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Tale:Dragon,tears    作者: 黒餡
二章 篇首拠点市街《ユリウス》〜異彩なる世界〜
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57話 隠密

 太陽が中天に差し掛かった昼の頃。

 石破、苔、蔦に黴。幾年月を経た白亜の石の建物で男が二人、気だるそうな面持ちで見張りという役目を形だけではあるが遂行していた。

 二者共に薄汚れた服の上に、同じく薄汚れた革鎧を身に付け、録に手入れもしていないらしい剣を携えている。


「あ~ぁ………だりぃなぁ」


 大きな欠伸を一つして、片方の男が唸る。


「見張りなんて要らねぇだろう。こんな森中に誰が来るって言うんだ?」


 同じく、もう片方もやる気無さげに同意する。


「だよなぁ……冒険者だって来ねぇっつうの。人避けの結界張ってんだろう。………あーあ、楽そうだから見張り役志願したが、こんな暇ならガキどもの見張りした方が良かったぜ」

「そっちならガキどもで暇も潰せたなぁ」


 後悔の言葉を口々に放ちながら、男達は何を見るでもなく佇む。

 と、


 ───あれ?

 ───ん?


 不意に、あまりにも唐突に男達の身体を浮遊感が包み込んだ。

 一瞬の脱力感。

 次いで訪れたのは、強烈な首許の圧迫感とそれによりもたらされた発狂しそうな程の息苦しさ。

 

「がっ───ぐっ………」

「ひっぐ………ご、がはっ…………」


 頸動脈は圧迫され、意思が曖昧になりながら、完全に潰された気道で新たな酸素を求めて喘ぐ。

 何が起きているのか。そんな疑問を抱く余裕すらなく男達は首を締め付ける何かに手を伸ばす。

 それは糸だった。素手で簡単に引き千切れそうな程に細い糸。

 見る事は叶わず手先の感触だけでそれを察する二人だが、分かった所で糸は千切れず、解く事も出来ない。

 そして、何を掴むでもなく闇雲に両手をばたつかせたのを最後に、男達の意識は途切れた。


  ◆


「おーおー、見事なもんだ。まるで人間の干物だな」


 宙吊りとなった男二人を眺めながらヴィクターは口走った。

 男達の首には細い銀糸がそれぞれ巻き付いており、それ等の端は頭上の太い木枝を滑車代わりに経由して詩音の左手に握られていた。


「干からびるまで吊るしておきはしないさ。早いとこ隠さないと」


 そう言って詩音は竜線を離した。

 片方の支えを失った男達の身体は重力に忠実に地面へと落ちる。

 そして、地に付した大人二人の身体をヴィクターが軽々と担ぎ上げて蔓と石材で作られた瓦礫の山へと放り込んだ。


「で、此処が目的地って事でいいんだよな」

「さっきの人達の会話からするに間違い無いと思うよ。地図の座標ともほぼほぼ重なるし」


 竜線を束ねてコートのポケットに仕舞いながら詩音は頷く。


「見た所遺跡みたいだな。それもかなりデケェ」


 無数の石材を積み重ねて造られた建造物を見渡し、見上げ、見下ししながらヴィクターは推察を口にする。

 それに詩音は首肯で応じた。

 確かに大きい。

 小高い岩山を利用して造られているらしいその遺跡は正門と思われる入り口付近だけを見てもかなりの規模だ。

 この手の遺物はこの世界では珍しくない。

 曰く、神と呼ばれる者達が世界を納めていた神代が終わって以降、世界の法則や理と言う物が大きく変動したらしい。

 その折に数多の文明が滅び、数多の文明が生まれた。

 そうした激動の名残が、こういった遺跡や神殿なのだ。

 

「森の奥地とはいえ、良くこれだけの物が今の今まで見つからなかったものだな」

「本当にね」

 

 ヴィクターの感想に同意しながら、詩音は頭上に掛かる石門(アーチ)の表面に触れる。


──《HAL(ハル)》、解析できる?


『解析中………。建物を構成する石材その物に隠蔽魔術が施されています。これにより建造物その物が巨大な魔術媒体として成立しており、強力な認識阻害効果を発揮しています』


「なるほど」

「何がだ?」


 《HAL》システムの説明に納得の言葉を漏らした詩音にヴィクターが訪ねる。システムの声は詩音にしか聞こえないので、端からすれば詩音と《HAL》とのやり取りは詩音の一人言にしか見えないので、少々面倒くさい。


「建物全体が巨大な魔術の陣みたいになってて、外部からの観測を阻害してるみたい」


 聞いた解説を適当に纏めて告げる。

 

「身を隠す拠点としては最高の物件って訳か。まぁ、それも今日までだ。早いとこ退去願うとするか」


 背から血色の魔槍を抜き、ヴィクターは不適に笑う。

 

「行くぞ」


 先頭を切る紅の槍兵に頷き、詩音は白亜の砦に足を踏み入れた。

 

 ◆


 湿気と黴臭さの充満する遺跡の中は外見に見あった広さがあり、通路の幅は大人が十人程並んでもまだ余裕がある。

 長物使いのヴィクターも、十分に暴れられるだろう。

 左右の壁にはオレンジ色の魔力光を灯す魔術ランタンが乱雑な間隔を開けてズラリと並べられており、視界は十分に確保されている。

 

「────行け」


 片膝を着いたヴィクターが地面に転がした何かに向けて呟く。

 古の文字が刻まれたそれは、小さな石くれ。経年劣化により壁から崩れ落ちたのであろうこの遺跡の一部だった物。

 石はヴィクターの命を受けて石畳の上を走って行く。


「索敵?」


 それに着いて行きながら詩音は訊ねた。


「ああ、記憶回帰のギールだ。物の記憶を呼び起こして必要な情報を引き出す。あれに着いて行けば今人間の集まっている場所まで最短で案内してくれるって寸法だ」

「本当に便利だね。ギール魔術ってのは」


 現時点での優先事項は拐われた子供達の安全の確保。その後に盗賊の捕縛である。

 《探求(サクト)》のギール文字が刻まれた石の後を追って二人は幾本かの道に枝別れした通路を右へ曲がり、左へ曲がり、時折下に下りしながら遺跡の奥へと進んで行く。

 不意に、両者が揃って足を止めた。

 その視線の先では、幾重にも重なった岩石の壁が通路を床から天井まで完全に塞いでいた。


「落盤みたいだね」

「ああ、ツイてないぜ全く」


 通路を塞ぐ岩にぶつかって動きを止めた索敵石を拾い上げながらヴィクターが忌々しげに愚痴る。

  

「道が塞がってるとなると、もうこのギールは使えん。あくまでこの遺跡が完璧な状態だった頃の記憶を利用した術だからな」

「まあ、これだけ古い遺跡なら、所々崩落やら浸水やらで使えなくなってるのは当然だよね」


 崩落はかなりひどく、岩を撤去して進むのは不可能。

 恐らくは盗賊達も此処に来てからこの通路は使っていないと思われたので、二人は踵を返して一つ前の別れ道まで戻った。

 

「さて、どっちに行ったもんか」


 ヴィクターが口走る。

 眼前には直進、右折、左折の三つの別れ道。直進通路は先ほどの落盤地点に繋がっているため、実質二つの選択肢がある。

 右折か左折か。ヴィクターが悩み首を捻っていると、その隣で詩音が膝を着いた。


「ん? どうした、シオン?」


 身を屈め、視線を石畳へと近づける詩音は、数秒の間を開けて応じる。


「右だね」

「あん?」

「右の方が左に比べて石畳が磨耗している。削れた跡も新しいし、ここ最近頻繁に人が通ってる証拠だ」

 

 所々ひび割れた石畳の読み取った情報を簡潔に説明する。

 それは極僅かな表面の違い。合って無いような差違である。

 しかし、詩音の眼はその小さな誤差を当然の様に認識していた。

 既に《反響定位》によってこの遺跡の内部構造の殆どを把握しているが、構造が分かるのと正解の順路が分かるのとは別である。

 この遺跡の様な古い地下空間には、時折人体に有害なガスが溜まっていたり、酸素濃度が極端に低下している空間がある場合も多々ある。

 だが、こうして床や壁の変化を見極めた上で道を選べば、少なくとも人間が通過可能なルートを見分ける事が出来る。


「本当に眼が良いだなお前は」

「まあね。此処からは僕が前を行くよ」

「ああ、頼んだぜ」


 先ほどまでとは逆に詩音が道を見極め、その後ろにヴィクターが続く形で二人は着実に目的地へと近づいて行く。


  ◆


 詩音の走査を頼りに通路を突き進む。

 右へ曲がり左へ曲がり、時には下へと下る迷路じみた道行きは、何の根拠も無しには到底踏破出来ない程に入り組んでいる。

 結構な距離を歩いた。

 不意に、それまで細く狭かった通路が急に広くなった。

 そこは、周囲三方の壁際に太い石柱が立ち並ぶ広間の様な空間だった。

 そして、唯一柱が配置されていない壁の一面には、スペース一杯に巨大な壁画が描かれていた。


「こりゃ、随分な描き込み様だな」


 その壁画の規模にヴィクターが声を零した。   

  

「見た所、物語か何かの一部みたいだね」


 天井に達するまでびっしりと描かれた絵を見上げながら、詩音が予想を口走る。

 壁画の内容は、頭に冠の様な物を乗せた人物の周りに明らかに人では無い魔物の様な生物が数体、冠の人物と肩を並べる様にして並び、同じ方を向いている。

 そして、それらの目線の方には何やら巨大な怪物の姿があった。

 蛇の様にも、蜘蛛の様にも見える黒一色の怪物。

 その身体は壁面の八割近くを埋め尽くしており、壁面の殆どがこの怪物の身体によって形成されている。

 詳しくは不明だが、この絵はこの山の様な怪物と冠の人物の陣営による闘争を描いた物なのだろう。


「神話の類いか?」

「どうだろう? クレハなら何か知ってるかもだけど、僕には判断つかないや」


 そう、壁画の内容を推察していると、


「「……ん」」

 

 ヴィクターと詩音は同時にその存在を察知した。

 そして、ちらりと互いに目線を合わせる。


「誰か近づいて来てるな」

「うん。数は……三だね」


 詩音の言葉にヴィクターは無言で頷き同意する。


「──潰す?」


 腰の雪姫に手を掛けながら投げ掛けられた問いにヴィクターは首を横にふる。


「いや、ぶった倒した後隠すのが面倒だ」

「だよねぇ……。じゃあ何処かに隠れてやり過ごそう、と言いたい所だけど………」


 詩音は軽く周囲を見渡す。

 現在地はだだっ広い部屋のど真ん中。生憎と身を隠せそうな物影は見当たらない。  

 壁際には等間隔に並ぶ石の柱があるが、隠れるのには心許ない。

 

「僕一人なら隠れられなくはないけど」

「俺の図体じゃなぁ。シオン、こっち来い」


 そう言ってヴィクターは小さく手招きをする。

 素直にそれに従って詩音はヴィクターの居る壁際へと早足に走り寄る。と、突然ヴィクターは詩音の腕を掴み取り、左腕一本で抱え込む様にして自身に引き寄せた。。


「んん?」

「あそこに隠れるぞ」


 小首をかしげながら見上げてくる詩音を余所に、ヴィクターは壁と太い石柱の間の狭い隙間へと身を滑り込ませた。

 そして、


「ちょいと我慢しろよ」


 そう言って狭い中もぞもぞと右手を動かして、自身の外套の裏地に指を走らせる。

 描かれたのは二本の直線と三本の曲線で構成されたギール文字。

 先程の石に刻んだ物とは別のギール文字を刻むと、ヴィクターは背中を壁に預けた。

 直後、外套から薄い膜の様な物が展開されて詩音とヴィクターの身体を包み込んだ。

 全身を隙間なくコーティングした膜を見て、詩音は小さく呟く。


「簡易型の結界?」

「ああ。姿は隠せるが、あんまり大声出すと外にバレるから気を付けろ。本来は一人用なんだがな。お前程度ならギリギリ俺と二人でも収まり切るだろう」


 その言い方に詩音は少しだけムッとして頬を膨らませる。


「そうですね。どうせチビですよ、僕は」

「はは。そう拗ねるなよ。お前さんはそのままの背丈(サイズ)が丁度いい。っと、来たか」


 その言葉通り、通路の先の方からコツコツという複数の足音と声が聞こえてきた。

 と同時にヴィクターが詩音の背に左腕を回して更に密着させた。


「ん、ちょ、ヴィクター」


 歯切れの悪い声が持ち上げられ、宙吊り状態になった詩音の口から漏れる。


「あんまり動くな。歩いたり、結果の範囲外に身体の一部でも出たりすれば、向こうから丸見えになる」


 視線を足音のする方に向けながらヴィクターは言った。


「わ、分かった、……っ…………」


 ゆっくりと、足音が近づいてくる。

 ヴィクターは僅かに身を乗り出して廊下の様子を伺いながら、詩音の身体を抱き寄せて結界の内側に納める。


「…っ、ふ……ぅ……」

「来やがったな」


 呟いたヴィクターの視線の先には、先程予測した通り三人の人影があった。

 三人とも男。入り口前で番をしていた奴らと似たり寄ったりの装備を見に着けている。

 ヴィクターは身体を柱に押し付け息を殺す。僅かな警戒と緊迫を宿した瞳で男達の一挙一動に注意を払い、万が一結界が破られた時の為に三人との距離に合わせて身構え方を変えて────


「ヴィ、ヴィクター………」


 不意に、蚊の鳴く様な弱々しい声で詩音が囁いた。


「どうした、シオ──」


 応じ様として、ヴィクターは思わず言葉に詰まった。

 自分の腕に抱かれ、身を寄せる詩音は顔を薄く染め、何かに耐える様に身体を強張らせていた。


「ごめん……くすぐったいからあんまり動かないでくれるとありがたいんだけど……」


 接触のこそばゆさを我慢しているのか、小さく震えながら詩音は懇願する。

 その姿にヴィクターは思わず息を呑んだ。

 そう言えば森での一悶着の時も、詩音は自分で触らせておいてくすぐったそうに息を溢していたか。過敏な体質なのか、他者との接触に不慣れなのか。

 

「あ、ああ。悪い……」


 ヴィクターが謝罪した時、丁度盗賊三人が二人の目の前に到達する。

 雑談と下品な哄笑を交わしながら二人の存在には一切気付いていない様だ。 そのまま何事も無く過ぎ去って行く────かとも思えたが。

 何故か盗賊達は詩音とヴィクターの隠れる結界の直ぐ側で立ち止まると、そのまま其処で駄弁り始めた。

 その様子を結界の内側から伺いながら、ヴィクターは極力身体を動かさない様に努める。しかし、狭い隙間故にどう足掻いても二人の身体は触れてしまう。触れる面積を抑えようと身を捩るが詩音はその度に身体を小さく痙攣させながら声を漏らすまいと己の指に歯を立てて耐えていた。

 

「ん……はっ……ん……」


 それでも抑え切れない様で時折短く声が零れる。

 顔を仄かに赤く染め目尻に薄く涙を浮かべ、身体を震わせて途切れ途切れに吐息を漏らす詩音の姿はこの上無く扇情的で、ヴィクターは我知らず生唾を呑む。 

 が、すぐに我に帰り限られたスペースの中で、最大限詩音から距離を取ろうとする。

 その時だった。

 ガシャーン! と大きな物音が盗賊達の方から聞こえて来た。

 

「っ!」


 反射的にヴィクターは自身の腕で詩音を庇った。  


「ひゃっ!?」


 しかし、それが悪手だった。

 ヴィクターの手に伝わる、何やら暖かく柔らかい感覚。

 そして、今まで以上の悲鳴にも似た声。

 正体不明の感触にヴィクターは視線を己が利き手に向け。


「───っっ!」


 思わず声を上げそうになったのをギリギリで堪える。

 詩音を守ろうと動かした右手は、詩音の薄地のシャツの中へと飛び込んでいた。

 掌に伝わって来る、男の物とは到底思えない柔く滑らかな感触にヴィクターの思考は数瞬の間、正常な判断力を喪失する。


───うわぁ………その辺の女よりも柔っこい………それに何か甘い匂いも……、って違う違う違う違う。


 急いで腕を退けようとするが何度も言うが狭いこの空間では、思うように身動きが取れない。

 長身のヴィクターでは尚の事。加え、


「ん、ヴィク、ターっ、動か、ないで、っつ」


 ただ擦れ合うだけでもあの様だった詩音。

 この明確な接触に無反応で居られる訳もなく。


「わ、わ悪い」


 慌てて謝罪して、何とか手を退けようとするが、焦ってもがけばもがく程、長い腕は壁と柱につっかえ、動きを制される。

 そんな中、通路の方から声がする。


「何やってんだよ」

「はは、悪い悪い」


 やり取りの主は当然賊達。どうやら三人の内の一人が誤って剣を落としてしまったらしい。

 二人には一切気付いていない様だ。

 だが、今のヴィクターにとってはそんな事より我が身に起こった事態の方が深刻だった。

 このままでは不味いと分かっていても、結界の範囲は本当にギリギリで密着していなければ間違い無くどちらかが有効範囲から出てしまう。

 詩音も辛いのだろうが、それはヴィクターも同じだ。

 こんな状況、生殺し以外の何物でもない。

 

(くそ……こんな事なら横着しないで倒して進むんだった。…………まあ、それはそれで少し勿体ない気がしないでもないが………)


 生殺し状態のまま、ヴィクターは「早くどっか行け」と声に出さずに賊達に叫ぶ。   

 すると、その思い、或いは殺気が通じたのか、賊達は最初と同様に下品な哄笑を上げながら再び歩き始めた。

 そのまま、足音と話し声は遠のいて行き、姿が完全に見えなくなったのを確認すると、詩音は慌ててヴィクターから離れた。


「っはぁ……っはぁ………あ……」

「大丈夫か? シオン」


 堪えていた物を吐き出す様に息を荒げる詩音にヴィクターは遠慮がちに声を掛けた。

 

「う、ん……大、丈夫………はぁ。………ごめん。反響定位使ってると、どうしても過敏になっちゃって……」

「いや、なんつうか、此方こそ悪かった……」

「え? 何が?」


 告げられた謝罪が何に対してか分からず詩音は小首を傾げた。


「いや、その………いや、やっぱり何でもねぇわ。とっとと先行くぞ」

 

 結局、曖昧に言い澱んで、ヴィクターは足早に歩き始めた。


「ちょ、待ってよヴィクター。ごめんってばぁ」


 怒っているとでも思ったのか、詩音は謝りながら急いで後を追ってくる。

 

───無自覚って、怖ぇなぁ………


 そんなヴィクターの内心の感想に詩音が気付くことはなかった。。

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