嫌悪感と憎悪と恐怖心が出る。
「そ、そうかなぁ。リピアも似合ってるよ。相手国の勇者に負けないくらい頑張るから、見ていてほしいな」
やめろ勇者。鼻の下を伸ばすな。これ見よがしに両刃剣を振り回すな。ゴキジェットかますぞ。模擬戦と言えど戦いに恋愛を入れるんじゃねぇ!フラグという概念を知らんのか。・・・ちなみにキルエル、コイツが総大将だ。
『なんかすぐやられそうですね』
キルエルが生ごみを見るような辛辣な言葉を寄こす。
「・・・・ふむ。相手はそれこそ筋肉ムキムキですが、戦う条件はこちらと同じ。この模擬戦、勝ちましたね」
斧と大盾を装備したマルク。言っておくが、あの獣人ら、お前とは結構なレベル差あるぞ。同じ条件だとしても元の身体能力が違えば勝負がひっくり返ることもあるんだぞ。覚えとけ、僕はこのかた生まれ持った障害と高い計算能力駆使してもこのイベントでは811回敗北してるんだよ!!
『マジですか・・・。なんかハメ技とか、無限攻撃バグとか、敵のモーションをいちいち覚えているゲーム君でも勝てない時ってあるんですね・・・』
あぁ、そうなんだよな。驚きだろ?でもガチのゲームプレイヤーなんてそんなもんだぜ?何回も敗北して、そのたびに自身のモーションとか相手の攻撃速度とかを記憶に叩き込むんだよな。
そして、戦闘時に自らの蓄えた知識と経験を全開放して可能性を模索する。
それがガチプレイヤーの初めの理想だ。
僕がキルエルに語り終えると、丁度同時にホストラビットの他の飼い犬も準備が整ったようだ。
「では、これよりガラシア王国とファムルス獣人国の親善式戦を開始する!互いの健闘を祈り、いざ尋常に勝負だ!!」
ハルトマンが戦闘開始のゴングを鳴らす。
すると、ホストラビットがにやりと舌なめずりをして模造の鞭を引き抜く。
「一生忘れられない思い出、ア・ゲ・ル♡」
「あなたが言うと別の意味に聞こえるからやめてください!!」
蛇の如く宙を這う鞭の一撃を僕は両刃剣で弾き返して返答をする。・・・なにこの獣人怖い・・・。
質問ありがとうございます。
Q、ゲーム君の『一字一句』間違えないで登場人物のステータス(道行く一般人含め)を覚えているのは無理があるのではないか(主にレベルアップの際)?鑑定のスキルでもよかったのでは?
A、実際には全部覚えてるわけではなくて、レベル1の状態の登場人物のステータスすべてを覚えていて、そこからレベルアップにおけるゲーム内の公式を当てはめて計算してステータスを導き出しています。多少の計算ミスや各個体別でステータスの割り振りが違ったりするので、”完全”ではありませんがほぼ”完全”に近い状態をはじき出します(という設定になっています)。
誤解を招く書き方で申し訳ありません。こうしてご指摘いただきありがとうございます。
ついでに、これからもよろしくお願いします。




