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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
4章 ゼリリンの大迷宮編
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ゼリリン、準備しすぎる



酒場のマスターこと闇ギルドのおっちゃん達をスカウトしてから、一週間が経った。

おっちゃん達がチラシを配ったあとの来客率は劇的で、彼ら赤き翼とコネのある人たちや、騎士団長さん達の知り合いだった人たちがこぞってカジノに押しかけてきたのだ。


おかげで現在、俺のカジノはアイゼン帝国史上かつてないほどの活気につつまれており、来客たちがもってくるDPで一日1万DPほどの黒字を算出するようになっていた。


今もスライムコロシアムで、数十人の人間がチャレンジモードのバトルに熱中している。


「赤だァッ!! こんども俺はこの<リベンジャーズ・レッド>に賭けるぜっ!」

「いや、<リベンジャーズ・レッド>は勝ちすぎている、そろそろ疲れも見えてくる頃だろう。俺は緑に賭けるぜっ!!」

『やっちまぇええっ!!』


うむ、PvPプレイヤーバーサスプレイヤーのチャレンジモードも大盛況のようだ。

今のスライムコロシアムのトップは騎士団長さんのカラースライムが張っており、彼の復讐心を得た<リベンジャーズ・レッド>は怒涛の3連勝中だったりする。


「フハッ、フハハハァッ!! 我のスライムを倒せる者はいないのかぁっ!? 我はどんな者の挑戦でも受けて立つっ!」

「いいぞ騎士団長っ! お前は世界一のスライムマスターだァッ!!」

『うぉぉおおおおっ!!』


……ちょっと勝負にのめり込みすぎな気がしなくもないが、まあゼリリン城が繁栄する分には問題ないだろう。

ちなみに騎士団長さんは帝国に戻った後すぐに、【帝国の巫女】さんにここの報告をしに行ったようなのだが、ちょうど帝国の教会から出ていったばかりとの事で連絡がつかなかったようだ。


なので国の上層部にだけゼリリン城の安全性を伝え、騎士団員たちを連れ込んで今に至るというわけである。

増えたDPでわんわん部隊の増員もしたし、この調子でどんどん稼ぎの効率を上げるのが良いだろう。

現在、エクセレントウルフの輸送部隊は50匹にまで膨らんでいるのだ。


しかもこのカジノを通じて、赤き翼と騎士団長さんの面会場所とかも作っておけば、蒼の旅団が攻め込んできたとしても既に時遅しといった具合にけん制できる。

さっき新設した4Fの休憩所でなにか話し合っていたみたいだし、もしかしたらもう旅団の情報は伝わっているかもしれない。


……そして新設した階層といえばもちろん、この一週間、俺も何もしていなかった訳ではない。

この魔王ゼリリン城を、まさに魔王に相応しいレベルで強化していったのだ。


その強化内容が以下の通り。


B1:ゼリリンの隠れ家

1F:カジノ受付、素材・景品交換所

2F:カジノ

3F:チャレンジモード施設

4F:宿泊施設、休憩所

5F:迷宮入口

6F~10F:Bランク迷宮、10FでA級ボスモンスターコーナー

11F~49F:トラップばかりの、モンスター無しコーナー

50F:ゴール、なにがあるかはお楽しみ


なんと、この一週間溜め込んだ7万DPで、50階層までの超高層ビルを建設したのである。

急ごしらえのため、11Fから49Fは一回こっきりしか使えないトラップ軍団しか用意していないが、対旅団攻略戦においてはこの50階層という高さが重要なので、これでいいのである。


そもそもこの殲滅戦において大事なのは、旅団にゴールまで辿り着いてもらう事だ。

それまでの5Fから49Fなど、彼らにここが迷宮であると信じ込んでもらうための布石に過ぎない。


それに俺の予想では、おそらく蒼の旅団のリーダーはダンジョンなどの知識に詳しい奴だと、おおよそのアタリをつけている。

なぜならこの1週間、赤き翼との取引で得た情報によれば、彼らは過去に【マヨネーズ】や【しょうゆ】といった日本にしかない調味料の開発を行っていたからだ。

仮にそうであるならば、日本という国に詳しい以上、リーダーは転移者か転生者とみて間違いない。


となればもちろん、俺やタクマと同じようにチート能力を持っているか、もしくはチート装備をもっていることだろし、ダンジョンにも詳しい事が予想できるだろう。

まったくもって、厄介な奴らである。


まあ要するに、以上の理由から相手の戦力が現段階で分からない以上、ガチンコバトルで挑むのは危険だと判断したのだ。

それ故の50階層であり、この設備だし、作戦だったりする。

そこに慢心や驕りなど、一切ない。


勝つのはこの俺、ゼリリン7歳だ。


……というわけで、回想終わり。


「うむ、完璧な作戦だな」

「いやおまえ、アレはさすがに用心しすぎだろ。頭冷やせ」

「何を言うタクマ。戦いとは常に、より準備した者が勝つのだよ」


うむ、我がゼリリン城に、抜かりなし。

来客たちの護衛も、魔女10人とタクマが居ればなんとかなると思うし、あとは迷宮へ誘い込むだけだな。


……それに赤き翼の皆さんによれば、既に蒼の旅団の方々もゼリリン城攻略に向けて準備を進めているらしいし、もうそろそろ彼らとの最終決戦が始まることだろう。

もしゼリリン城のゴール地点まで辿りつき、なおかつ生きてられたのであれば、ついでに蒼の旅団の行動理由とかも聞いてみようと思っている。


「ぜりっ、ぜりぜりぜり(笑) さぁ、どこからでもかかってくるが良い」

「……ハァー。まあ、勝率が上がる分にはいいけどよ。俺はいざって時のために、裏で待機しておくぜ」

「うむ」


さすがタクマ、お前も抜かりがないな。


……それにしても、うーん、旅団さんが待ち遠しいなぁ。

まあ、あと数時間もしないうちにやってくるだろうし、コアルームで待機しながら様子でも見ておこう。



……すると1時間後、何の前触れもなく膨大な魔力を持つ者が、ゼリリン城の庭へと転移してきた。

ふむ、だいぶ早かったが、ゼリリン城初となる侵入者殲滅パーティの始まりのようだ。


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