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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第一章 『憑依☩生活』
3/139

死にかけました。

 ホネマイマイ~僕流の倒し方~


 僕が思うにこの世界は痛覚がある分、死んだらコンティニューできない可能性がある。そうなると目の前のマイマイに遅れをとってはいけないのだ。死にたくない・・・!!

 なので僕直伝の弱くてもノーダメージで倒せます!やっていきましょう!


 1激昂させます。


 するっと後ろからマイマイのドクロを蹴り上げる。コンッ、と良い音が・・・。

 すかさず僕は持っている木剣で伸びた目ん玉を叩きまくる。体表はぬるぬるして木剣では滑るのだ。

 6・・・7・・・8・・・・ここだッ!!

 僕はすぐさま一撃決めて逃走する。激昂2秒前で逃げる。


 2木々をすり抜けながら落ちてる石で迎撃します。


 ホネマイマイは第1ストーリーのボス枠のキャラである。最初のパーティは主人公の勇者とヒロインの2人であるため、ヒロインの自動操縦や勇者の体表への木剣攻撃が何故か通ったりするので酸攻撃を除けば非常に戦いやすい敵である。だがこちらは1人。攻撃力が一桁の状態では与えられても1ダメージであるため非常に不利なのだ。木剣は付加攻撃力は0で素手で攻撃してるのとなんら変わらない。しかし『毒ボディ』など、素手で攻撃すると状態異常になる相手には強かったりする。

 しかし投擲は違ったりする。手短にある石ころには攻撃力が存在しており、1個20~40ダメージと案外ダメージを与えられる。場所は森の中であり、木々を障害物として利用しない手はない。


 「ふんッ!!」

 

 これでも僕は野球大好き少年でコントロールは地区内では誰より上手かった。今もその腕が鈍っていないことを祈る!と木々のすき間から思いっきり投げる。ブチュッとホネマイマイの体表に当たる。音がキモい・・・・。だが音の割には元気なようでこっちに迫ってくる。


 3繰り返します。


 以上で解説を終了します。―――ってことで、


 「おらおらおらおらおらおら――――!!!」


 手当たり次第に石を投げる。投げて投げて投げまくる!!途中で潰した目が異様にリアルで気持ち悪かったからあまり見てない。ホネマイマイは木々によって対象を捕捉できずに攻撃すらできない様子。

 ・・・このまま封じ込めて倒す!!と、持ってた石を全て投擲して様子を見る。かれこれ40分以上逃げては投擲を繰り返している。

 このゲーム、厄介なのが長い戦闘になるとHPが減るというもので、疲労とかがダメージになって体に来るのだ。しかしダメージ自体はそんなになく、変に重量のある装備をしてない限りは1~10当たりで、低レベルには痛手だが高レベルになると誤差みたいなものになる。それでも長時間労働は着実に僕のHPを奪い、今や8である。ふとホネマイマイを見てみると、僕はそのキモさのあまり腰を抜かしそうになった。


 「うわぁ、キッモ。嘘だろ。確かにゲームでも死体は残るが、こんなにひどいものなのか・・・」

 

 レベルが4に上がっているが目の前のホネマイマイの死体はレベルアップの嬉しさよりキモさの方が先に来るほど凄惨な有様だった。ちょっと口にするのはやめようか。・・・黄色い液体が飛び散っているが何も言わないでおこう。うっぷ。

 僕はレベルUPしたステータスを眺める。


 キルエル=ヴェルモンド(11歳 男 レベル4)

 HP28 攻撃力6 防御力2 素早さ6 魔力3 精神力-68 運3

 耐性:全属性耐性マイナス

 スキル:無し

 加護:無し


 精神力下がってるじゃん・・・。そういえばだが、精神力はメンタル的なモノも含めてるから僕がこの死体見たのも影響されているのかもしれない。しかし、どうして魔力と防御力には変化がないのか?それは僕は魔法を使ってないし攻撃に対する受け身を取ってないからだ。今の戦闘では投擲と逃走しかしていないからレベルアップでも上がるステータスは攻撃力と素早さだけである。・・・本当に誰なんだ?


 「確か、ステータスの一部分を強化したいだけならそこらで修行すればいいんだったか」

 

 僕の魔法は全体攻撃であり風と土の合成魔法でもある。だからこそ範囲を間違えたりすると生態系を狂わすことになりかねない。いくら僕の魔力が小さけれど練習相手をモンスターにするというのは多少危険でもある。防御力の強化もしておこう。え?モンスター相手に鍛えないの?・・・いやばっかじゃねぇの?防御力2なんてそこらの葉っぱで作った防具と同じ耐久性だぞ。雑魚敵には十分だがレベル5からは通じない。つけて無いに等しい紙防御だぞ!!僕の推測だと勇者出身の村のようにスライムとかゴブリンとかレベル1~3のモンスターはいない!ホネマイマイが居るってことは最低でもレベル10はあるってことだ。つまり防御2は論外。当たったら最後、肉が抉れて骨がもげる!!


 「最初はコケるところから始めないといけないだろう」


 僕は早速山を降りて家に帰る。倉庫に木剣を置き、再び出直す。台所にあった果物ナイフを持って。

 地獄の猛特訓が始まるのだ!!


 S S S S


 まずは魔法の特訓である。まずは難しいリープである。用意するのはナイフである。

 特訓内容:指を軽く切ります。そしてリープを唱えます。(後は魔力が増えるまでこれを繰り返す)

 

 「・・・ッつぅ」

 

 親指を撫でるようにナイフを抜く。するとじわじわと切れ口が開き真っ赤な血が出る。

 僕はナイフをしまって親指に念じるように「治れ~治れ~」と言いながら魔法で傷を治すイメージを作り上げる。傷口が少しずつ締まっていくイメージである。


 「リープ!」


 イメージを途絶えさせないように念じながら魔法名を口にする。するとその傷が少しずつ塞がれていき、あっという間に治してしまった。すぐさまステータスを見ると魔力が3になっている。

 ・・・良し!成功だ。一回で成功するとは思わなんだ。でも回復まで3分かかったけど。

 じゃぁ次はフップかな。


 フップの特訓内容:遠距離にある地面に軽く刺さった棒切れ20本を倒す。(倒れるまで繰り返せ!面倒くさいぞ!)

 

 「よーく狙いを定めて・・・・。フップ!!」


 5m近く離れた地点へフップを飛ばす。そよ風と砂埃が混ざったような魔法だ。だがしかし魔法は1m離れた地点までしか飛ばず、魔法も1秒も経たず消えてしまう。威力もさることながら弱い。

 それでも諦められない!掌から岩を纏った台風が飛び出し、目の前の棒きれを薙ぎ払うイメージをしながら魔力を練る。


 「フップ!」

 

 飛び出たのは今さっきと同じ砂埃を被ったそよ風。だが飛距離は伸びたか1,5mちょっとである。威力は・・・・弱い。

 だが確実に進歩している。もしかしたらキルエルは結構『努力すれば何とかなる』人なのか・・・?


 「もう少し頑張るか・・・!!」


 S S S S


 半年が過ぎた頃。


 僕はハイゴブリンの群れに遭遇した。


 ハイゴブリン レベル3~5 HP190~201 攻撃力50~70 防御力40(固定)素早さ50~67 魔力0精神力3 運4

 知能が低く、繁殖力が高い。ゴブリンとは違い中身も獰猛。


 これが通常のステータスである。通常ゴブリンは変態ゴリラとも言われており、威勢が良いだけの雑魚である。だが繁殖対象は雌の生き物全てで年齢に左右されないのだ。しかも生まれる子はゴブリンと言う地獄みたいな性病を持ってたりで割と有名なモンスターである。それに対してハイゴブリン。繁殖対象は同種ゴブリンの雌である。しかし獰猛さは中身までしっかり染みており、生活区域が狭いとはいえ自分より高レベルなモンスターにも食って掛かるものまでいる。


 僕の精神力は相変わらずの『-89』であるが現在上限レベルの15到達である。上限レベルまで行くとステータスプレートの情報の部分にある『進化』を使えるようになるが、僕のステータスプレートには『進化』の欄が使えない状態にある。おそらく剣大会が終わってからでないと使えないのだろう。


 キルエル=ヴェルモンド(11歳 男 レベル15)

 HP301 攻撃力198 防御力201 素早さ199 魔力180 精神力-89 運7

 耐性:全属性耐性マイナス

 スキル:無し

 加護:無し


 精神力が下がったのはおそらく夜な夜な筋肉痛で眠れぬ夜を過ごしたからだろうか。それとも毎日一食しか食べていないからだろうか。何にせよ、精神力は何かの拍子に急に下がったり上がったりする為キルエルの精神力もいつか戻るのではないだろうか。そういえばだがミルはどうやら兄妹みたいな関係ではなく、僕が養子として貰われたような形になっている。・・・確かにご飯の時に顔を合わせる親御さんはなんとなくだが違和感があった・・・。本当、誰だお前?


 修業はレベル上限によって貰える結果が決まっており、レベル15だと割り振りは10である。僕の魔力は割り振りが9なので今回の敵は持ってこいだ!


 ハイゴブリンは集団生活を主軸とする為僕の全体攻撃はかなり高い性能を発揮してくれるだろう。夜通し血眼になりながら魔法の練習、キツかった~。毎回夜食用意して待っててくれたミルさんありがとう。

 さてさて、棒切れ、ホネマイマイ相手に練習は骨が折れたが、今回は多数の敵が相手となる。身を引き締めて、掌をかざす。ここら一帯を吹き飛ばすイメージを創るのだ。砂嵐よりもっと大きく、一陣の風の刃が沢山、砂を折り込んだ一撃はまるでチェーンソー!!

 

 「フップ!!」


 今回は8m以上離れた敵だ。当たらなければもう一回、無理だったら逃げて様子見。頼む!ここで死ぬわけにはいかないんだ!!

 巻き起こるはかまいたちのような鋭い一撃、微量の石や砂が風の中を高速回転しながら薄く、それでも細長い風の刃が顕現し、そのままハイゴブリンの群れに突き刺さる。砂浜を蹴ったような音と共にゴブリンの体が宙を舞う。それでも集中を緩めない。追撃の刃を出現させるのだ。今の一撃でハイゴブリンが倒せるわけがない、HPの1/4が削れたか、位だろう。僕のいる場所を気づかれないようにもう5回同じことを繰り返すのだ。


 「ぐ・・・っフッ!」


 魔法は繰り返し使うとかなり疲れる。それにレベル15程度が低威力だとしても全体攻撃魔法を使うのはかなり負担がかかる。HPががりがり削れる音がする・・・・。それでも第二、第三、第四の刃を繰り出して、最後の刃を繰り出そうとした瞬間だった。風が穿つ音が聞こえ僕の体は後方に吹っ飛ばされた。何だ?・・・・・!!


 前方には弓を構えたハイゴブリンがいる。後ろの方にもまだ生き残りが居るようだ・・・。

 地面に背中を叩かれた僕はすぐさま刺さった矢を引っこ抜く。回復魔法は異物が体に侵入した状態でかけると傷が広がってしまう危険性がある。

 

 「うッ・・・!!!」

 

 白シャツが赤く血で染まっていく。筋肉が固まらないうちに引っこ抜いたのは正解だったが、それでも痛い!ハイゴブリンも手負いか、追いかけるスピードが遅い。すぐさまシャツをめくりあげ、血の根源に向けて魔法を放つ。


 「リープ!」


 破けた皮膚、血管が繋ぎ合わせられ、きれいな元の肌に戻る。そして目の前のハイゴブリンに掌を突き出し、魔法を唱える。


 「フッp―――――」


 だが不発。もう一度唱えようとすると後ろにすっころんだ。立とうにも立てない。息切れが激しいし、心臓の鼓動が高くなっていく・・・。ステータスプレートを見るとその原因が分かった。


 『パニック症状』『体力の低下』


 『Brave☩Innocent』は状態異常の数が多い。『しびれ』『火傷』『みずびだし』『しもやけ』などなど・・・・。その中には『鬱』『人格障害』など精神面に関する状態異常もある。そしてこの『体力の低下』というのは簡単に言うと『極度の疲労状態にあり』と言うコトだ。回復魔法で傷を回復したものの精神的な体力面に関しては意味がない。ただでさえマイナスなのに急に重荷がのしかかった、みたいな状態だ。


 「そんな、ことを言ってる場合じゃ、・・・ない」


 動かせる手を使って魔法を使わないとこの窮地は脱することができない。くそ、こんな時に限って指すら動かないなんて・・・。どうするドウスル!!?

 ハイゴブリンの足音がもうすぐそこまで来ている!どうすればいいんだ・・・。この体を死なせるわけにはいかない。せっかくキルエルの人生を貰ったのに・・・ここで朽ちるのはキルエルに失礼だ!助けは来ない。ミルに悲しい思いをさせてしまう。どうにかしなければッ僕がどうにかしなければ!!


 ・・・・ならば、僕がどうにかしよう。


 その声を皮切りに僕の意識は深い闇に落ちた。だが一言、聞こえたのだ。最後に、誰かの声が――。


 「勇者の根源(ブレイブモード)


 S S S S


 目を開ければそこは見慣れた木製の天井。家だった。

 僕はどうやって帰ったのだろうか・・・。あのハイゴブリンはどうなったのだろうか。起き上がろうにも起き上がれない。無理くり首を動かして辺りを見回すと椅子に座って寝こけているミルが居る。その手には僕の手がぎゅっと握られており、感覚がマヒしているのもあるが微かな温もりを感じる。目尻は少しばかり濡れている。彼女には、迷惑をかけてしまった・・・。

 とりあえず感謝と謝罪も込めて言っておくか。


 「ただいま」

  

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