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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第一章 『憑依☩生活』
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ヒロインがクズでした。

 ~『冥界の王の墓場』にて~


 何故かいる旅商人。


 お前暇なんか?って思うくらい居る。


 勇者が行くダンジョン前には必ず居る!なんならボス部屋前にも居る!お前、今さっきダンジョン前におったやろ・・・・・・って毎回思う。


 でも日々会うたびに「何かあるのでは?」と思ってしまう。


 その結果、行きついた結論は『勇者の事が大好きなヤンデレストーカー(オス)』という究極を極めたような残念過ぎるモノとなった。


 話を戻そう。


 僕ら勇者一行はダンジョンに無事到着した。


 ダンジョンは神殿?を想起させるような建物型で柱の側には机を広げて品物を並べた旅商人が居る。


 「おーい、おっちゃん何売ってるの?」


 勇者は紫のロングコートに身を包んだ、見た目不審者としか言えないオッサンに普通に話しかけに行った。勇敢なのか、ただただアホなのか(おそらく後者)。


 「はっは!坊主、このダンジョンに潜るんならアイテムはそろえた方がええよ。そこのパーティの皆さんもどうぞ」


 オッサンはコートの内側を広げる。そこにはまだ僕らが手に入れられない剣やナイフ、弓矢がしまってあった。ちなみにここで買えるモノは案外沢山ある。


 『霊感バッジ』10個 1個300クラン

 『ポーション』20個 1個100クラン

 『霊除けのお香』5個 1個600クラン

 『鉄剣』5個 1個500クラン

 『木の杖』4個 1個200クラン

 『鉄の盾』4個 1個500クラン

 『呪い治し』10個 1個30クラン

 『興奮剤』3個 1個50クラン

 

 正直欲しいモノが沢山ある。霊感バッジはいつも通り、ポーションや霊除けのお香とか、・・・。

 

 僕は我先にと旅商人に近づき、銀行ギルドのカードを取り出す。


 「霊感バッジ1個、ポーション4個、霊除けのお香1個、呪い治し2個くだs」


 「何勝手に行動してんだキルエル!!」


 「ぐえッ!?」


 早速準備に必要な物をそろえようとすると勇者が僕の襟を摑んで後ろに引き倒した。急な暴力に受け身を取れずに後ろに倒れるとさらには怒号が飛んできた。

 

 「何するんだ!僕は準備を整える為にアイテムをk」

 

 「俺が先だろうが!!」

 

 「はぁ!?」


 僕が反抗すると、勇者はキレ気味に言い放つ。

 

 「俺がリーダーなんだ!アイテムは先に俺が見て買う!それにお前は狂乱暴徒(スタンピード)の時もそうだが、自分勝手に行動するんだからお前を先に行動させるわけには行かない!!」


 「いや、それはお前らが勝手にk」


 僕が言い返そうとするが、また遮られた。


 「勇者様のご判断に口を挟むとはパーティメンバーとしての自覚が足りませんわ!キルエル、あなたは勇者の格ではないのですから、勇者様の考えが分からないのです!」


 そう言ってリピアは格好良く指を指す。人を指さしちゃいけないって社交辞令とかで教わらなかったのかなこの姫は。


 多分、なんも考えてないと思うぞその蛮族勇者。ただ単に『キルエル=自己中の悪者』っていう固定観念と『何売ってるのか気になる~』っていう好奇心しかないと思うぞ。


 まぁでもここで変に突っぱねると勇者から僕に対する心象がさらに悪くなるだろう。そうなると、今後の僕の活動に支障をきたす可能性がある。

 

 ここは敢えて従っておこう。面倒ごとはごめんだぜ!


 僕が下がると勇者とリピアが喰らいつくように旅商人の売買アイテムを見はじめる。


 僕はSAN値が削れる音を聴きながら待つこと10分。


 やっと僕の番が来た!あぁ、きつかった。さてさて、勇者のせいで結構時間かかったけどある程度のアイテムは残ってるだろ。


 僕は再び銀行ギルドのマネーカードを取り出すと、旅の商人は困った顔で首を横に振った。


 「売り切れだよ。アイテム全部売り切れ。あそこの嬢ちゃんが全部買い占めたんだ。すまないね」


 「なん、・・・だと・・・・っ!?」


 どうやらあの天然ドジ姫がアイテム全部買い占めたようだ。ふと見ると天然ドジ姫がノミや偽善者に買い占めたアイテムを配布している。


 おん?勇者に全部譲渡するのかと思いきや、そこまで鬼畜野郎ではないみたいだ。へぇ、意外だな。とりあえず僕も貰っておくか・・・・。


 僕は天然ドジ姫に近づき、アイテムをねだる。だが天然ドジ姫は僕を一瞥したかと思うと、自分で頭をこつんと叩く。てへぺろ☆みたいな顔だ。イラつく顔である。ゴキジェットを吹きかけたい。


 「いっけな~い、もう一人いたんだった~。でもいいよね!勇者様に楯突いた罰としては丁度いいし。きゃはっ☆私、頭良い~~!!」


 いや、ふざけてるのか!!頭どうこう、罰がどうこう関係ないんだよ!!

 あざとピースするリピアだが、これはわざとやっているのはなく、素なのである。リピアには意図せずに相手を怒らせる一種の才能がある。

 そして、その無意識の挑発に乗ってしまった僕は声を荒らげる。


 「ふざけるな!!そんなつまらないことでアイテムの貸し借りを拒むなんて、それでも君は冒険者なのか!その遊び半分の罰ゲームがパーティメンバーの命に関わるんだぞ!!」


 特に今回のような、特定の武具やアイテムがないとダンジョン攻略に支障が出るような場面ではそんな「罰だから、仕方ないよねwww」みたいな行為は命に関わる。ゲーム世界ではコンティニューが効くし、何よりキャラという概念に置いて死ぬことはないが、ここは現実世界だ。HPがいくら高かろうと胴が分断されれば死ぬし、心臓に穴を開けられても死ぬ。首が飛ぶと死ぬなんてザラなのだ。


 だから、彼女のこういった行動はしっかり糾弾し反省させる必要がある。


 だが、ここでは勇者が主人公。どういった経緯があっても『ヒロイン』は守られるべき存在なのだ。だからこそ、彼が話に割って入ってきた。


 「どうしたんだリピア、キルエルが何か言ったのか?」


 「そうなの~~!私がアイテムの配分間違えているって~~!」


 天然ドジ姫は今さっきまでの余裕は何処へやら、勇者と言う最強の切り札を切る。

 勇者も勇者で姫の事を「リピア」と呼び捨てだ!クソッ!これが勇者クオリティ・・・。


 「そんなことか。大丈夫だよ、リピアは何も悪くないから・・・・・キルエルテメェ!アイテムの配分程度の事でいちゃもんをつけるな!!アイテムの1個2個なんて誤差なんだよ!!」


 誤差っていう可愛い言葉じゃないんだよな。僕はなんも渡されてないんだぜ?


 「僕はそもそもなんにも渡されてないんだよ!さすがにアイテム0個でダンジョン探索行かせる奴があるか!!」


 「だからって女の子泣かせていい理由にはならねぇだろうが!!っていうかキルエル、テメェは聖杯持ってるんだから他のアイテムももう持ってるだろ!器以上の富を求めるんじゃねぇ!!」


 「持ってないy」


 「言い訳するんじゃねぇっ!俺はリピアに人数分分けると言った。で、リピアは全員分ちゃんと配分した!余ったものは『勇者様の予備としてどうぞ』って言ってくれる良い女の子なんだ!!これ以上リピアを責めるなら、俺が許さない!この卑怯者め!」


 勇者はそう言って、天然ドジ姫を慰めて「行くぞ!!」と言いパーティメンバーを引き連れてダンジョンに入っていく。


 『主人公と言うのはどうして仲間を『疑う』ことができないんでしょうかねぇ』


 キルエルが呆れたように言葉を吐き出す。


 とりあえず僕も勇者たちの跡を追ってダンジョンに入った。


 S S S S


 ゾンビA ゾンビB ゾンビC ゾンビD ゾンビE が現れた!

 

 キルエルは『フップ』を唱えた。


 ゾンビ達に合計1000ダメージを与えた!


 ゾンビ達は倒れて灰になった!キルエルはレベルがアップした!


 キルエル=ヴェルモンド

 レベル35→36

 HP627→HP630

 攻撃力420→攻撃力420

 防御力410→防御力410

 素早さ433→素早さ439

 魔力412→魔力422

 

 かれこれこんな字幕を脳内で張って戦闘すること40分。


 異常なほどのゾンビを片付けている。どれもこれも勇者らが倒せずに残ったものだ。僕は残飯処理班じゃないんだよ・・・。


 経験値もたまりにくいしうじゃうじゃ出てくるしで僕としては面倒くさいことこの上ない。


 『ちなみに悪霊系は前方の蛮族が蹴散らしてるんですよねぇ』


 ゾンビと言えばアンデッド、悪霊系統のモンスターとは違い物理攻撃が通じにくい。痛みを感じない上、叩いても叩いても起き上がってくるのが難点。だがポーションをぶつけると問答無用で浄化できる。だが、ポーションはアンデッドを殲滅できる代わりに経験値を得ることができないのだ。

 それゆえに僕はポーションは使わずに魔法をぶっ放して倒している。


 またもや前方からゾンビが出てくる出てくる。なんでお前ら勇者には襲いに行かずに僕を襲いに来るのさ?


 僕はすぐさま『フップ』を唱えて殲滅する。アンデッドは魔法に弱い特性があるからすぐに倒せる。でも経験値はたまらない。だからめんどい。


 それを続けること何分か・・・。ほぼ無心で魔法を撃っていると、背後から声を掛けられた。


 「前線で灰色の人型モンスターが沢山出てきて困ってる。どうにかならないかしら?」


 振り返ると、天然ドジ姫が居た。どうしたお前、今さっき勇者を追いかけて前線に行ってたじゃん。いつの間にに後ろに・・・。

 

 それはさておき、僕は無性にコイツを殴りたくなった。


 アイテム一つも寄こさずに僕を悪者扱いしたお前が今更応援要請か?使えるだけ使い潰して何も与えずに使えなくなったら捨てるなんて、この国の未来を背負った次期女王のやることか?言ってること完全にアットホームなブラック企業のキャッチコピーじゃねえか!!あと灰色の人型モンスターじゃねぇ。ゾンビだアレは。今一度『Brave☩Inoccent』敵キャラ解説ブックを読み直してこい。


 でもここで反抗するとまた勇者が出てきてピーピー騒ぐのかと思うと心的疲労が募る。なので僕は早く天然ドジ姫を前線に行かせて視界から消したいがために『必殺技』を教えることにした。


 「ポーションぶつければ倒せる。あいつら人の死体を模してるモンスターだから設定も守ってるはずだ。だとしたら回復薬ぶつけて死体を回復させれば自動的に浄化される。あと、灰色人型モンスターじゃない。ゾンビだ」


 「あらそう、アレってゾンビって名前だったのね。・・・はぁ、もっと早く言ってくれれば私が勇者様を疲れさせずに済むのに、・・・はぁ、全く使えないわねこの凡愚の負け犬が。私が出来る女だってのを勇者様に証明しないといけないのに、何で後になってから情報を出してくるのかしら腹立たしい・・・」


 『あァッ!!??』


 聞き流すつもりだったが、もろに聞いてしまったキルエルがキレる。落ち着け!気持ちは分かる!


 じっと耐えると姫は軽い足取りでゾンビの中に突っ込み、そのまま勇者の元に行く。


 なんであのゾンビ共、突っ込んだ天然ドジ姫のこと無視して僕に向かってくるんだよ!!


 僕は半ばあきらめ状態で全体攻撃魔法を放った。ついで天然ドジ姫にも当たるように念を込めて魔法を撃った。


 ・・・・・・勘弁してくれぇ。

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