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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第一章 『憑依☩生活』
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とりあえず鍛えます。

 あー、寝落ちかコレ。ずっとカフェイン剤ぶち込んで強制的に体動かしていたのが来たのか。


 それにしても僕はいつごろベッドになんか入っただろうか。そして何故こんなに明るいのだろうか。窓ガラスはガムテープですき間なく塞いだはずだぞ。

 

 「起きてー。キルエルーー」


 おん?キルエル?何言ってんだ?僕はキルエルなんかじゃない。やばいなキルエル好きすぎてキルエルと一体化したのか・・・・。何言ってんだ僕は。せっかくのベッドが日差しで台無しだと寝返りを打つ。近くにはキルエルを呼ぶ女の子の声が―――。


 「もーう!!キルッエルッ起きるーー!!!!」


 叫び声がしたかと思うと後頭部に鈍い衝撃が走り抜ける。ぐふぅッ!おごぱッ!?


 瞬間、目がカッと見開きその後に来る痛覚に目を瞑る。体を動かそうにも重い物がのしかかってうまく動けない。ムギムギと首だけ動かすと僕の上に乗っかる原因と目が合った。茶髪で目が黄色。僕を見るとにんまり笑う。何この生き物、心がぴょんぴょんするんじゃぁ~~。

 

 それよりも重い。普通に重い。現在肺が圧迫されている。ぐえっ。


 「ちょっ・・・・重い。どいて・・・・。重い」


 僕が盛大に嫌な顔をすると女の子は「もみゅう~」と頬を膨らまし腕を回して首をホールドしてくる。コイツ、僕が動けないのを良いことに・・・!!

 

 「重いってミルに失礼ぃ~~!!ミルは太ってないもん~~!!」


 ギュムギュムと僕の首が締まっていく。ぐええええ!!ギブギブ!


 またもや遠のく意識に僕は両手で抵抗する。

 

 「ごめんごめんミルは綺麗可愛い器量よし!!」


 するとすぐにホールドが解除され息を吹き返すことに成功する。あっぶね、これ現実だわガチの現実だわ!!その現実で死にかけたわ。

 眠い眼をこすりながら目の前の女の子を確認する。茶髪で目が黄色の女子。見た目だけだとクエスト『真の勇者』ラストで登場するヒロインに似てるのだが・・・、うーんまさか、偶然だと思うけどねぇ?まぁでも確認は大事か。


 「僕はキルエル=ヴェルモンドだったっけ?ミル~~」


 するとミルは「はぁ~~」と息を吐き僕に詰め寄る。そして僕の耳を引っ張り大きな声で叫んだ。


 「あったりまえでしょうが!!まだ寝ぼけてるの!?顔で水を洗いなさい!!」


 そういえばだが『Brave☩Innocent』ではすべてのキャラクターが操作対象で、ゲーム内にいるあらゆる通行人などをパーティに入れてからステータスを見ることが出来たりする(ただしラストクエストをクリアしていない時のキルエルは除く)。今の言葉が正しいのであれば僕の精神が入ったキルエルは紛れもなく『Brave☩Innocent』のキャラである可能性が高い。ていうか顔で水を洗うってなんだよパワーワードすぎるだろ。


 結局この村で蛇口があるわけでもなく僕は家を出たちょっと先の川に行った。村の形も家の形もすべてが僕の知っているキルエルの生まれ故郷である。ここまで来るとそうなのだろう。


 これはいわゆる異世界転移なのだと・・・!!


 とするならばもちろん自分のステータスだって見れるはず!なぜならこの世界があまりにも僕やっていたゲームと酷似ているからだ!!と、自分でもそんな偶然あり得る訳がないと思いながらも、「もしかしたら」の可能性も踏まえて僕は頭の中で自身のステータスを写すようにイメージをする。しかたない。今ここにPCのキーボードはないのだから。


 普通の異世界ならステータスだのレベルだのという概念は無いとは思うが、日本産のゲームキャラの名前と異世界のキャラの名前が合っているなんて非常事態が起きているのだ。そんな激似の世界なんだからステータスくらい出せるだろう・・・?

 

 うぬぬぬぬ・・・・!!と唸り続けていると僕の目の前に黒い掲示板っぽいのが現れた。これだ!僕は早速ステータスを確認する。『Brave☩Innocent』ではステータスプレートを逐一確認しないと絶対に後悔するのだ。それくらい面倒くさいが理解しやすいゲームなのだ。


 キルエル=ヴェルモンド(10歳 男 役割無し)レベル2

 HP20 攻撃力3 防御力2 素早さ2 魔力3 精神力-63 運2

 スキル:無し

 加護:無し

 魔法属性:無 闇

 

 このゲームは他のゲームとは違い、ステータスに『精神力』や『運』が存在しているところだ。これはステータスに非常に絡んでくるのだ。クエスト『真の勇者』で仲間になるキルエルはレベルがカンスト状態で仲間になりゲーム内では単体で最強装備の『村人』を瞬殺できる力を持っている。それまでは正式に仲間にならない為ステータスは見れなかったが・・・・、え?弱くね僕。レベル2でステータス総計が30ちょとなのはスライムとかゴブリンとかそこらへんだ。


 しかし、・・・待てよ。僕はステータスをもう一度見直す。精神力が『-63』となっている。

 精神力と言うものは他のステータスにも多大な影響を与える。精神力はいわゆるテンションであり低いとその分ステータスも下がり、使える技のバリエーションも少なくなる。持ってた加護も使えなくなったりと不便極まりない。しかし精神力が高いとその分ステータスも向上し、今まで使えなかったスキルや技、はたまた加護も使えるようになる。その他いろいろな付与効果をもたらしてくれるものだ。


 そう考えると、キルエルはレベル2にしてはとてつもなく強い!?精神力がマイナス63であるならば精神力が通常の0に戻るとステータス総計が300超えになるのだ!ヤバい!バケモン!!こればかりは僕も知らなかった。

 

 そういえばだけど、僕ってキルエルが好きなだけでキルエルの事何も知らないじゃん。

 僕は技ボックスの中身を確認する。技ボックスには今使える魔法や技ボックスが入っているのだ。


 技ボックス

 フップ:風属性と土属性の合成魔法。威力は小。全体攻撃。

 リープ:回復魔法。回復力は大。単体回復。

 

 まぁこんなもんか・・・。でもリープ持ってるのは凄いな・・・。基本、回復系の魔法を使えるキャラは総じて『魔法使い』の役割を持っていたはずでキルエルは何故か『暗殺者』の役割を持っていた。その他にも回復魔法を使えるのは『勇者』くらいであり、他の役割の場合使えてもリーパ(回復魔法の初級魔法)なのだ。

 

 次にスキル、加護一覧。こちらも今使えるスキルや加護が乗っている。ただしキルエルは使えるスキルとか加護とか無いので後回し。・・・・・うん?スキルと加護の違い?スキルは修行やレベルアップなどで手に入れたりできるものでそこまで強くないのからとても強い物、ピンからキリまである。それに対して加護と言うものは先天性の物が多く、加護はスキルとは違い無償で力を与えてくれている点だ。それもスキルで得られる力より強い。しかし加護は上限数が存在し、通常の場合2~5個が限界であり、勇者や魔王その他の仲間にしにくいキャラは総じて10個に近い加護を持てる。スキルは人柄関係なく20個近くまで持てる。・・・誰に説明してるんだ僕は。


 「今の年齢が10歳と言うことは後1年で剣大会が始まるのか・・・」

 

 剣大会は正式名称『ガラシア武闘大会』と呼ばれており、11歳から13歳までの子供たちが自身の剣技を競って戦う大会である。勇者が初めてキルエルと出会う場所だ。

 

 ・・・確かあの時キルエルは反則負けを喰らったのだ。魔法使用禁止を破って主人公に魔法を浴びせたのだ。確かアレはチュートリアルの途中で・・・。


 「何にせよ、あそこって推定レベル7だったよな・・・。今のレベルだと全然足りないじゃん」


 この大会で優勝すれば『勇者』への推薦状を受け取れるんだったか・・・。キルエルは何故か『勇者』に固執していたしな・・・。これで武闘大会で優勝できればキルエルの目的に一歩近づくだろう。

 

 S S S S


 僕は急いで家に帰り倉庫にあった木剣を手に取り山に行く。正直キルエルの住んでる村はまだ探索していないところばかりだしゲーム内では入れなかったところだ。


 「それに、ここのレベルUP機能がゲームと同じなら・・・ッ」


 『Brave☩Innoent』におけるレベルの上げ方は様々であり例えば、

 1モンスター及び喧嘩を吹っ掛けてくる野郎を叩く。(レベルによって得られる経験値が違う)

 2リラックスする。(特定のエリアでリラックス用の音ゲー《激ムズ》をやる)

 3運を向上させる。(運が1時間以内に100上がるとふとした瞬間にレベルが1~9上がる)

 である。


 だがしかし、この村にはリラックスエリアは無いし運は何で向上するかがマジで分からん。なので消去法で1を選ぶ。そして目の前にはそのモンスターともいえる生き物がてくてくと歩いている。カタツムリの殻が骨製ドクロで目が3個ある。色は中々に毒々しい紫と白だ。足も生えてる。何で?


 ホネマイマイ。レベルは4~5、HPは300固定であり攻撃力は60~70。レベル4なのに低くね?って思ったそこのアナタっ!!違うんですねぇ~。このホネマイマイ、魔力が480(固定)あるんですよ!しかも防御力も370~373あるんですね!!でも素早さは割と遅い方で20~21。基本的に敵キャラのステータスはレベル4~5で総合400ちょっとあるのが普通。でも『Brave☩Innocent』の制作側の人は何を血迷ったかステータスのどこかに必ずバカみたいな偏りを施したのだ!その例が目の前で散歩するホネマイマイ。こいつの魔力だけで総合ステータスを軽く超えるのだ!ちなみに運や精神力はコイツは0から微動だにしない。僕も好奇心で100体捕まえてレベルカンストさせたの結果、運はレベル900時に急に50000とか入るのに対して精神力は永遠の0であった。


 ゲーム内だからこそこういったヌメヌメしたモンスターは愛嬌があるが実際にこんな奴がテクテク歩いてたら恐いわ!!そういえばだがここはハイゴブリンも生息しているのだ。何故?って?それはホネマイマイの背負うドクロはハイゴブリンの頭蓋骨、と図鑑(攻略本)に書いてあったからだ。・・・本当、僕は誰に向かって説明してるんだろ?


 まぁいい。気を取り直して戦闘準備をする。ホネマイマイはハイゴブリンを溶かせるほどの強力な酸を吐く。一撃240ダメージ(固定)であり水+毒の属性を持つ合成魔法を使ってくる。酸攻撃は耐久度の低い防具や武器を一瞬で溶かす。しかも毒属性は『皮膚に当たった』判定が出やすいため、すぐ毒状態になる。


 倒し方は簡単。後ろに回り込んでドクロとナメクジを離す。するとナメクジの方は激昂して頭蓋骨を取り返しに来るが、気づいて激昂するまで時間が10秒あるからその間に倒す!以上!

 

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