現実改変されました。
ヤバいことになった。
というか想定外すぎる。
何故あのキチガイが出てきた!?
全員滞りなくアルゴリズムに則った動きをしている。
確かに電子の世界で生きるゲームではなく、本物の世界。多少なりともレールからズレる事象は黙認できるがしかし。
コレは流石に予期していない事象だ。
どこからズレていた!?奴が出てきた辺り?いやそもそもの話本当に”この世界が始まった時”からなのか!?
まさか”神”による干渉かッ!?
まさか、そんなまさかだ。
現時点で神界に居ない神と言えば、・・・・だが、奴らは”制約”上動くことはできないし、物語の進行・管理は例え神の力を使っても妨害することは出来ないッ!!
ならなんだと言うのだッ!!
・・・・まさかあのキチガイかッ!?
いや、確かに奴の可能性もあるがしかし、他にも異分子の存在があるッ!!がしかし、何でだ。奴は本来ならアイツは別の異世界に行く予定だった!!なんなら行っている姿も見た!!
神の世界ではあらゆる並行世界が一律にまとめられる場所でもある!
そんな場所では神ではない限り2つ以上の選択を同時に発生させることはできない。
私がそのように改修したからだッ!!
じゃぁ何故、あのキチガイはこの世界に存在している!?
まさか、アレを呼び寄せるアレと同等の存在感を持つ異分子が存在するのか!?
見落としがあったのだろうか。
まさか!この世界を管理する私が見落としなどするわけがないのだ!
待て。待て待て待て・・・・。
いったん考えを落ち着かせろ。今ならまだ帳尻を合わせることはできる。
そうだ。あのキチガイ共に力が通じないのであれば、世界そのものを改変させればいい!
正直あの速さでダンジョン事潰されるとは思わなんだ。
しかもこの世界では本来存在しない技まで使いやがって・・・・。
見てみろ、もう既に2つ目のダンジョンぶっ潰しやがった。
クソっ!敵キャラが敵キャラせずに終わって行きやがる。
早く対策を講じねぇと・・・・!!!
《個世界『Brave☩Inoccent』に改正案の提示をします。対象の異世界は素早く改定案通りのビジョンを組みなさい。その改定案とは―――――》
S S S S
「・・・・・世界が変わった・・・?」
「どうしたんだジォス」
空を見上げてうわごとのように呟くジォスに僕は声を掛ける。
ジォスは微妙に難しい顔をしながらも、僕にも分かりやすく説明しようと言葉を選ぶ。
「・・・・アスパラは王水よりも万能ナイフである。マヨはイチジクと合わせて森に埋めることによって摩擦係数が重力を落とす。概念的に言えば時計もカラスも似たようなライオンであることへの過程であり、結果は白昼夢。陽性からの無限世界にラーメンをかけられて牛丼が売られ散りばめられることによって世界政府への凱旋が始まり、混沌の渦中へ贈り物ギフトを目の前でみじん切りにして火炎瓶を黙示録と福音書に描く。・・・・こう言った方が分かりやすいか?」
「なんも分からねぇ・・・」
アスパラ辺りで理解することをやめたぞ僕は。
「つまりどういうこと?」
「うぇッ!?コレで分からねぇのかキルエル。・・・・脳みそ大丈夫か?」
「君に脳みその心配をされるとは、僕も落ちぶれたモノだね」
「そーだな」
うんうんと頷くジォスに僕は軽く〇意を覚える。海に沈めてやろうか・・・。
僕がギリギリと拳を握っていると、3つ目のダンジョンを潰したアンプログリッツが瞬間移動でやって来た。
「なんの話をしているんだ長よ。イドも。後1つ何だろう?さっさと行かないのか?」
「あぁそうだね。ソレじゃぁ行こうかジォス。今さっきの座標移動できるか?」
「・・・・・」
「ジォス?」
「・・・・・・・やべーなこりゃー・・・」
「どうした?」
何の前兆もなく、急激に顔色を悪くするジォスに僕は体調を心配する。
ジォスは「マジかよ・・・」と苛立つような声音で言葉を吐きだしたかと思うと、すぐさま世界を暗転させる。
僕は理解が追い付かず呆けていたが、場面が変わりその光景を目に映すことでその理由を思い知らされた。
移動したのは”とあるダンジョン”近くの森の中だった。
「此処に次のダンジョンがあるt」
「どういうことだ・・・・コレはッ!!?」
アンプログリッツの言葉を遮り、僕はその森の中から見える光景に息を飲んだ。
数千、数万に上るモンスターたちの群れ。
見た目はただの点の集合体。だが意識して見れば、ソレらがモンスターの群れだと言うのはすぐに分かった。
一瞬、残りの1つのダンジョンの撲滅に間に合わなかったかと思ったが、無視できない違和感があった。
僕はすぐさま森の中から、モンスターの大群、その群れに居るモンスターを見る。
「コカトリックス、ゴブリン、タケノコお化け、スキュラ・・・・・コレって」
「・・・・・・・」
ジォスを見ると、ジォスは黙ったまま何も言わない。アンプログリッツは不可解な目で僕とダンジョンを見ていた。
「長・・・・」
「言わないでくれ。・・・・ヤバいなコレは・・・・・ッ!!」
ソレは現実の非情さと言うのを痛烈に僕らに伝えた。
「まさか、――――復活していたと言うのかッ!?内部のモンスターもジャウール教徒も、全部ッ!?」
―――『赤き闘神の聖堂』。
ソレがなんの因果か、潰されたはずの大聖堂が元通りになっていたのだ。
S S S S
私は暗黒物質を作り、53度目に渡る王城の料理室を戦場にしたことで謹慎処分を貰った。
なので現在絶賛冒険者活動中!!なのだ☆
「いやぁ人間の身体って案外動かさないと鈍るモノだねぇ~」
ゴッキゴッキと背骨の運動をしながら骨を鳴らす。私は自分で言えるほどには美少女だと自負している。その為か過去には軽く準備運動していたり、休憩所で休んでいると度々他の冒険者から「俺らのパーティに参加しないか?」とか、「僕を君の人生の伏線にしてくれないか」とか言うアプローチを受けた。勿論全部お断りした。・・・・人生の伏線って何?
でもキルエル君主催のパーティ『百鬼夜行』に入ってからはそんな被害もなくなった。それどころか、皆私を見て自分から引くようになった。
なので私は準備体操の一部始終をしっかりと妨害されることなく終えることが出来たのだ。
「ん~~、ふぅ。・・・・・・アレ?」
吸って吐くのは深呼吸ぅ~~。と、キルエル君のやっていた体操を思い出しで体現し終わると、周囲の空気がざわついていたのが分かった。
百鬼夜行が居た時も大体ざわついてはいたけれど、今漂っている空気はそんな感じの変人が居る時の空気じゃない。
ふと私の脳裏に、ついさっき聞こえた3つの爆音が何か関係しているのかと、そんな考えが脳裏をよぎる。でもこれは違う。
もっと何か別の”何か”が来る前兆――――――。
「でも別に何の気配m」
「大変だぁッ!!」
私と空気の流れを断ち切り、ギルドの扉が蹴破られてやけに屈強な漢が転がり込んできた。
「オイッ!!上の人間を呼べッ!!『狂乱暴徒』だ。ソレも千とか二千とかじゃねぇッ!!万だ!!万の大群が複数のダンジョンからコッチに向かって来てやがるッ!!」
全身傷だらけのその男はすぐに駆け付けた受付嬢たちに介抱されながらそう叫び、そのまま奥の方へと運ばれて行った。
一瞬、場の空気が止まったように感じた。未だに現実感がなさそうな、ふわふわしたような雰囲気だった。
「「「「「――――――――――――――――ッッッッ!!!!!!!!!!!!!」」」」」
だが一瞬にして、その現実は一種の衝撃となって爆発的にギルド内の冒険者全員に感染した。
空気が一変した。
ソレこそ、粉塵と絶妙なバランスの酸素あるところに火が投げ込まれた”粉塵爆発”をも想起させるような勢いで、静かになった空気が遠慮なく燃え上がった。
ある人は闘気が沸き上がり、ある人はギルドを出て行き、ある人は受付嬢に確認を取りに行く。
そうして数分が過ぎた頃だった。
混然と闘気が溢れていたギルド内に一人の男が受付嬢と共に入って来た。
その圧倒的な風格と威圧的な強面の顔、駆け込んできた男とは比べ物にならない程ムキムキで、尚且つ頭に髪の1本も生えていなかった。
その男はやけにゴテゴテの装備で身を固めて、一番高い階層から荘厳な声を発した。
「冒険者の皆よ。静まれぇ―――――ッ!!!コレから『狂乱暴徒』対策会議を始める!!すぐさま今いる冒険者達は仲間を呼んで此処に再集合せよ!!」
S S S S
「オイオイ、ウソだろ」
「コレは・・・・・」
「・・・・・やっぱりかよ」
僕とアンプログリッツ、ジォスはアンプログリッツが潰したはずのダンジョンに赴いていた。
『赤き闘神の聖堂』―――ではない。
石造りの外見ではなく、木製の大きな屋敷が潰されてへしゃげた跡地。
―――どう見てもソレは『ゼウス家屋敷跡』だった。
その現実に僕は一瞬、自分にもその現状が理解できなかった。
潰したダンジョンを間違えた?いや、森の中と平地じゃかなり違うし、ソレで見間違えるはずがない。コッチはミルとのデートで行った思い出の場所を壊されたくないからという理由で、本来のルートとは違う道を歩もうとした。だがソレがゲーム進行ではイレギュラーならば、だ。
つまりどういうことかと言うと――――。
「――――コレもなのかよクソッタレ!」
「長?」
「キルエル・・・・」
アンプログリッツは目の前の光景の理解の及ばなさ、そして急に僕が苛立ったのに何か関係があるのかと疑い此方を見る。
ジォスは原因を知っているかのような、そうでもないような、同情と憐れみを含んだ眼差しで此方を見据える。
”現実の改変”。
何が起こったのか、真相は僕にも分からないが目の前の状況を鑑みるに出てきた答えはソレだった。
誰がこんなことを?やる必要はあったのか?
答えは簡単。火を見るより明らかだ。
僕が、僕が憑依しているこの体がゲーム世界で言う悪党だからである。
悪党だから、で淘汰され、悲しい過去を無理やり作らさせられる。僕の知識で先回りしようとも”神の御業”とやらで”正義の味方”とか言うクソッタレな役者の為に使い潰されるのだ。
「――――――ッッ!!!」
そんな理不尽極まりない役職を押し付けられたのがこのキルエルなのだから、僕としては溜まったモノじゃない。
瞬間的な怒りが脳髄を駆けまわり、僕は思い切り地面を踏みつけた。
「あぁ、そうかよクソが。悪党のやることなんざいくらでも改変してやるってか?―――ふざけんなよクソ神、こんな世界を作った創造神がよォ・・・・・ッ!!」




