ゼリリン、ついにカジノを運営する
騎士団長のベルレインさんを、魔王ゼリリン城、別名モンスターカジノに連れてきた。
その店内には、小さな闘技場のようなスライム専用のバトル施設と、スライムレース用の競技コース、はたまたDPで召喚したスロットやルーレットがあるのが見て取れる。
どれもこれも全てがスラタロ.Jrの活躍によって稼働している物であり、実はまだ紹介しきれない大作ゲームもたくさんあるのだ。
しかしもちろん、これらの遊びをするには、魔物の素材や魔石などで交換できるゼリコインが必要であり、それがないとプレイすらできない。
だが、どのゲームもゼリリン城に相応しい大作達ばかりであり、間違いなく楽しめるように作りこんでいる。
でもまあ、そんな事言われても分からない事ばかりだと思うので、まずはゲームの紹介から入るとしよう。
最初はスライムコロシアムからだ。
このスライム専用の闘技場では、色違いの絵具を配合して作ったカラースラタロ.Jrが3匹同時に出場し、どのカラーがバトルで勝つかの賭けを行う形式である。
基本的にスライムの実力は互角なので、白熱した勝負が見られる事だろう。
そしてさらに、このゲームにはチャレンジモードがあり、景品で入手した自分のカラースラタロ.Jrを出場させ、他人のスライムと勝負させる事ができるのだ。
チャレンジモードに参加するには100ゼリコインが必要であり、勝者はこの試合に賭けられた他者のゼリコインの半分を入手でき、自分のコインも返ってくるという仕組みとなっている。
次にスライムレース。
このスライムレースは同じくカラースラタロ.Jrたちによる徒競走で、そのカラーのどれが一番早くゴールにたどり着けるか決めるゲームだ。
当然、こちらも同じようにチャレンジモードが用意されおり、自分で育てた騎乗用スライムに乗って集団バトルが出来るようになっている。
まだまだ紹介したい施設はたくさんあるが、まずはこんな所でいいだろう。
ちなみにZCのレートと、景品のレートは以下の通り。
【魔物の全身素材or魔石】
└E級:[10]ZC
└D級:[50]ZC
└C級:[200]ZC
└B級:[500]ZC
└A級:[1000]ZC
└S級:[2000]ZC
└S級以上:応相談。
【景品】
└各種カラースラタロ.Jr:[100]ZC
└ジャスミンスラタロ.Jr:[100]ZC
└メタルスラタロ.Jr:[300]ZC
└ヒールスラタロ.Jr:[500]ZC
└騎乗用・ビッグ・カラースラタロ.Jr:[300]ZC
└魔導スラタロ.Jr:[5000]ZC
└魔導書:[5000]ZC
└魔剣(DP1000以下):[5000]ZC
└エリクサー:[10,000]ZC
となっている。
魔導スラタロは魔導書と合成した新種で、それぞれ火魔法・水魔法・土魔法、…etcと、一種類の魔法が使えるようになったスライムだ。
もちろんポーションと配合しただけのヒールスラタロ.Jrとは違い、ステータスは抜群に高い。
魔物のランクでいうなら、Cランクは固いだろう。
この魔導スラタロ達は注文式になっていて、ZCが貯まったら受付に頼んで用意してもらう形式だ。
「という訳で、ルールはチラシに書いてる通りだよ」
もちろん景品の内容と各種ルール、詳細等はチラシに掲載されている。
特に景品なんかはこのカジノのアピールポイントなので、目立つようにでかでかと載せておいたのだ。
魔王ゼリリン城に死角なし、といったところだろうか。
……すると、騎士団長さんがこれでもかというくらい目を開いて驚き始めた。
「お、おぉぉっ!! なんという施設だっ! まさか蒼の旅団殿の力がこれほどまでだったとは、恐れ入りましたぞっ!」
「喜んでくれて何よりだよ。今回は特別に、第一号のお客さんということで[500]ZCをプレゼントするから、どうぞ遊んでいってよ」
ちなみに従業員はあとから増やす予定なので、今回は俺・リグ・タクマで試運転である。
「……すばらしい、すばらしィ!! これだけの景品、どれか一つだけでも極上の物ばかりだっ! うむ、是非ゲームをやらせてほしい。どれがオススメなのかね?」
ちょっと喜び過ぎじゃなかろうか。
ゼリリンビックリした。
ま、まあ、この世界の人には刺激が強すぎたかのかもしれないね、耐性とか無さそうだし。
でも遊んでくれると言っている訳だし、せっかくだから勝率の高いゲームを紹介しよう。
ここで多少勝たせてリピーターを増やすのだ。
この経営で大事なのはドハマリするリピーターだからね。
「うーん、それならスライムコロシアムかな。一番勝率が高いよ」
なにせ3分の1で勝てるからね、そこまで悪くない勝率だ。
倍率はどのスライムが勝っても1.5倍となっている。
そのうちレートも変動させるつもりだが、これは初回だからね。
まずはこんなもんだろう。
それじゃタクマよ、あとは案内頼んだ。
「スライムコロシアムの掛け金は[10]ZCから[500]ZCまでだぜ、やるか?」
「うむ、ぜひやらせてくれ。まずは[200]ZC賭けさせてもらうとしよう」
「いきなり[200]ZCか、やるなおっさん」
いきなり手持ちの40%を賭けるとは、大胆なおっちゃんだな。
タクマもかなり驚いているし、この世界の人は感覚が違うのかもしれない。
こっちとしては有難いけどね。
では、さっそくゲームの開始だ。
「じゃ、勝負の開始だよ。出でよ、カラースラタロ.Jr達っ!」
「うぉおおっ! 緑だっ、俺は緑に賭けるぞぉおおおっ!!」
俺がそう言うと、謎のハイテンションBGMと共にスライムが3匹出てきた。




