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Tale:Dragon,tears    作者: 黒餡
二章 篇首拠点市街《ユリウス》〜異彩なる世界〜
31/120

28話 情報屋

「これは………」


 水色の液体が満たされた小瓶を注意深く凝視しながらエリックは衝撃を受けたような声を溢す。

 それを端から見ていた詩音は、エリックが反応を示してから初めて口を開く。


「どうかな? ちゃんと出来てる?」


 “出来てる?„とは、エリックの手に握られた小瓶を指しての質問。

 小瓶の中に詰められた液体の正体は肉体(フィジカ)(ル・)復薬(ポーション)

 しかし、市販の物ではない。詩音が独自に作り上げたオリジナルだ。

 回復薬の類いは、素材となる原料こそ安価で簡単に手に入る物だが、その製造には特殊な技術が必要であり、専門の調合師達によって生産されている。

 当然ながら、そんな回復薬は高額で売買され、品質にもよるが小瓶一本あたり最低でも二万前後、高価な物だと十万を軽く越える物すら存在する。

 金剛級(アダマスランク)冒険者など収入の多い者はともかく、水晶級(クリスタル)以下の冒険者達にはそう頻繁に購入出来る物ではない。

 しかし、Cランク以下の冒険者達は実力、経験共に不足である者が多い為、そんな者達こそ回復薬が必要になってくる。

 そこに詩音は目を着けた。

 もし、製作工程を単純化する事が出来れば、一度に大量に生産ができ、結果回復薬一瓶あたりの単価を安くする事が出来る。

 そうなれば、実入りの少ない冒険者はこぞって安価な回復薬を買い求めるだろう。

 それらを相手に商売をすれば、下位の冒険者として地道に稼ぐ以上の収入が見込める。

 現在エリックに鑑定してもらっているのは試作品である。

 

「……性能、品質共に市場に出回っている物と同等。正真正銘の回復薬だ」

「本当に? 意外とどうにかなるもんなんだな」


 エリックの鑑定結果に詩音自身、少しばかり驚く。

 実の所、製作工程の簡略化は割りと簡単に出来たのだ。

 回復薬(ポーション)は、再生能力を持つ魔物の身体から取れる素材を用いて作製するのだが、その素材の入手と加工難易度の高さが、完成した薬に高値がつけられる主な要因である。

 再生能力を持つ魔物は、そもそも発見や討伐が難しく、仮に討伐できても、今度はその身体から入手した素材を劣化させないように持ち帰り、薬として精製するのにも手前が掛かる。

 が、逆に言えば、素材の入手や品質維持といった課題を解決してしまえば、その他の過程は決して難しい物では無い。

 そして、詩音にはその課題を簡単にクリアする手立てがあった。

 具体的には、素材に詩音自身の血液を使うという物だ。

 詩音の血、もっと言えば竜種の血液には中毒症状などの、この世界では《状態異常》というカテゴリに分類される肉体への負荷を消し去る効果がある。

 加えて、竜由来の再生能力による物か、高い治癒効果も宿している。

 要するに、回復薬の材料としてこの上無い代物という事だ。

 そして、元となる竜種の性能故か、非常に高い効能を宿した竜血は、ほんの僅かな量でも並の回復薬と遜色無い効果を発揮する。

 具体的には、一滴の血液を原材料にして小瓶二十数本程度の数が生産できる。

 そう言った訳で、回復薬生産の過程に於ける最も大きな課題が解決された訳だ。

 その他の工程も、詩音自身に薬剤調合の知識が備わっている事と《HL》システムの補助もあってスムーズに進んだ。

 

「まさか、軽く口で説明しただけだったのに、この短期間で大量生産してくるとはな。現物を見ても正直信じられん」


 そう言うエリックの視線の先には、大量の回復薬が詰め並べられた木箱が幾つも積み重ねられている。


「そうは言われても、実際に出来ちゃってる訳だし」

「まあ、以前から竜になったり、一人で(オーガ)の一団を全滅させたりしてたから、今さらこの位は可愛いものなのかもしれんが」


 その言葉に詩音は苦笑だけを返す。

 どちらも自力では無くスキルに頼った結果なので、なんと反応するのが正解なのか詩音には分からなかった。

 

「取り合えず、エリックの目から見ても回復薬(ポーション)として成り立ってるって事でいいんだね?」

「ああ。で、そいつは直ぐに店に並べればいいのか?」


 詩音が作った回復薬はエリックの店で販売するように事前に話はついている。

 二つ返事で了承してくれた目の前の地妖精(ノーム)に詩音は感謝しつつも多少心配になる。

 「場合によっては店の信用問題にもなるかも知れないから、もう少し考えた方がいいのでは?」と詩音は進言したのだが、エリックは「まあ、シオンなら大丈夫だろう」と言うなんとも適当な理由を述べただけだった。

 

  ◆


 エリックに回復薬の試作品を見せてから二日後。

 詩音はアリスと共に買い物に出ていた。


「ごめんねシオン君。買い出しに付き合わせちゃって」


 帰り道、片手に食材の入った紙袋を抱えたアリスが言う。


「ううん。これだけの荷物、女の子一人に運ばせる訳にはいかないからね」


 フードの下からそう返す詩音の両手にはアリスの荷物の四倍近い量の物資が抱えられていた。

 《STORAGE》にしまってしまえば楽なのだが、荷物持ちを引き受けておいてそれでは微妙に格好がつかない為、こうして普通に運んでいる。


「ふふ、男の子らしい台詞だね」

「そりゃまあ、男ですから」

 

 そんなくだらないやり取りをしながら、街道をホームへと向かって歩く。

 そして、二人は相変わらず活気に溢れた表通りから外れて裏路地へと入り込んだ。多くの店が並ぶこの商店街からは、途中で裏路地に入った方が早くホームにたどり着くのだ。

 アリスが近道を通る事を選択した事に、詩音は内心で少しばかり喜んだ。

 別に荷物持ちを任される事に対して詩音には何の不満も無いのだが、行き交う人々に注目されるのはあまり嬉しくない。

 アリスの容姿は人々の視線を集めるには十分過ぎる美しさを持っている。

 そんな人物の隣に得体の知れないフードの男の姿は、悪い意味で非常に目立つ事だろう。

 天気は快晴。日もまだ高い時間帯だが、裏路地は高い建物や雑貨屋の倉庫等の影に呑まれているせいで薄暗い。

 だが、二人はそんな雰囲気に呑まれる事もなく、楽しげに雑談を交わす。

 時折詩音が冗談を織り混ぜると、アリスはくすくすと小さく楽しげに笑い、その度に紙袋の中の果物が揺れる。

 談笑が絶える事なく歩き続け、目的地(ホーム)まで残り半分くらいの距離を歩いた時、


「──」


 ふと、詩音がその音に気が付いた。

 小さな、常人では聞き取れないような些細な音。

 距離からして凡そ七十メートル先。角を曲がった辺りか。

 声だ。人間、或いは人間と同じような亜人の声。

 一つでは無い。

 大人の男の物が二つ。そして女、それも子供の物が一つ。

 

「暴れんじゃねぇよ」

「押さえとけ」

「───! ────!」


 一応、周りに聞こえないように考慮しているのか小声で交わされる会話と、無理矢理口を押さえられているらしい叫び。


(うわぁ……絶対面倒事だ………。関わりたくないなぁ……)


 内心でぼやきながら詩音はアリスの方をちらりと盗み見た。

 アリスの耳にも、その声は届いていたらしい。

 さっきまでの笑みは消え去り、真剣な面持ちで音の正体を探っている。

 どうやら詩音程はっきりと聞こえた訳では無いらしい。

 

「ねぇシオン君……今、何か聞こえなかった?」

「ん? 別に。気のせいじゃないかな?」


 アリスの問い掛けに虚言を返す。

 詩音的には面倒な事に巻き込まれるのは全力で避けたい。

 今この場に留まっているのはアリスが隣にいるからであって、詩音一人ならば直ぐにでも踵を返して別の道を選んでいるだろう。


「……ううん。気のせいなんかじゃない。………この先から聞こえてくる」


 そう言ってアリスは荷物を詩音に押し付けるように手渡して走り出した。

 

───ああ、誤魔化し切れないかぁ………


 半ば諦めていただけに、詩音は億劫な気持ちを溜め息一つで捨て去り、荷物を《STORAGE》に収納してからアリスの後を追って走り出した。

 割りと全力で走るアリスに、一拍遅れてのスタートながら追い付き、そこからは並走を維持する。

 妖精達の中でもトップクラスの速力を持つアリスとそれに合わせて走る詩音が現場に到達するのに掛かった時間はほんの数秒。

 そして、声の源に到達すると同時に二人はその光景を目にした。


──やっぱり面倒事か


 詩音の予測通り、そこには三人の人影があった。

 逞しい体躯の男が二人と小柄な少女が一人。

 少女の方は外套とフードを身に付けており、年齢は詩音等と同じか僅かに下くらいか。

 男の一人が少女を後ろから抱きかかえるに押さえ込み、片手で口を塞いでる。

 そしてもう一人の方は、下衆な笑みを浮かべながら拘束された少女の服の中に手を入れて身体をまさぐり、その反応を楽しんでいた。

 見てしまったからは仕方ないと、溜息混じりに口を開く。

 

「あー、ちょっとそこの」


 が、言葉を出し切る前に、


「――――あんた達」


 酷く冷酷な、そして深い怒気が込められたその声。


「何してんの?」


 男達は視線を少女からアリスへと向けた。


「なんだ手前等?」


 男達が低い声を溢しながら少女から手を放す。

 浅黒い肌とごつごつと石塊から削り出したような無骨な造作の顔に威嚇するような表情を浮かべているその男の迫力は、小心者ならば一目散に逃げ出すであろう圧がある。

 しかし、アリスは僅かにも気圧される事なく口を開く。


「今すぐその子を離して、この場から消えさい」


 普段は慈愛に満ちた優しい瞳を鋭く細め相手を睨み付ける姿は男達とは別格な威圧感を宿していた。


――――――うわぁ………瞳孔開いていらっしゃる。これはまずいかも………

 

「部外者がしゃしゃり出てんじゃねぇよ」

「とっとと失せな」


 意外に肝が据わっているのか、それとも相手との差を理解出来ていないだけなのか、男二人組は怯みもせずに言い返す。

 そして、


「それとも何か? こいつの代わりにお嬢さんが相手してくれるってのか?」


 二人と対峙したまま男は腰の鞘から幅広の直剣を引き抜き、見せつけるように刀身を掌にぺたぺたと打ち付ける。

 対してアリスも、腰から愛用の細剣を抜く。


「ふーん………口で言って解るだけの頭も無いのね。仕方ないか――――」


 アリスに引く気が無いと悟ると、男はもう一人に「そのガキ逃がすなよ」と言い付けてから剣を構えた。

 アリスも数秒後に突っ込んでくるであろう男に備えて身構える。

 直後、


「──え?」


 アリスの口から驚きの呟きが溢れた。

 戦闘に備えて構えたアリスの目の前で、男がまるで糸の切れた操り人形のように力なく倒れたのだ。

 同時に、少女を捕らえていたもう一人の男も崩れるように少女の足元に身を横たえた。

 そして、倒れた男の側には左手の五指を揃えて手刀の形にした詩音が立っていた。

 何が起きたのか。詩音の姿を認識してアリスは漸く理解して。

 一体何時からアリスの隣を離れていたのか。

 詩音はこの場の誰にも気取られる事無く男達の背後に周り込み、背後から手刀で意識を刈り取ったのだ。

 位置的に詩音の姿が視界に入っていた筈の少女すら、その存在に気付けなかったらしく驚きに目を見開いている。

 詩音はそんな少女に歩みより声をかけた。


「無事かい?」

「あ、う、うん」


 若干震えぎみに頷く少女。

 それを確認した後、アリスに視線を向ける。


「って訳だから、ちょっと落ち着いてよアリスさん」

「え、あっ………」


 詩音の言葉にアリスは慌てた表情を浮かべ、次いで気まずい気に顔を伏せた。

 顔を上げた拍子に被っていたフードが外れて、その下の瞳が詩音とアリスを見る。


「アリス、ちょっとこの子見て上げて」

「あ、う、うん」


 詩音が任せるとアリスは躊躇がちに少女の容体を確認する。

 落ち着いたスタイルの短く淡い赤色の髪から藍色の瞳、細い首、凸の少ない身体、痩せた四肢の順に視線を走らせると、半袖のシャツの袖から伸びる左腕に擦り傷を見つけた。


「怪我してるね」


 アリスが口走る。

 騒ぐ程の怪我では無いが、見つけてしまった以上は放置する訳にはいくまいと、詩音はコートのポケット経由で《STORAGE》から先日エリックに鑑定して貰った自作の肉体(フィジカル)(・ポ)復薬(ーション)の入った小瓶を一本取り出して渡した。


「あげる」

「え?」

「変わってるけど回復薬だよ」


 短く言って小瓶を差し出すと、少女は反射的に受け取りつつ訝しげに小瓶と詩音を交互に見る。

 突然現れた他人から渡された薬など怪しくて飲む気にはならないのは当然だ。

 

「毒だと疑うなら、先に僕が飲んで見せるけど?」


 詩音がそう言うとアリスが再び優し気な口調で言う。


「大丈夫。危ない物じゃないから」


 すると少女は一瞬表情を強張らせ、次いで瓶の栓を抜いて一息に飲み干した。

 途端に少女の腕の傷がまるで映像の逆再生のように塞がって行き、次の瞬間には跡も残さず消えていた。

 それを確認すると詩音はアリスに一言「少しお願い」と言って踵を返した。

 そして、《STORAGE》からロープを取り出して側には転がった男達を縛り上げ、


「警備兵に突き出したいならご自由に」


 それぞれの武器を取り上げて、次に身元が分かるものが無いか懐を探りながら少女に言った。

 すると、その傍らでアリスがもごもごと声を零した。


「あの、シオン君、さっきのはその、昔の悪癖と言うか何と言うか…………」


 言い訳がましくそう言うアリスに詩音は、


「ああ、何かツッコんだらイケなさそうな感じだから何も聞かないよ。僕は何も見てないし何も聞いてませんって事で」

 

 と、一切の詮索をせずに呆気なく話しを終わらせた。

 「あ、うん………」と躊躇いつつもアリスが頷いた直後、詩音は男達の懐に何かを見つけた。

 それは二枚のカード。

 詩音やアリスも持つ《冒険者カード》だ。


「冒険者か………。にしては見覚えが無いな。アリスは?」

「……ううん。顔も名前も初めて見る」


 アリスにも覚えが無いらしい。

 すると、少女が遠慮がちに口を開いた。


「あの、そいつ等、別の街で強盗と殺人で手配されて、最近この街に密入して来たらしいんだ。カードは持ってても、冒険者登録は抹消されてる筈だ」

「なるほどね。でも、どうしてそんな人達に絡まれてたの?」


 アリスは納得の意を示した後で、少女に問い掛けた。


「それが、オレもこの街に最近来たばかりで……あ、オレ流れの情報屋やってて、シアって言うんだけど」


 シアと名乗った少女の言う情報屋とは、文字通りありとあらゆる情報を売買する職業の事である。

 世間話程度の物から国や商会の極秘情報まで、扱うものは情報屋によって様々だ。


「あ、まだ名前言ってなかったね。私はアリス。この街で冒険者やってるの。それで此方の人が」

「シオン。アリスと同じく冒険者だよ」


 手早く自己紹介を終え、詩音は話しの続きを促した。


「取り敢えず街の構造を知っておこうと思って適当に歩き回ってたら偶然この道であいつ等に会ったんだ。前の街で二人の事は知ってたからすぐに逃げようとしたんだけど捕まっちゃって。財布とか武器取り上げられてその後は………」


 そこから先は二人の見た通りらしい。

 

(どこの世界でもこの手の輩がやる事は一緒と言う事か)


 詩音はちらりと拘束した男達を見て、内心で溜め息を吐いた。

 

  ◆


 その後、二人組は最寄りの警備兵屯所に突き出すと言ったシアをアリスが手伝おうと言ったので、それならば男手も必要だろうと詩音も付き添う事にした。

 手配犯と言う事もあり、屯所の警備兵から大いに感謝された。


「改めて、ありがとうな。アリス、シオン」


 軽い事情聴取の後、屯所を出るとシアはペコリと頭を下げた。

 

「今後はああ言った連中に捕まらないように注意しなよ」

「ああ、気をつけるよ。なんかお礼をしないとな」

「ううん。私はいいよ。ほとんどシオン君が片付けた事だし」


 アリスがそう言って辞退するとシアは詩音へと視線を向けた。


「僕も必要ない。礼を貰う程の手間でもなかったからね」


 まあ、手間である事に代わり無いので、今後巻き込まれないに越した事はないのだが。


「それは悪い。回復薬(ポーション)まで貰っちまったし」 

「それも気にしなくていい。あれは自作の物だからね」

「いや、でも借りを作ったままじゃあオレの気が済まないんだよぉ」


 言い寄るシアに詩音は面倒だし適当に礼を受け取ろうかと思った。

 が、それを口に出す直前でもっと得になる案を思いついた。


「それじゃあさ。少しお願いがあるんだけど────」


  ◆


「エリック。これ、納品の回復薬」


 詩音はそう言ってカウンターに大きめの木箱を三つ置いた。


「ん、ああ。今確認する」


 エリックは手にしていた商品を棚に戻してから詩音の方に歩み寄り木箱を開けた。

 箱の中には三種類の回復薬(ポーション)の小瓶が大量に納められていた。

 

「………うん。数は揃ってるな。しかし、シオンの回復薬の人気は凄いな。店に並べてからまだ日が浅いってのに、もう水晶級や石級の冒険者達に広まっている。一体どんな手を使ったんだ?」


 箱の蓋を戻しながらそう訪ねるエリックに詩音は軽く笑みを浮かべて答えた。


「なに、ただ有能な宣伝屋を見つけただけだよ」


  ────────


「回復薬の宣伝?」

「うん。近々売り出すからね。同等の効果で普通の回復薬より安い物をね。シア、君にはそれを宣伝してほしい」


 詩音の要望にシアは「そんな事でいいのか?」と首を傾げる。


「うん。出来れば冒険者に成り立ての初心者を中心に広めてほしいかな。それで貸し借りはチャラ。どうだい?」

「チャラにするには少し足りない気もするけど……」

「いやいや。宣伝はとても大事な事だ。どんなに優れた商品も世間に知られなくては売れはしない。君が情報を拡散してくれれば、それは後に僕の利益になる。お願い出来ないかな?」

「う~ん……。わかった。シオンがそれでいいって言うなら」


  ───────


 あれからシアはしっかりと宣伝してくれているらしい。

 お陰で詩音の作る回復薬は駆け出しの冒険者達に飛ぶように売れている。

 裏路地であの一件に巻き込まれた時は面倒だとも思ったが結果的には良かったな、と思いながら詩音は回復薬の入った箱をエリックに預けた。

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