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異世界の手引書
『突然の事に驚いているだろうが。
俺にも時間がない。
手短に話す。
これを読んでるという事は
お前はもうこの世界に転移してるだろう。
まだ転移したばっかで
右も左も分からないだろうから
この世界での生き方と
それに順ずる知識を
お前に伝えねばと
この書を残している。
このような事になってしまった事を
心からすまないと思う。
本当にすまない。
だが最後にこれだけは
言わせてくれ。
父さんと母さんは
いつまでもお前を愛している』
「はっ?なんだよ?
どーいう意味だよこれ!?」
そう言葉が漏れ出した瞬間に
本がいきなり
宙に浮かび上がり光り輝いた。
そのまま勢いよくページが捲られていき
本の中の全ての文字達が光ながら
部屋中に舞い上がった。
神秘的だ。
この状況下で不意にも
和樹は感動を覚えた。
そして我を取り戻した次の瞬間
その文字達が
和樹の頭めがけ勢いよく
向かってきた。
避ける暇もなく
その文字達は和樹の頭の中に入り込み
その瞬間、
この本に書かれていた内容であろう事柄が
瞬時に脳内に刻まれていった。
「くっ。何が起こってるんだ。
くそ.....」
和樹は激しい頭痛に見舞われ
そのまま意識を失った。