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探偵の助手をしていたぼくが地獄の獄卒になった理由 最終章

作者: 駒城亜樹
掲載日:2021/05/22

最終章 再会 そして試練


あれからぼくは

とある一軒家の前にいた


閻魔からの2つ目の言伝

[ひっそりと住んでいる祖父母に会っていきなさい]を叶えるためだ。


ぼくが自殺をしなければ

肩身を狭くさせなかったのにと

後悔ばかりがよぎる


会いたかったはずの2人。


菊さんが様子を伺ったとき、

一時はバッシングを受け大変な時期があった。

それも、ぼくが残したスマホに遺書とぼくがこっそり黒瀬とのやり取りを録音したデータと書類の写真を警察が発見したお蔭で、祖父母へのバッシングは止んだ。

そして、警察は水面下で黒瀬を捜査していたと知った。(それが奴がわめいていたぼくのせいらしい)


だが、無実とは言え祖父母は静かに生きることを選んだという。


玄関前に立つ


緊張で汗が吹き出し


喉はカラカラだ。



チャイムをならす

ビーっという昔ながらの音。

それから「は~い」と言う穏やかな声。


祖母だ。

❬お帰り、修二❭

生前の祖母の声を思い出す。

玄関が開いた。1人の老人が顔を出す。


「どちらさまでしょうか?」


「あ、あの....その....ぼくは」


「修二かい?」女性は尋ねてきた


「は、はい。」ぼくはマスクを外した。


祖母は弾かれたように抱きついてきた。事前に閻魔さまにもらった薬のお蔭で下界の人間に触れる。


「修二....修二...修...二...」

涙ながらに祖母はぼくの名前を繰り返す

あれだけひどい仕打ちをしたのに

祖母は優しかった。


「ばあちゃん、ごめん。本当にごめん」ぼくも泣いていた。


奥から祖父も顔を出す。

変わらず温かい眼差しで迎い入れてくれた。


自殺して亡くなったはずの孫の出現に、祖父母は何も問いただしてこなかった。


まるで全てをわかってるように

ぼくに色々と食事を出してくれた。

久しぶりの下界での食事。


2人は色々と話をしてくれた。

ぼくの罪が晴れたあと、ぼくの私物を大事に取っておいてくれたこと。


毎年、必ずぼくの墓参りに2人で行っていること。

(死んだ孫のまえでシュールな話だ)


ぼくが好きだった花や野菜を庭で育て始めたこと。

楽しい時間は過ぎていった。


泊まっていけと祖父に言われ

ぼくは泊まることになった。


久しぶりに川の字になったなーと感動していると。

通信の鏡が光る。


慌てて庭に出ると

菊さんからだ。

「お爺様とお婆様に会えて、良かったですね。禅斗さん」


「はい。変わらず温かい2人で良かったです。」


「懐かしんでいるところを申し訳ありませんが、時間がありません。戻ってきて頂けますか?」


「え?何故です。」


「貴方が飲んだあの液体。効き目がなくなる前に下界から戻らないと、2度と地獄に戻れません。」


「そんな。折角会えたのに。」


「禅斗さん、ごめんなさい。これも閻魔からのある意味試しなのです。」


「試し?どういうことですか?」


「昔、下界から戻らなかった獄卒がいると話しましたね?彼らは下界に未練があると閻魔は見抜き、あの薬をあえて渡したんです」


「じゃあ、ぼくも未練があると、閻魔様は?」


「はい。だから貴方に未練を絶ちきる気持ちがあるか、試したのです。」


「そうでしたか。なるほど」

ぼくは何故かスッキリした。


「菊さん、ぼくは」

ぼくの気持ちは決まっていた。


ー完ー

この話は貴方の中で納得のゆく終わり方をしてください。

試練を与えられた禅斗はどちらを選んだのか?


僕は敢えて書きませんでした。


どちらの生活もしてもらいたいと願った僕のわがままです。


よろしくお願いいたします。


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