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言霊神  作者: 88
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自然農法とヤダヨ人と日月神示

数時間もすると、わからないなりにもコツ、というか、要領が少しずつわかってきて、皮剥ぎ動作にも余裕が出てくる。


「で、この皮をむいた丸太の出来上がったのはどこにあるんですか?」

作業メンバーとも徐々に距離が近くなってきたので、質問も無理なく出てくる。


「じゃ、ちょっと行ってみようかー。」


腿の上に乗っかった、剥いだ皮のクズを払い落としながら、山ちゃんが立ち上がる。

そのまま案内されて、納屋の向かい側の砂利道を数分歩く。と、そこに粗末なバラック、さっきの皮を剥がれた丸太を柱、骨組みに、トタンがバシバシ打ち付けてある2畳~3畳ほどの建築物体がある。半分に仕切った奥の方にドラム缶が立っている。


「これは一体なんでしょう?」

山ちゃんが楽しそうに質問してくる。


「えーとえーとえーと、ひょっとして・・・風呂か?」


「ピンポン・ピンポン・ピンポーン!五右衛門風呂、ドラム缶仕立てでございまーす!!」


「うえー!!!話には聞いてたけど、・・そうかー・・・こんな風になるんだー。へー・・・。もう完成なの?」


「もうちょっと、屋根のトタンと、ドラム缶の下から薪をくべる、窯のところをセメントでさらに固めたら完成でーす!でも、待ちきれずにみんな使っちゃてるけどね。

浴槽のドラム缶の上には屋根のトタンを貼っていないから星の夜は虫の声と、緑の夜風と相まって、最高だよ。なかなか、都会では味わえん贅沢かもね!!」


「おおーすごい。では今度是非入れてください。」


「別に、今度じゃなくても今日だってみんな入るから、後で存分にどうぞ。

脱衣所部分が屋根を貼りきれてないから、雨が降ったらちょっと切ないけど。」


「いや、今日はいいよ。昨日家で風呂入ったし・・・。」


「え、別にそんなの毎日入ればいいじゃん。山の中の星空の下ではいる風呂は最高だよ。ガスじゃなくて、薪で炊くから、遠赤ってゆうの?あったまり具合とか、水も山の井戸水だから、お湯の柔らかい感じとか全然違うし。」


「ああ、ふーん・・・。まぁ、とりあえず今日はいいって・・。」


「え?何でかたくなに拒んでんの?ひょっとして何か肉体的欠陥でも・・・?」


「・・・・・・。」


「順番で入るから、混雑するし、うちらは二人づつくらいで入っちゃうけど、『部分肉体的皮剥ぎ』が、まだの方は別に一人でも入れるから、大丈夫だよ・・・。」


「・・ご親切にどうも・・・。」

 


砂利道を歩いて戻ると、納屋の前では、夕ごはんの準備が進んでいた。


シュン シュン シュン シュン・・・と、威勢のいいリズミカルな音を出しながら、圧力鍋の分銅が回転している。そのたびに米の炊ける甘い、少し香ばしい香りがあたりに漂う。


「さ、ご飯にしましょうか!」

時山氏の声で、みんなぞろぞろ集まってきた。


「おお、相変わらずのピカピカの玄米ご飯。もっちもちですね。」


「圧力鍋で炊くと、すっげー、おいしくなるよな。」と時山氏。


「ちなみに時山先生はおいくつなんです?だいぶ貫禄あるようにみえますが。」


「へ、へーん。いくつに見える?って、ちょっともったいぶりたいとこだけど、こう見えてまだ36歳です。えっへん・・・。」


「案外お若いんですねー。」


「それって老けて見えるってこと?やっぱり。まぁいいけど・・・。」


あ、そうだ、みんなにも配ったんだけど、いい本を買ってきたから尚君にも渡しとこう。これこれ・・・。」


といいつつ、箸を置き、納屋の片隅の自分の「デイパック」

(当時、リュックでもナップザックでもなく、これが流行っていた。イマイチ違いはワカラン・・。)

から3冊の本を取り出してくる時山氏。


「はい。これです。差し上げますんで、しっかりお勉強してみてください。」


「げっ。そんなにお勉強は得意じゃないんですけど。中学校以降は特に・・・。」


「大丈夫。ゆっくり読めばわかるって。」


3冊の本の、一番とっつきやすそうな、写真集のようなものをパラパラ開いてみた。


「福岡正信・自然農法・わら1本の革命・写真集」


それは全ページ、大量のカラー写真と、ほんの少しのコトバで表現されていた横長の本だった。春の柔らかな明るい日差しの中、巨大な大根が白い花を咲かせている、その隣では何の葉菜なのかわからないが、菜っ葉の花が、これまた負けじと太陽の光を浴びて、黄色い花を咲かせている。その足元にはクローバーが生い茂っている。大根の花の上の方では桜か桃か、日差しに向かって大きく枝を張った果樹のきれいなピンクの花が咲いている。本の中でもコメントがあるが、まさにその写真からは「ここは天国か?桃源郷か?」というイメージしか伝わってこない・・・。


大地、自然を大観察することにより、無為自然に、少しでも近づける農法、農薬、化学肥料、「大規模農業機械類」を基本否定する、「自然農法」の先覚・提唱者、福岡正信氏の傑作本である。いったい何人の人が、この四国出身の、どう見ても仙人を思わせる風貌、白髪と長いあごひげ、作務衣を着て、弥栄(イヤサカ・・・古代日本、神様コトバ、超生成化育・永久発展の意。)の畑に佇む超人の本に酔いしれ、元気をもらい、新たな農法に挑戦していった事だろう・・・。


種を泥でくるみ、そのまま畑、水田に播く方法「泥団子、粘土団子」は有志者・専門家およびマニアの間で、高く評価された。

「クローバー草生・米麦連続不耕起直播」を長年研究実践した後、世界の砂漠地帯を「泥団子」で、緑化する仕事に邁進、世界的にも自然農法、福岡正信の名を不動のものにした。(平成20年、逝去。)


「なんか心洗われる本ですね。」


「いいでしょう。見ているだけで癒されるよな。」と、時山。


「こっちは?」

と、一番小さな本文庫よりもう少し大きい新書版という大きさ、「タクマノベルズ」とかかいてある、よくハウツー本を出しているサイズだ。


「宇野正巳・ヤダヨが解ると世界が見えてくる」


苦難の歴史をしのいできた旧約聖書、悪魔崇拝的・裏経典を狂信するヤダヨ人の一派がアメリカを裏から支配し、オスラエルという国を無理やり建国し、近隣国のパレスチナ人種を迫害、追放し、さらに世界中にその権力を伸ばし、その隅々まで支配者たらんとしている。ロシアの共産主義革命もフランスの資本主義革命もヤダヨ人が裏で糸を引いていた。世界のメディアのほとんどをその支配下に置き、自分たちに都合の悪い情報は流さず、都合のいい、愚衆化につながる情報、映画、番組、記事はどんどん流す、という恐ろしい内容だった。


「ふーん。ヤダヨ人ねぇ・・・。」


「ヤダヨ人っていうと、迫害され続けてもがんばって生きてきた、旧約聖書を信じるアンネ・フランクのようなイメージがあるけど、そういう表向き宣伝に隠れて、実は恐ろしい、非人間的な活動をして、世界支配をもくろんでいる一団があるんだ。」


「うーん・・・。世界支配って、ショッカー(仮面ライダーの敵軍団)ですか?」


「そうだね。キ、キーッ (ショッカーの兵隊の鳴き声?)ってね。」


「世界的な石油メジャー(会社連合)も、食物メジャーも、メディアも主要産業はほとんど彼らグループの手に握られている。シオンの議定書(プロトコール)という有名な暴露本があって、ヤダヨ人の裏にいる、目に見えない負のエネルギー、古日本的に言えば霊団から発せられた本と言われている。シオンの議定書を信奉すると言う意味で、シオニスト・ヤダヨ人と、呼ばれている。」


「どーも子供目線ですいませんけど、ガンダムのジオン(ZION)軍って、そういうことを意識してたのでしょうか?」


「そうかもしれないね。SIONとZIONだもんね。案外アニメとか、漫画とか、ビジュアル、絵画芸術的な仕事をしてる人達って、感性が純粋な人が多いから、神霊界とかのメッセージやイメージの影響を受けてる人は多いかもしんないね。ドラゴンボールだって、神様の竜の宝玉を探す話だしね。」


「神龍の宝玉探しが現実と何か関係があるんですかね?」


「そこまでいくとかなり深い話になるから、また今度にしたいと思うけど、さわりの話はそのもう一冊の白い本に出てくるよ。」


「これですか?『日月神示・日本大予言、泉田瑞祥』・・?・・・預言書ですか?ノストラダムスみたいな?」


「ノストラダムスとはかなり趣きが違うな。昭和の初期に画家の男性に自動書記の文が降りるようになった。それを解読してみたら、すごいことがわかってきた。」


「何ですか?、それって」


「まぁ読めばわかるんだけど、ちょっと説明しとこうかな。日月神示によると、太古の時代に神霊界で、地球を生成化育して、長い間守護した正神界の重鎮〔『くにとこたち』の神様〕が悪神たちの多数決で、地球の艮(うしとら、東北)に押し込められて、封印された。それ以後地球を守護してきたのは悪神、邪神達だったというんだ。だから、全て良かれと思って人類がやることが悪い方悪い方へと進んでゆく。全て人間は自分で考えてるつもりだけど、実はかなり高い確率で、目に見えない霊的エネルギーの影響を受けているそうなんだ。悪い考えのひとは邪神・邪霊と、キレイな心をもつ人は正神界の神様や精霊と繋がる、と。

で、現代で、艮を鬼門と呼んでいるのは、押し込めた邪神サイドの理屈で、正神界から見れば、地球上で最も大事な神様が隠れられた聖なる場所に当たるわけだ。そんな経緯も知らずに、現代東洋人は艮を鬼門とか、凶方位とか、邪神サイドの発言、認識をしていたんだ。でも、いつまで待っても邪神が地球を守護していても世界は良くはならないし、どんどん人類も全ての生き物も、悪い方へ、悲惨な方へ進んでいってしまうから、長いこと影から見ていたけど、表に出て、地球の守護を再びするぞよっ!!って宣言して、自動書記になって、現界にあらわれたのが日月神示全23巻だと言うんだ。で、数千年も邪神守護の下で、生きてきた人間は、邪神癖がこびりついていて、発想、意識、言行、全てが汚れまくってるらしいんだ。だから、早く汚れを落とさないと、クニトコタチの神様の再守護になったら、ついてこれなくなるらしい。当然、その前に邪神、邪霊もついてこれなくなるから、早いうちに人民も、邪神・邪霊も改心しないと、守護神切り替えの時に消えてしまうらしい。」


「消えるってどういうことですか?つのだ次郎先生の漫画では、人間は長い間輪廻転生を繰り返して、死んで、あの世で少し休んで、また生まれ変わってきて、魂のレベルを向上させているってありましたけど。」


「そうだね。でも、そうやって、ずーっときたけど、いつまで待っても魂レベルの向上はおろか、全体で見たら、退化の方が激しいから、いちど、ご破算にして、神界、幽界、限界の、大掃除をすると言われている。で、魂の曇り穢れ、汚れが残ってると、輪廻転生ももうなくなって、元の神様、まぁ無限の光のエネルギーかな、に吸収されちゃうと。

まぁ、それもそんなに悪くないのかもしれないけど、でもせっかく長いこと魂レベルでは生き死にを繰り返して、個を守ってきたんだから、せっかくなら、頑張って、正神様のお目がねにかなう立派な水晶のような、生まれ赤子のようなキレイな心に立ち返ってくれよ、と、痛切にメッセージを繰り返しているんだ。意味も含めて激しい文体だけど、とても広くて深い、忍耐強い本当の意味の『愛』を感じる表現になってると思うよ。まぁ、解説はこの辺で、読んでみたらわかるよ。神様の目から見たシオニスト・ヤダヨ人の話も出てくるし。」


「へー。すごいですね・・・・。小説の『幻魔大戦』みたいですね。正神と邪神の大戦いか・・・。なんか鳥肌立ちますね。」


「まぁ深刻にならずに、真剣に、読んでみてよ。」


「あい、わかりまちたー!!」


3冊の本を横目に夕食の味噌汁を頂いた。日が次第に傾き、こおろぎやキリギリス達の声が騒がしくなり始めた。


「りーりーりーりーりー。」


「ぎょっぎょっぎょっぎょっぎょ。」


緑の大息吹の山中で食事をすると、なんでこんなに暖かい、包まれてる、癒され感が出てくるんだろう?食べるという物理行為は町だろうと変わらないのに・・。


ひょっとして、空気や雰囲気や光なんかも無意識で食事と一緒にエネルギーになってるのかな・・などと思いつつ咀嚼を繰り返していく。


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