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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
4章 ゼリリンの大迷宮編
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ゼリリン、目的地にたどりつく


王様達との会議を終えた俺たちは、とりあえずゼリリン城へと戻ってきていた。


帰る間際に、お土産としてヒールスラタロ.Jrを進呈しておいたら凄い喜びようだったので、次会う時はまた別のスラタロ.Jrをプレゼントしてあげようと思っている。

カジノでも帝国でも、スラタロの人気は留まるところを知らないな。


「さて、それではさっそくゼリリン城の強化といこう」

「さすがです若。魔法でこんな大きな城を建てただけではなく、さらにまだ上があるなんて痺れます」


そういえばリグはまだダンジョンの事を知らないんだった。

彼女には俺の分身もゼリリン城もすべて、勇者の魔法ってことで片付いているのだ。


うむ、まあそういう事にしておこう。


ちなみに、既にDPダンジョンポイントは20万以上もあり、階層を増やすだけならなんとでもなるレベルにまで増大している。

今回は地下空間に少しずつダンジョンを構築していく予定だが、まあこれはそこまで急ぐこともないだろう。


一度帝国落としに失敗した公国側がすぐに次の攻撃に移るとも考えにくいし、とりあえずゆっくりやっていこうかな。

数週間くらい様子を見て向こうに何も動きが無ければそれでいいし、なにか問題を起こせば強化したゼリリン城で迎え撃てばいい。



……そしてダンジョンの強化を初めてから2週間後、タクマやリグ、自分自身の強化を終えた俺たちはガーランド公国の首都へと向かった。





と、いうことで公国までやってきました。

移動距離はわんわんバスで2日くらいの距離で、たいした時間ではなかったようだ。


これは公国と帝国が近いというより、わんわんが早いだけだろう。

さすがわんわんだな。


「よくやった」

「グルォン!!」

「うむ」


2日間の移動で疲れているかと思ったが、そんなことはないみたいだ。

これなら、帰りもわんわんバスに乗って行ける。


さすがに3人乗りになると負担が大きくなってしまうだろうと思い、ウルフ型魔物用に自動伸縮のある剛力の腕輪を合計4個つけてあげたので、それも大きかったかもしれない。


俺たちの強化も必要だが、わんわんの強化もあればあるだけいいからね。

なにせA級魔物だし、戦力になること間違いなしだ。


あとついでに俺たちの強化の内容を紹介すると、タクマは近接能力強化に剛力の腕輪とグローブを装備し、リグは疾風のブーツとかいうのを購入した。


このおかげでタクマの筋力は2段階上昇しランクSSS付近へ、リグは敏捷がA級になったと思われる。

リグはともかく、タクマに関して言えば近接能力が完全に規格外だ。

こいつとだけは殴り合いの喧嘩をしたくない。


俺の装備は特にめぼしいものが無かったので保留だ、1万DPくらいで適当なガラクタを購入しておいたので、まあなんとかなるだろう。


「で、この後はどうするんだ? 転生者って奴はお前の攻略本で検索できるだろうが、この国の事情を教えてくれる訳じゃないだろ」

「その事だけど、僕に考えがある。とりあえず、まずはこの首都の人達を検索しよう」


さっそく攻略本を召喚し、お目当ての人物を探っていく。

目的の相手は依頼が失敗し、本国に帰ってなにかしらの再起を図っている可能性が高いので、おそらくはこの首都にいるだろう事が推測できる。


この国がどんな国かは知らないけど、本来ならば作戦失敗した工作員っていうのは口封じのために消されたりする事があるのだろうが、彼らは腐っても公国のトップに目される実力派集団だ。

そう簡単に使いつぶすような事はないだろう。


……それから数分、ときおり引っかかる転生者をスルーしながら彼らをたどっていくと、ようやく居場所をつかめた。


「よし、見つけたよ」

「ふむ、……どれどれ。ほう、なるほどな」

「うむ」


そう、俺が攻略本で検索したのは、蒼の旅団のメンバーである吸血鬼ちゃんその人だ。

彼女には以前借りを作っておいたので、今回は情報収集という面目でその借りを返してもらうつもりだったりする。


「……若、また女性ですか? 女性なんですね? 勘でわかりますよ」

「む? う、うむ」


まあ吸血鬼ちゃんは女子だ、間違いない。


「そうですか。それなら、すぐにその作戦は取りやめましょう、嫌な予感がします」

「えっ」


リグが急に真剣な顔になりだした、いったいどうしたというんだ。

ちょっと目のハイライトが消えかかってるし、もしかしたら何かに気づいたのだろうか。


「そもそも出発の時点でまさかとは思ってたんです。若がけっこうウキウキしてたし、ほっぺも心なしかぷるぷるしてたような気もするし、だいたい常日頃からダラダラしてる若が遠出するなんてそれこそ……」

「おちつけ脳筋少女リグ、僕のほっぺはいつもぷるぷるだ」

「ブハッ!」

「笑うな」


なにかと思ったら情報収集と全然関係なさそうな事だった。

そもそも俺はダラダラしているのではなく、じっくりと機を待つタイプなだけで怠け者ではない。

ゼッタイニだ。


あとタクマは笑うな、我慢したけどダメでしたみたいな顔するんじゃない。


「とにかく、さっさと彼女のもとへ向かうよ。公国に詳しいのは公国に住んでいる人だからね、情報収集にはもってこいだ」

「そ、そうだな? ブハッ!」


タクマがまだ笑っている。

ゼリリンビームかますぞ。


「うう、若が言う事を聞いてくれない……」

「いや、そもそもリグは話の筋からズレているから」


本当にこのメンバーで大丈夫なのか心配になってきた。



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