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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
4章 ゼリリンの大迷宮編
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ゼリリン、スカウトする


ララさんとの会話を終え、ゼリリン城に帰ろうとしたときに、ふと思った。

せっかく蒼の旅団っていう利害の一致した敵がいるんだから、どうせなら協力し合えないかと考えたのだ。


この人達をカジノの住人としてスカウトすれば、給料の代わりにDP産の武器防具などを融通できるし、俺の方も旅団に詳しい警備員を雇えて戦力増強、まさに一石二鳥という訳なのである。


うむ、そうと決まればさっそくスカウトだっ!


「ところでお姉さん、ちょっと思ったんだけど」

「ん、なんだ?」

「旅団攻略へ向けて、エリクサーとか、魔導書とかって興味ない? ほらこういう奴」


別にこの程度の品など、どうと言う事もないとでもいうように、スッと取り出す。


「……は? ……は、はぁあっ!? ちょ、お前それ、それなんだっ!?」

「ぜりっ? これはエリクサーだよ。なんでも治せちゃうすごい薬」

「そうじゃねぇよ! いや、そういう事だけどよっ!」

「あばばばばばっ」


エリクサーを見せたとたん、お姉さんの腕が俺のボディをガッチリとつかみ、思いっきり揺すりはじめた。

目が回るからやめてくれ、7歳児の体は繊細なんだ。


「おまっ、お前それエリクサーなのかっ!? 本物か、本物なのかっ!?」

「あばばばばっ」


お姉さんが止まらない。

くっ、まさかこのお姉さんがここまで積極的だとは思わなかったぜ。

さすが魅惑のゼリリンボディ、俺の可愛さはここまで人を狂わせてしまうというのか。


「やめんかララっ! 赤き翼が取り乱すなんてみっともねぇぞっ」

「いだぁいっ」

「……ふぅ、助かった」


ナイスだおっちゃん。

ララさんの行動を見かねた酒場のマスターがげんこつを落とし、俺を救出してくれたようだ。

この行動はポイントが高いぞ、エリクサー一本くらいサービスしてやらなくもない。


「すまねぇなボウズ。だが、そのエリクサーは本物なのか? 俺たちと取引してくれるってんなら光栄な事だけどよ、お前としてもそれは切り札みたいなものだろう?」

「ぜりっ? そんな事ないよ。既にエリクサーは50本近くあるからね。僕と取引してくれるというのなら、多少融通はしてあげられるよ」

「なにぃっ!?」


タクマ城の先代勇者たちとの対決で、半分くらいに減っちゃったみたいだけど、エリクサーはまだまだたくさんある。

それに足りなくなったらDPで増やせるしね。


……まあとにかく、まずはおっちゃんの気を引くことに成功したみたいだし、さっそくスカウトの件について話してみよう。



──10分後。


「……ということで、僕の屋敷で賭博施設を開いたから、警備員として赤き翼を雇いたいんだ」

「なるほどな、タダのガキじゃねぇと思っていたが、……まさかこれほどとはな。この拠点との行き来は召喚獣であるエクセレントウルフの群れが行い、俺たちは素性を隠しつつ仕事をして、給料として極レアな物資を調達できるってワケか。……いいアイディアだな、クククッ。乗った、乗ったぜ俺はっ! お前らはどうだっ!?」

『うぉおおっ! 親方についてきますぜっ!!』


どうやらみんな乗り気のようだ、これは幸先が良いな。

これで旅団や帝国に詳しい人員が確保できるし、より確かな基盤が出来上がる事だろう。


「それじゃ、そういう事で。あ、よければこれ、従業員募集のチラシですがどうぞ」

「おう、すまねえな」


そしてマスターにチラシを配った後、ゼリリンダッシュとわんわんダッシュを駆使して、急いで拠点へと戻った。

もちろん、いざっていう時のために迷宮を強化するためだ。


スカウトした人たちの迎えは、騎士団長さんを送っていったエクセレントウルフ達が担当するので、いずれこちらに来る事だろう。


「ということで、ただいま~」

「遅かったじゃねぇかセリル。もうすでに、魔女型の魔族たちの配置は済んだぜ。あとは警備担当の奴らをどう増やすかだな」

「さすがタクマ、仕事が早い」


店内を見ると、10人ほどの美女がそれぞれのゲームや受付なんかに配置されていた。

魔女は最上級魔族というだけあって防衛戦力にもなるし、いればいるだけ欲しいくらいだ。


そして満足げに頷いていると、どこか聞き覚えのある声が店内に響き渡った。


「ぬわぁぁっ!! やらせろっ、ワシにもっとゲームをやらせるのじゃぁああっ! 後生じゃぁあ、もうゼリコインは使い切ってしまったのじゃぁあ…… あと一度、一度だけでいいのじゃっ」

「おいタクマ、なんで幼女が紛れ込んでいるんだ」

「……知らん、あいつは気づいたら勝手についてきていた」


見ると、そこにはゼリコインを使い果たし、破産しているルゥルゥが居た。

このロリ魔女はなにをやっているんだ、魔族のくせに賭博に耐性なさすぎるだろう。


「いったい何がしたいんだ、ルゥルゥ」

「ぬあっ!? この声はチビッ子っ!! でかしたぞっ」

「でかしてないから、ゼリコインはあげないよ」

「……そんなっ!?」


いや、そんなっ、じゃないから。

ゼリコインが欲しければ、魔物と戦えばいいのだ。


……と思ったけど、よく見るとルゥルゥの装備はあちこちが傷んでいるみたいだし、きっと魔力の限界まで魔物と戦っていたのかもしれない。

もしかしてもう魔力を使い果たして、回復するまでゲームができないのではなかろうか。


アホだ、アホ魔女がいる。


「やっぱりロリ魔女は、バカだね」

「ぬぁああっ!! チビッ子に哀れまれたぁああっ! おしまいじゃ、もう、なにもかも」

「だけど、そんなロリ魔女に朗報が」

「のじゃっ!? ……ま、まさか」


……うむ。

だけどよく考えたら、このロリ魔女っていいお客になるし、回復アイテムさえ渡しておけば永久にゼリコインを稼いでくれるかもしれない。

せっかくだし、一つ魔力回復ポーションを渡しておこう。


「……そうです。ここに、高級魔力回復ポーションがあります」

「……の、のじゃ」

「そしてこれを、こうですっ!」

「のじゃーっ!?」


屋敷の入口に向かって、ポーションをポイッと放り投げた。

案の定ルゥルゥはポーションのあった所まで瞬間移動し、ゴクゴクと必死の形相で飲みながら屋敷を出ていったようだ。


うむ、是非とも素材を集めてきてくれたまえ。


「……おまえ、相変らず鬼畜だな」

「ぜりぜりぜり(笑)」


さて、それじゃあ拠点ついたことだし、さっそく強化を始めるとしよう。


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