珍獣がいました。《前編》
かなり遅くなってしまい申し訳ありません。PCが動かなくなったので直してもらってました。
俺は現在生霊を倒している。
「うぉッッふぉぉぉぉぉぉふぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
思い切り剣を振りかぶり、一撃を目の前の生霊共にお見舞いする。一気に生霊が消し飛び、周囲に露散する。
生霊は青白い体をしていて、全体的に靄が掛かっているモンスターだ。
このモンスターは不思議と死体を残さねえ。倒すとその場で消え失せるんだ。今まで死体が足場を無くすことがあったが今回の敵はそうでもなくて助かる。ただ、物理攻撃が効かない敵が今さっきから生霊の後方で増え続けているのだ!
そのモンスターは全身が灰色、緑色に変色していてほとんど肉がついてねえ人型だ。さらには人の真似事か服を着ていたり外れかけの鎧を着ていたりと何処かの国の住民の成れの果てみてえな感じがする。あと、めちゃくそ臭い。
「人型の敵とか気持ち悪いんだよおッ!!」
言葉は発さなくてもその姿には何かの威圧感を感じる。おどろおどろしいというか・・・。同じ人間を狩ることへの同族嫌悪とかか?いや、違うな。英雄創聖教を信ずる者は勇愛神様の御加護で魂が守られる。魂が守られなかったコイツ等は勇愛神様への進行を怠ったからこんな姿になったのだ。つまりは奴らは異端者なのだ。
つまり。
「異端者斬り飛ばして何が悪いッ!!!」
英雄創聖教を信じない者は全員異端者である。異端者には我々のような英雄創聖教を信ずる者が最後の手向けを行うことで、その死と魂を勇愛神様に捧げるのだ!だから俺のやっていることは人殺しじゃない。躾であり、聖裁であり、神罰なのだ!我々が勇愛神様の仕事を肩代わりしているのだ!!
俺はまた勇愛神様の手をお汚しにさせずに、また1つの神罰を剣に乗せて灰色の人に叩きつける。
上手く首が取れればソレこそ一撃で倒せるのだが、如何せん。アイツらゆらゆら動くせいで上手く首ちょんぱできずに肩や背中や足に当たる。
しかしまぁそんなに回避能力の高い異端者共だが、不思議なことに無茶苦茶臭い以外特にと言って害がないんだ。簡単に言えば攻撃をしてこない。まるで俺たちの事が見えてねえみたいにだ。
そのまま切り伏せられなかった異端者共は素通りで俺の後ろを行く。ふらふらとした足取りで。
「ま、俺たちに攻撃しないなら良いんだけど、な!!!」
俺はまた目の前の生霊共に剣撃を叩きつける。
「ずっと攻撃してると疲れるよ。休憩がてらどこかで一端、態勢を組みなおそうよヴェルト君」
俺が叫びながら剣を振り回していると横から声がした。
このパーティの中で一番知的で冷静な対応ができるのは一人しかいない。
マルク=ファットリ―。短い柄の斧と鉄製の盾を構えて、彼は言う。
「そうだな。とりあえず目の前の野郎どもを消し飛ばしてからだな!!」
俺が必殺の『気合の一撃』を放とうと剣を横に構える。
すると真横から俺の髪を撫で、突風が突き抜けた。それと同時に聞こえてくるのは余裕そうなイケボ。
「エバーズ流、38番の威吹・改。『レジェンドオールデリートハリケーンブラスター』!!!!」
俺の一撃が放たれる前にすさまじい暴風が生霊や人型の敵を薙ぎ払う。
空振りに終わった『気合の一撃』。俺は後ろを向くとやけに自信満々にレイピアを構えたレイブンが居た。
全滅した敵を見て、レイブンは鼻を鳴らして格好つけてレイピアをしまう。
「エバーズ流は未だ未完成。その不完全体である型に大英雄にして真の伝説の勇者であるボクの勇者流レイピア操術と、世界の敵を終焉に導く大災禍の天渦である天神の神風である『フーリ』を加えることによってそれは真の威力を発揮する!・・・・しかし、まだボクは本気を出していないにも関わらず準備運動で全滅とは情けない・・・えぇい!!もっと強い敵を用意するんだ!!」
ちょっと何言ってるか分かんないですね。とりあえず、レイブンはまだ実力を出していないということだ。
・・・マジか・・・。あの風でまだ本気じゃないなんて・・・。キルエルと違ってコイツは口だけじゃないってことか・・・。
俺は少しコイツの事を見誤っていたのかもしれないな。
俺がレイブンを見直していると後ろから何かに抱き着かれた。
全方向からぷにぷにが襲ってくるんじゃ~。
まぁこんなことしてくるのはアリアの他には一人しかいない。
「すごいですわ!!あれだけのモンスターを一瞬で倒すなんてさすが勇者様!!素敵!」
「おう、俺じゃないけどな。レイブンがやってくれた」
「流石は勇者様の仲間ですわ。彼をそこまで手懐けられるとはやはりは私の勇者様!!器の底が見えませんわ!!!」
「なんか大英雄であるボクがペット扱いされてる気が・・・・」
「気のせいじゃね?」
俺はとりあえず抱き着くリピアを放す。中々離れてくれなかった。
俺は一端周りを見渡す。生霊も人型異端者も居ない。全員倒したようだ。対してこちらの被害はほぼなし。非常に良い戦績だ。
だが、またアイツ(キルエル)が居ない。クソ、どういうことだ・・・。アイツどこ行った?
俺がチッと舌打ちをすると暗闇でよく見えないところから一人の黒髪の少年が走ってきた。
―――キルエルだ。
キルエルは散々俺たちに戦闘を任せておいて一人疲れも見せずにやってきた。それどころか何かを探すような仕草で壁や床を触っている。
俺は戦闘そっちのけで自分勝手な行動をしたキルエルに怒鳴りつけた。
「オイ!!キルエルテメェ!!!勝手に何処に行ってたんだ!!勝手に行動すんなっ!て何度言えば分かるんだ!?」
怒鳴りつけられたキルエルは聞こえるくらいに大きな音で舌打ちし、少しずつ近づいてきた。
「罠がないか調べてるんだ!あまり大きな声で急に怒鳴らないでくれ!集中できないだろ!!」
何に集中してるんだこの自己中は?戦闘に集中しろよバカ野郎!!
それにダンジョンに罠なんてあるわけないだろ!!あったら俺なんてもう罠にかかりまくりだろうが!
「嘘いうんじゃねぇよ!迷宮じゃあるまいしダンジョンに罠なんてあるわけないだろ!!」
「嘘かどうかは罠にかかってからじゃ遅いんだよ!下手すれば命を落とすんだぞ!!」
「嘘言うんじゃねぇよ!!認めろ卑怯者!勝手に行動するんじゃねぇ!!お前が勝手に動くと怒られるのは俺なんだぞ!!!!」
実際に狂乱暴徒じゃ、お前が居ないせいでマカロニさんに怒られたし!
俺が物わかりの悪いキルエルに詰め寄って胸倉を摑む。瞬間、キルエルは抜刀し俺の首筋に剣身を当てる。
「離してくれないかい?僕は命がけなんだ。君みたいな鈍感の能無し勇者に構っている暇はないんだよ?」
「んだとぉ!!!!」
まさに一触即発。どっちかが動けば戦乱になる可能性が高い。だが俺の実力ならキルエルなんて一瞬で乗せることが出来る。今は首筋に凶器当てられてるから動けねえけど。
どちらかが動けば間違いなく血が出ると言う緊張感とある人物によってすぐに解かれた。
「とりあえず、ね?落ち着こう?こんなところで戦っちゃぁ戦力も削れるしいいことないよ。最悪どっちも大けがするかもしれないし、そうなったら王様に迷惑かけちゃうかもしれないじゃん」
「そうです!ここで勇者様に汚名を着せるわけにはいかせません!!キルエル君はもう少し落ち着くべきです!勇者様を挑発しないように言葉に気を使って、可能な限り団体行動をしなさい!勇者様のパーティメンバーに入れてもらっている立場で勇者様に剣を突きつけるとは不敬罪ですよ!!」
マルクが仲介してくれたのだ。リピアはどっちかというとキルエルを煽っているように聞こえる。
それもあってか数秒が経過し、ゆっくりとキルエルが剣をしまう。
「・・・・・・・・今回だけ、大目に見ておこうかな」
そこを見計らって俺は思い切り顔面にめり込むパンチを繰り出した。俺の拳が油断したキルエルの頬にめり込むのが見えた。ちッ、触っちまった。後で洗わねえと・・・。
驚いたキルエルが真横にぶっ飛ばされる。正義の勇者である俺に剣を向けた仕返しにはちょうどいいだろう。正義に反抗する悪は何をされても文句は言えまい。ソレが世界の、俺に許された道理なのだから。
「・・・・・・・ぐっ」
キルエルが鼻をさすりながら俺を睨む。
対する俺は堂々とキルエルを見下げて勇者らしいことを言う。
「お前が俺の説教を真摯に受け止めて、自らの行いに潜む過ちに気づき、更生して次から人に迷惑をかけないようにすることを俺は願うよ」
「自業自得かな。こればかりは普段の行いの報いだし、庇いきれないよ」
「そうですわ!あなたはもっと心身を勇者様に捧げるのです!!」
マルクもリピアも俺の味方のようだ。そうだよな、悪いのはキルエルだもんな。
「行くぞ、皆。先はまだ長い」
俺はそう言ってダンジョンの向こうへと足を踏み入れた。
S S S S
『あいつら、禍根之終焉剣・マガツで両断にしてやりましょうかね?』
落ち着け、気持ちはわからんこともない。それでも今暴れることは得策じゃぁない。印象のクッソ悪い状態で暴れたりなんかしたら最悪、勇者パーティ追放でけでなく牢屋にぶち込まれる可能性だってある。
だから、今は耐えるんだ。
『・・・・分かった。くっ、あいつらァ、・・・・』
キルエルが苦虫をかみつぶしたような声を漏らす。おいおい大丈夫か?怒りの一端が出ているぞ。
まぁでも、さぁ、殴ることないじゃん勇者。ここのダンジョンに限らず罠はかなり怖いんだぞ?
ゲーム界の罠は確かに強力だが、主人公やそのパーティメンバーが死ぬことはない。そもそも罠にはかからないのだ。かかるのはそれこそ悪役キャラであり、主人公から逃げようとすると罠のスイッチを踏んで串刺しになったり首を持っていかれたりとかなり不遇な末路をたどる。
何にせよ、前も言ったがここはゲームにほぼ酷似した世界線だが現実だ。
罠の種類は数知れず。僕はやりこみまくったのであらゆるダンジョンの罠の数、罠の種類を全て網羅しているのだがここのダンジョンはやばい。漫画やアニメでよく見かけるような王道の罠が多数収録されているのだ。
罠1:落とし穴
罠2:床から針が突き出す。
罠3:天井から剣が落ちてくる。
罠4:魔法攻撃・火
罠5:魔法攻撃・風
罠6:天井が下がる。
罠7:巨大な斧が降ってくる。
どれもこれも当たり所の悪さによっては死に至る危険性のあるモノだ。それがこのダンジョン内にあるのだから、発生源のスイッチを探すのは当たり前だと思う。
「罠にかからない主人公補生が僕にもあったらなぁ」
ゲームでの罠は確かに厄介だが、そこまで精神を研ぎ澄ますほどの脅威ではなかったからほぼ無視でよかったのだが、現実となるとかなり厄介だ。誤ってスイッチを踏んだ暁には串刺しか八つ裂きか焼死かだからだ。
僕は置いて行きおった勇者たちの跡を追いかけて暗いダンジョンの先へ駆けた。
S S S S
何か戦闘音が聞こえたため僕は2つの方向に分かれた道のうち、右を選んで進んだ。
ちなみにどっちに進んでもボスの部屋に行きつくからあまり道筋なんて関係ないんだけどね。
『壁が破壊されているとは、・・・どういう戦闘の仕方を・・・』
僕が進んだ道の先はかなり荒れていた。まるで大型モンスターが通った跡地のようだ。
ここには悪霊とゾンビしかいなかったはず・・・。なんだ蛮族でもいるのかここは!?
あらゆるところに人が押し付けられた跡や剣撃の傷跡がある。おそらく形からして勇者だとは思うんだけども・・・・。
「ここまでなるってなんだ・・・?あの勇者なら悪霊系に出会っても大丈夫だとは思うんだけども。ゾンビの襲撃なら魔法かポーションがあるんだから投げればいいし・・・・、何があったんだ?」
僕は戦闘の跡を順々に追っていく。しばらくするとあるものが見つかった。
それは細長く透明な、割れた瓶である。近くには緑の液体が撒かれていた。
「量からしてミスったやつかな?それにしてもほかに割れたポーションなんて見つからんし・・・」
ポーションが投げられているということはゾンビが居たことになる。だが、おかしいのは壁が破壊されるなどゾンビの力量ではなしえないことだ。
ゾンビは基本無害である。作画こそどちゃくそ怖いが攻撃というよりは体から発される『死臭』で相手を状態異常に陥らせるという、なんとも迂遠な方法で攻撃してくる。
ちなみに豆知識、人を物理的に襲ってくるのは屍人ではなく喰い人だ。作画こそバキバキに怖いがゾンビの眼は蒼で、グールの眼は赤だ。覚えておいて損はない!
だからここまでの惨状を作るのはゾンビでは不可能ということになる。じゃぁ何がここまでの跡を残せるのかだが、・・・。
僕が当てはまるすべての魔法とモンスターと武器の知識で推測していると背中から何かの気配を察知した(キルエルが)。
『危ないぞゲーム君!!』
キルエルがとっさに僕の体の足を動かして上によける。
すると瞬間、僕がいた場所が陥没する。!?とりあえずありがとうキルエル!
すぐさま距離を取って着地して、攻撃の主を見る。
体がボロボロで紫の肌、髪は長くてぼさぼさで垂れ下がっている。体の隙間からは緑に変色した骨が見え隠れしている。僕と同じくらいの身長で、村人が着ているような服を身に着けている。
それは僕の知っている身近なモンスター、屍人だった。
質問への回答。(アカウント名は載せません。いちいち返答するのが面倒なので此処に書きます)
Q、YouTube含むSNSのアカウント名で、この小説のキャラ名を使ってもいいですか?
A、炎上を誘うようなコメントや動画を控えてくだされば使っても構いません。
Q、他の小説は書かないのですか?
A、未定です。非常に自分勝手で読者の皆様には申し訳ないですが、この小説を完結に向かわせてから書きます。
Q、ヴァイロンは神類の次に強いとされいますが、加護の説明に『時空神の加護』と書かれていました。矛盾するのではないでしょうか?
A、(ネタバレではないので言いますが)ヴァイロンさんはガッチガチの『神』類のキャラです。ですが人間化して弱体化しているので、『神』類の次に強いという立ち位置になっています。




