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言霊神  作者: 88
4/7

丸太

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(作者註)

あまりまともに書いていてもなかなかしんどいので、ここから主人公の「尚宏目線」で書いて見たく思う。乱文&超遅筆、陳謝。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

かなり遅めの朝食をとったあと、待望の野良仕事かと思い、男性陣に付いて行く。

都会ではなかなかなじみのない、足袋(たび)というのを履いてる人もいた。紺色の布でできた、親指とその他の4本指とに別れている、その昔忍者も履いてたやつだ。


(小学校の徒競走ではいてた奴もいたな。そういえば。)


などと思いながら山道・・・車一台やっと通れるような舗装されていない砂利道の林道を、てくてく数分ほど歩き、その横の杉林へ入ってゆく。斜面になっていて、なかなか歩きづらい。山の下草を踏みつつ、先へ行くと、すぐ目の前に木々の間に切り倒された杉の木が転がっている。直径10〜30センチくらいのわりと細めの木々だ。間伐材というやつだ。


先頭の山ちゃんがわりと小ぶりな1本を上手に

「ほいやっ」とばかりにうまい具合に木の真ん中を肩にかついで、斜面を下る。続いて後続の男子も同じように担いで下りていく。見よう見真似で、同じように丸太の下に肩を滑り込ませ、担ぎ上げる。


何キロあるんだろう?見た目よりかなり重い。でもあこがれのシュワルッツェネガ―のようなので、ちょっとそれっぽく、口を「への字」にしながら耐えつつ斜面を下る。


むぅ。・・・。想像以上に肩口に木が食い込む、いや、めり込むのか?

・・・ターミネ―ターやプレデターはこんな事くらい日常茶飯事なので、私も負けるわけにはいかない・・・。


もと来た砂利道を各自1本づつ丸太を担ぎながら、昨晩眠った、改造中のもと倉庫、20畳程はあるだろうか、泥壁であちこち隙間だらけで外の青空が見えている・・・、に運び込む。


この納屋(ボロ小屋か、倉庫か、なんと呼ぼうか、迷うとこだがとりあえずこう呼んでおこう。)

の中では時山氏がカマで前回の作業時に運び込まれた杉の丸太の皮をむいていた。


「皮をはぐんですか?」


「そうそう。このまんま使うと、中に虫とかいるし、腐りやすいから。」


シュッ、シュッと、なかなかしぶい音をたてながら丸太は時間をかけて皮をはがれて行く。

これまた見真似で、自分でやってみて分かった事だが、大分時間がかかる。ぺりぺりうまく剥げるところ、ひっついて、なかなか剥げないところ、色々だ。カマなども産まれてこのかた19年間ほとんど使ったこともない。


「あ、カマをこじると刃が欠けるから、気をつけてね。」


「はーい。」と時山氏に返事しつつも、ついつい力が入りこむと、スーッと水平にはひけなくなる。途中で皮と丸太のあいだでひっかかって、こじりそうになる。むぅ・・・。


各自持ってきた丸太の上に、乗っかったり、またいだり、思い思いの形で、皮をはいでいる。

雑談に花を咲かせながら、実に楽しそうである。


「ひさし君、由美さんと喧嘩ばっかしてるんじゃないの?」


と山ちゃんが口を開く。時山氏を除く彼らの中で一番、(ベン)が立つ、頭脳明晰なのは彼だ。かの入学困難なエリート集団、航空高専在学中(ゼロ戦や新幹線の初期製作者が先生にいるとか、校長だとか言われてる…。)で、私のひとつ年上だ。


「いや、たまにはするけど、案外うまくやってるよ・・・。」と、ひさしくんがちょっとばつ悪そうに照れながら返事をする。


「あれ?なんの話し?」


参加できそうな話しが出たら、間髪いれずに参入してフレンドリーシップを深めようとするワタシ・・・。


「いや、由美さんとヒサシ君付き合い始めてもう1年以上になるんだけど、時々この山の中に来ると、言い合いしてるみたいだから、ちょっと茶々を入れとこうかとおもって・・・。」


と山ちゃん。


「ああ、そう・・・。」

と、内面の動揺を見透かされないように勤めて平静に装う私・・・。


「実はひそかに由美さん素敵だなーって思ってたのに・・・。」微妙におちゃらけながらのカミングアウトに、


「結構みんな、由美さんにはひかれる人多いよー。なんてったって、モデルの仕事も時々するみたいだし、性格いいしねー。」と、山ちゃん。


そういえばこのひさし君、よく見るとかなりな男前だ。それこそシュワちゃんを細くしたような筋肉質な体と、彫りの深い顔立ち・・・。身長も私と同じ位、182〜3センチというところか。山ちゃんと同級ということは1コ上だ。由美さんはさらにそのひとつ上らしい・・・。


傷心の心を癒すかのように、山のしじまで、カッコウが鳴いていた・・・いや、泣いていた・・・。



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