表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/164

ゼリリン、かなり強い



ルゥルゥに勝利してからしばらくして、次の対戦である2戦目へと突入しようとしている。

ちなみに、その間かなり暇だったので、次の対戦が決まるまでにタクマの戦いなんかを参考に見ていたが、やはり奴は強かった。


相手の実力も申し分ないA級冒険者の人間相手に、たいした魔法や剣技を使わずに、ステータスだけで圧倒したのである。

あいつは勇者スキルの影響でマスタークラスの剣技が自動で使えるはずなのに、それすら必要ないとばかりのごり押しだった。


その前の試合のユウキのバトルも中々熱かったが、さすがに先輩勇者だけあって、タクマが一枚上手のようだ。

もしも序盤で奴と当たった時のために、いろいろと作戦を練っていたが、どうやら功を奏しそうである。


いつ当たるか知らないが、どっかで役に立つだろう。


「セリル、やっぱりタクマさんは強いね。先輩勇者としてのスキルの差とか以前に、基礎的な能力が桁違いだ。……勝てそうかい?」

「うーん、どうだろう」


実際やってみなきゃわからない。


「まあ、そういうのは2戦目が終わってから考える事にするよ。そろそろ僕の出番みたいだからね」

「はははっ! 確かにそうだね、無粋なことを聞いて悪かった」


ユウキもいろいろと緊張しているようである。

それじゃ、そろそろ2戦目を始めるとしようかな。


「ということで、2戦目に進出してきたゼリリンだよ」

「なんだぁ? オイオイ、俺の2戦目はどんな人間が出てくるのかと思ったが、ただのガキじゃねぇかっ! こりゃボーナス試合だなぁ! ハハハッ!」


2戦目の相手は筋骨隆々の4本腕の魔族だ。

腕に4本の大剣を持っており、鑑定の結果、パワーファイターであることが発覚した。


さて、どうやって倒そうかな。


「ふむ、両者準備は整ったみたいですね。それではっ第二試合、戦果の魔人ガルドゥと神聖国の勇者セリルの試合を始めるっ! ……始めっ!」

「ウラァアアッ! 死にさらせやガキィッ!!」


試合開始と同じタイミグンで筋肉さんが突っ込んできた。

ずいぶんせっかちなマッチョだな。


でもまあ、いくらパワーがあろうとそんなスピードじゃあ俺には届かないよ。


「と、見せかけて真正面からのゼリリンタックルッ!!」

「あぁ? なんだそのゼリリ…… ガハァァアアッ!?」


俺を舐めて無防備に突っ込んできた筋肉さんの顔面に、渾身のゼリリンタックルが炸裂した。


今の筋力は魔道具のおかげでAにも届いており、そして尚且つ魔力SSからなる身体強化とダークオーラの魔力操作で、普通のパワーファイター程度では及びもつかない筋力を実現しているのである。


ダンジョンマスターとしてのアイテムアドバンテージとキノッピドーピング、さらに魔王種の成長率を舐めてはいけない。


「ばかなぁっ!? こ、この俺が純粋な力で負けるだと……」

「うむ、僕は純粋な力で勝っている」

「くっ、言わせておけばこのクソガキがぁっ! てめぇなんざ攻撃が当たりさえすれば、一撃なんだよぉ!!」

「え、まじ?」


どうやら攻撃が当たれば一撃らしい。

なら試してみるとしようか。


ちょうど今大剣を振りかぶってるし、そのまま受けてみようかな。


「くらえやぁああ!! ……えっ?」

「どうしたんだ筋肉さん」

「あっ、いえ…… その……」


大剣を片手で受け止めてみたら、筋肉さんが大人しくなってしまわれた。

ちゃんとダメージを受けたが、すぐに回復したのでノーダメージだと錯覚し、自信を無くしてしまったのだろう。


これは申し訳ない事をした。


このまま試合を長引かせてもアレなので、そろそろ決着をつけることにする。


「楽しい試合だったぜ筋肉さん。……連続ゼリリンパンチッ!」

「ちょまっ! まった……」

「ぜりぜりぜりぜりっ!」

「グハァアアアッ!!」


俺のゼリリンパンチを連続で浴びせられ、ドサリという音を立てて気絶してしまった。

よし、勝利だ。


「ギャハハハッ! あのやろう、舐めた相手に舐め返しやがった! ギャハハハッ、ゲホォッ!」


後ろの控え室でタクマがツボっていた。

いったいなにが面白いのか知らないけど、俺はちゃんと戦ったぞ。

ちょっと自分の耐久実験しただけだ、舐めプなどでは断じてない。


……ホントだよ、ホントホント。


そして、それから試合は順調に進んでいき、3戦目、4戦目、5戦目と余裕をもって連勝することになった。

俺は基本的に適度な魔法や体術を駆使して勝ち上がっていったが、たまに攻略本さんの報酬であるロングソードを使ってみたりすると、相手が死にそうになるのであんまり使っていない。


3歳の時はA級冒険者の剣士さんに手も足も出なかったが、ずいぶんと成長したようだな。


しかし5戦目ともなると、やはりと言うべきか、人間勢の出場選手がかなり減って来たように見受けられる。

元々戦闘力では魔族の方が上なので、当然と言えば当然な結果なのかもしれないけど、これはこれで由々しき事態だ。


人間勢がこのまま居なくなってしまえば、俺の仕事が増えるという事になる。

これはアカン。


「ということで、次もちゃんと勝ってねユウキ」

「ああ、当然だよ。……と、言いたいところだけど、次はそう簡単にはいかないみたいだ」


なんでや。


「今までも危なげな所はなかったし、いけるいける」

「ははは。そうなんだけど、それは相手も同じみたいだよ」

「ぜりっ?」


ユウキの目線を追ってみると、そこにはリングの上に立つタクマの姿があった。


……なるほど、次は先輩vs後輩の対決か。

これはたしかに簡単にはいかないな。


うん、俺の仕事が増えそうな予感がしてきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ