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主人公補正なんてクソ喰らえッ!!  作者: うにゅら帝皇神
第四章 『大規模侵攻☩裏切り』
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分解されました。

 大分このイロモノ集団にも打ち解けてきたなぁと思った矢先、ジォスがついさっきの僕の台詞を掘り返してきた。


 「キルエルだけじゃねー、俺もあの指揮には従わねー方が良ーと思うんだ」


 「ジォス君もなの?・・・・どゆこと?」


 ジォスの賛同にノゥアが首をかしげる。


 ジォスは改訂版ゲームプレイヤーでもあり、キルエルの第2の理解者でもある。だがしかし、その発言は腑に落ちなかった。僕のように”絶対”とまでは行かないような声音だったからだ。


 「何か問題でも見つかったのか?確かに今さっきの作戦説明にはボロがある。戦争経験のある参謀ならばあの作戦が完璧なモノではないと言うのは明らかだと思うのだが・・・」


 「問題、ボロ・・・・」


 僕は今さっきのカスタマーの言葉を思い浮かべる。だがおかしな点は無かったはずだ。


 「長はもう既に分かっているとは思うが、『狂乱暴徒(スタンピード)』で出てくるモンスターの数は無限じゃなければ、ジャウール教の持つあの”召喚魔法を大気の魔力を使って自立稼働する核”は存在しない。いずれ終わりが来ると言うのに”わざわざ源泉を叩く必要があるのか?”と言う話だ」


 「―――――ぁ」


 アンプログリッツの見解に僕は息が止まった。ソレは考えていなかった。


 「―――”まるで、国を守る戦力を削る”ような―――」


 「そうだ長よ。流石にコレはお見通しか。・・・・Aランクと斡旋されたBランク冒険者だが、我が指名されている」


 「えッ!?そうなの???」


 さらに僕は驚いた。隣に居るノゥアも目を見開いて口をパクパクさせている。


 僕のあまりの驚きにアンプログリッツは瞳孔を少し開き、嬉しそうに目尻を丸くさせる。


 「斡旋基準は仕事の遂行量と、その達成率だ。我はその基準の斡旋対象の第1候補だった」


 「ちょまッ、俺はどーなんだよ!Aランクなのに呼ばれなかったんだが!?」


 「私はメイド業もあるから冒険者活動できないのは仕方なかったのかも、だけどジォス君Aランクなのに選ばれなかったってどういう事?」


 まぁ確かにノゥアの疑問は最もだ。こんなガチムチアグレッシブ世紀末野生児でもAランク、腐り綻び錆びカビて傷んでもAランク冒険者だ。ソレが選ばれなかったと言うのは、まぁ多分僕の想像通りで、


 「イドは任務中に他の冒険者(男の子)に現を抜かしたり、気づけば産業国家に行ってBL本買ってたりして任務をほったらかしにする事がよくあり―――」


 「でも俺はAランk」

 

 「そして何よりギルド関係で問題を起こし過ぎている」


 「「あー、納得」」


 僕とノゥアが同時首を振る。


 ソレなら文句はねぇ。しっかりと危険物扱いしている辺り、腐ってもギルドには人を選ぶ脳があることが分かる。あと、ジォス。そんな「ブルース!お前もなのか!?」みたいな目で見ないでくれ。ナカマだと思われたくねぇ・・・。


 そんな微妙な哀愁漂う空間を何とかしようと、僕は話題を探す。


 「・・・・・・・・そういえば、ジォスがカスタマーに反対派な理由ってなんだい?」


 「サラッと俺の気持ちが流された気がするがまーいーや。・・・カスタマーの指示が何でダメなのか?簡単だろ。素粒子の動き、筋肉の微細な動き、電気信号と脳細胞の動きを見れば、アレの指示に裏があるのは見て取れる。というか、会った瞬間分かったわ。コイツ、アレだなってよー」


 じ、地獄過ぎる・・・。コイツ公衆的ストーカーじゃねぇか・・・・ッ!?見りゃ分かるってお前、目線にX線でも搭載されてんのか?というかX線で素粒子が見れるのは分からんが・・・。


 しかし気づいてしまったのかコイツ。アンプログリッツとノゥアは未だにジォスが何を言いたいのか掴めかねているようだが、僕は分かったぞ・・・。


 「やはり分かったのかジォス」


 「改定前ゲームをやったことあるキルエルなら分かってるんだろー?その時点で俺よりキルエル愛がツエ―ってことじゃねーか」


 その言葉を肯定し、首を縦に振る。当たり前だろ。僕のキルエル愛が無生物に宿る愛とほぼ同列なんだぞ。愛のレベルにどうこう言う資格なんて持っては無いが、コイツを保有する上で大事なのは情報量じゃなく、単純な年数の数だ。情報量が多くても数か月で冷めるようじゃ意味がねぇ。情報数個しかなくても数年間冷めなかった方にこそ、意味がある。


 閑話休題。


 「キルe、・・・・僕の冤罪を晴らすために奔走したからね。結果がコレさ」


 「確かに見ただけで分かる俺と違って、証拠があるからな。クソッ!全員が全員してキルエルに罪を擦り付けるってどーいう神経してやがんだ・・・・ッ!!」


 ジォスが地団太を踏み、僕は少し現世のプレイヤーたちの”冤罪を疑わない”知能の低さを思い出し、呆れ声を出した。


 「で、何の話をしているの二人とも・・・・」


 「今の話を聞いている限りだと、あのカスタマーとやらが・・・・」


 ノゥアは何も分かっていないようだったがある程度何か嫌な予感は感じているようで、アンプログリッツはもう既に結論に達しつつあった。


 なのでもうばらす事にしました。


 「もう勘付いているかもしれないが、カスタマーは裏切り者だ。勿論、ジャウール教の刺客でね」


 「「「ッッ!!?」」」


 僕がそう言った瞬間、全員が驚愕の表情を浮かべる。アンプログリッツとノゥアは分かるが、ジォス。何でお前まで驚くんだよ。


 S S S S 


 僕は事の次第をアンプログリッツとノゥアに伝え、戦力の配置図を見る。そしてコンマ数秒で僕の心は絶望に打ち砕かれた。


 「う、ウソだろ・・・・・」


 「コレは流石に悪意と言うモノがあるのだろう。何故この配置なのだ。ついにギルド、人選までぶっ飛んだのか?」


 「俺は一応分身なりコピーなりで全員に張り付くことはできるけど、皆をそんなことしたらドッペルゲンガー現象が起きちゃうからなー」


 「ドッペルゲンガー現象って何?・・・・・でもこの配置ってさぁ」


 僕と同じく三人も三者三様の反応を示す。


 ソレもそのはず、迎撃部隊の配置図には明らかな”違和感”があった。


 迎撃部隊は全部で4つ。


 王都中心から展開される5枚の分厚い壁の内、『狂乱暴徒(スタンピード)』が起こったのは第4と第5の壁の広い草原や大きな山が連なる地形。迎撃部隊は第4の壁の出入口にそれぞれ2か所に2部隊、その後ろ、簡単に言えば第4の壁の内側出入口に2部隊。


 極厚ウェルダンな重装備壁の出入口に部隊を配置するのは良い。壁の上には魔法使いギルドから選出された多くの手練れ魔法使いが居るのだから、戦術に特にと言って文句はない。


 だがおかしいのはその迎撃部隊の人選だ。


 基本的に脳筋かつ(筋繊維含む)パーティメンバーの団結を大事にするガラシアは大抵、大事な戦争があれば同じパーティメンバーで固めて迎撃部隊に回す。変にランダムで選んで回すと相性の良いスキルや連携、『共振奥義(レゾナンス)』を発動できないからである。


 ソレを理解したうえで、この配置図を見ていただきたい。


 ~百鬼夜行(キチガイサイコ危険物)メンバー配置先~


 第4の壁外側出入口(右側):キルエル=ヴェルモンド


 第4の壁外側出入口(左側):アンプログリッツ


 第4の壁内側出入口(右側):ジォス=アルゼファイド


 第4の壁内側出入口(左側):ノゥア=ヴィアチェ


 沢山あるパーティの中、何故か見事に僕らのパーティだけバラバラである。協調性なんてあったモンじゃねぇ。ギルドによって直接的にはぶられてるんだがッ!?後なんで百鬼夜行の上に小さくルビ振ってんだよ。読み方が違い過ぎるじゃねぇかッ!!


 僕は内心突っ込みを入れつつ、その下にあるパーティの配置図を見る。


 ~正義の勇者メンバー配置先~


 第4の壁外側出入口(右側):全員


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 えぇえぇ、分かっていましたよ僕は。


 フッと息を吐き、ゼロ距離からの握りこぶしを叩きつける。放つは右フックだ。最ッ高の憎悪と憤怒を拳型の質量に込めて放つ強力なフックだ。右手は添えるだけで大丈夫。何故かって?拳に乗せた気持ちは壁をも超えて勇者の頬に打ち込まれるのだから。キミに届け!僕の想いッ!!


 《ビシィッ!!》


 高速のボールをグローブで取ったかのような鋭い音を立てて勇者パの配置図用紙が土壁に拳型でめり込んだ。


 「えぇぇ、・・・・・大丈夫キルエル君、掌・・・・」


 「大丈夫だ。少し錯乱しただけだよ」


 「・・・・そう。・・・・無理はよくないからね?」


 急な僕の奇行にノゥアが心配そうな声を掛けてくれるが、僕はニコッと作り笑いで微笑み軽い冗談を飛ばす。この演技が彼女の前では意味を成さないことは分かっているが、こうでもして一旦流しておかないと『狂乱暴徒(スタンピード)』鎮圧に十分な集中と力を注げなくなってしまう。


 彼女の優しさは嬉しいが、今ソレに甘えるべきではない。


 僕は自分自身に言い聞かせるように唱え、現状を再認識し、対処法などを頭の中で巡らせる。


 ・・・・面倒だな。確かにゲーム中ではキルエルはずっと一人だったが、まさかパーティメンバーが別の配置に着いていたとは・・・。勝手に前線なり異国なり勝手にどっか行ってるのかと思っていたが居たのか。・・・・なんにせよ、配置に行ってしまえばお互いの状況報告が行えなくなる。コレをどうにかしないとな。・・・・・後問題と言えばアレとアレ。


 僕が思い悩んでいると、ジォスがパーティメンバーにだけ伝わる小さな声で話しかけてきた。


 「どーせキルエルの事だ。”山の奴”で悩んでるんだろー?」


 「まぁ、・・・うん」


 「アレ、俺らも手伝うぜ」

 

 「ッ!?―――――良いのかい?」

 

 驚いて身を乗り出す僕にジォスは心強く頷く。後ろ二人もやれやれと言った顔で頷く。


 「たった今ジォスから頭に直接言葉を投げ込まれたが、・・・・文句を言う口はつい先日、長に出会った頃に置いてきた」


 「私も。今どんなのと戦わされるか頭にイメージを入れられたけども・・・・。ふー、キルエル君。あんなの対1で戦おうとしてたんですか?・・・後で説教と言う名のお話をしましょう」


 「スミマセン。でも・・・・・ありがとう」


 僕が難しい顔をしながらジォス等に頭を下げる。


 ノゥアは照れ、アンプログリッツは深々と頭を下げる。そして空気の読めない世紀末野生児はと言うと―――、


 「うわおッ!キルエル顔真っ赤じゃんwwwうはぁッ!!てーてーぜコレはよおおおおおおお!!!バチクソに可愛ええええええええええええええええええ抱きてえええええええええええええ朝までえええええええええええええええッッ!!!!!!!」


 

 ――――鼻息荒く、しゃがみこんで僕の顔を覗いていた。


 

 「ひゅっ」


 息が詰まった。変態狂人の顔面ドアップを前兆なく見せつけられたら吸ってた息も物理的に止まってしまう。

 

 ゾッと背中から変な汗が噴出し、頭の中がどんどんクリアになって行く感覚を覚える。眼前変態児は心臓に悪く、良くも悪くも急加速した思考で一気に現状の打破案を考え抜いてしまった。


 「―――そォか、その手があッたか・・・・」


 仲間のキチガイのせェで、無理やり生命的危険感を覚え思考が総明になッて行くたァなんとも嬉しくねェ・・・・。


 「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・・!!コレが、キルエルの焦り時に出る汗の味・・・。ぶべえええええええええええの゛どごし~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!!」


 変態野生児は俺の首に唇が付くかつかないかギリギリのラインで大きく深呼吸をしていた。


 「・・・・・・・・」


 俺は無言になり、感謝と拒絶を遠心力に込めて右拳を大きく振るう。


 



 直後、ギルド内で肉を抉るような音と共に、「俺の脇に愛の籠った拳がッ―――!!」と叫ぶ野獣の声が聞こえたとか聞こえなかったとか・・・。

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