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ゼリリン、勇者を仲間にする


さっそくクローム神聖国へと転移し、ゼリリン2号と合流した。

リグとロリ魔女を引き合わせるのはちょっと気が引けたが、仲間に変なことしたらお仕置きするって忠告したら大人しくなったので、とりあえずは心配ないだろう。


ちなみにタクマは伝えるべき事を伝えると、さっさと帰って行ってしまったようだ。

あいつも色々と忙しいんだろう。


なにせここら一帯の魔族の元締めだからね。


「っていう訳で、リグにはパーティ戦の仲間として参加してほしいんだ。タクマによると5人パーティまでが最高人数らしいから、一応フルメンバーで申し込もうと思ってる」

「任せてください、必ずや若の期待に応えてみせますともっ」


うむ、英雄スキルを所持している彼女がいるのは心強い。

英雄の血はステータスの上昇効果だけじゃなく、剣の使い方がなんとなくマスターできちゃうっていうとんでもスキルなので、非常に強く厄介なのだ。


今のリグがまともに戦えれば、B級上位冒険者クラスの力はあるだろう。


でもまあぶっちゃけ、パーティ戦は俺の趣味みたいなものなんだけどね。

そもそも、タクマが俺を誘ったのは個人戦であり、パーティ戦ではないのだ。


もし仮に、俺にパーティ戦での成績を期待して誘うのなら、抜け目の無いあいつが他のメンバーの準備を怠るはずがない。

俺だけに用事があって話しに来たといことは、つまりそういう事なのである。


それに俺の予想だと、魔族が重視するのは個人の力だ。

パーティ戦で良い成績を残しても、あまり評価にはつながらないだろう。


「それじゃ、あとのメンバーを集めるとしようか」

「はいっ! 若が選ぶメンバーです、きっと素晴らしい戦士たちなのでしょう」

「いや、完全に僕の趣味で集めるよ?」


だってお祭りみたいなものだしね、パーティ戦。


「ふぅむ、他のメンバーはもう決まっておるのか? せっかくワシが入ってやろうと思っておったのに」

「心配しなくてもルゥルゥは計算に入れてる。で、あとのメンバーは現役勇者とパチュルだね」

「なんじゃ、ワシも入っておるのか。でかしたぞチビッ子」


ルゥルゥもパーティ戦はお祭りだと分かっているようだ、あっさりと人間側についた。

たぶん、個人戦では魔族側で参加するのだろうと思われる。


それと、もしユウキが先約で埋まってたら、戦闘タイプのスラタロ.Jrでも配合して参加させよう。

たぶん魔剣とか魔導書とか合成させれば、そこそこ強くなるんじゃないかな。


「なぁっ!? あの不届き者を若のパーティにっ!?」

「うん」


そうだぞ。


「ダメです若、危険すぎます」

「いやいや、危険なんてないから」

「いいえ、危険です。すごく危険です。あの不届き者からは油断ならぬ気配がします、勘で分かります」


なんかリグの目がマジだ。

ちょっと乱暴だけど良い奴なんだけどな、パチュル。


ま、いいや。

もう決めちゃったもんね。


「あぅ…… 若が言う事きかないモードになってしまわれた……」

「たいへんじゃな、おぬしも。じゃが大丈夫じゃ、なんとかなるとワシが保証しよう」


そうそう、なんとかなるって。


「彼氏もいない幼女に言われたくないです。説得力ないです」

「なぜそれをっ!?」

「勘です」


ルゥルゥの彼氏いない歴がバレてしまったらしい。

いつかきっと良い男が捕まるさ、見た目はかわいいんだから自信を持とう。


「それじゃ、さっそくユウキの所へ向かおうか。たぶんあいつは王城に居ると思う」


門番さんはいつものように顔パスなので、とりあえず王城に入ったら攻略本で勇者を探す事にする。

攻略本のマップは半径1km以内までを感知できるので、いるか居ないかは一発だ。


「という訳で、今日はメンバーを募集しにきたゼリリンだよ」

「はっ! 勇者セリル様ですね、お待ちしておりました。王からセリル様がいらっしゃった場合、すぐに通すように申し付けられています。どうぞお通り下さい」


どうやら王も俺を出場させようと目論んでいたらしい。

確かにこの大陸周辺ではかなりの実力者な自信はあるけど、それにしてもずいぶん期待されたものである。


死なない戦いとはいえ、俺はまだ7歳だぞ。


まあだが、どうせ参加するんだから同じことか。

どうせなら期待を越えてみせようじゃないか。


そしてそんな事を考えながら、いつものように門番さんを素通りしたあと攻略本を開いた。

さてさて、ユウキはどこかなーっと。


……おや、また訓練場か。

あいつ修行熱心だなぁ、タクマも少しは見習ってほしい。



「勇者は訓練場に居るらしいから、さっそく向かおう。たぶん闘技大会に備えてるんだと思う」

「ほう? 勇者とはいえ、ずいぶん真面目な奴なんじゃな。おぬしとは大違いじゃわい」

「それは違いますよ、若は全てを見越して行動なされているのです。休む時は休み、動く時は動くのだといつも言っておられますから」

「……えっ? う、うん、そうだぞ」


きっとそういう事だ、そうに違いない。

最近リグの信頼が加速している気がするが、気にしないことにしよう。

俺は定時で帰るゼリリンなので、ウソではないはずだ。


……それから動揺を隠しつつも訓練場へと向かい、ユウキを発見した。


「やぁユウキ、久しぶり」

「あぁっ! セリル、どこに行ってたんだいっ!? ずっと君の事を探してたんだよ、実は闘技大会というものが……」

「うん、その事について話しに来たんだ。パーティ戦のメンバーが一人足りないんだけど、一緒に組まない?」


どうやら向こうも俺を探していたらしい。

勇者だから既にメンバーが決まっているものかと思ったけど、そうでもないのかな?


というかタクマがさっき話しに来たばかりだし、ユウキに話が伝わったのもついさっきなのかもしれない。

さすがタクマ、仕事が早くて助かる。


「あぁ、もちろんだよ。僕も最初からそのつもりだったんだ、こちらこそよろしく頼むよ」

「じゃ、そういうことで」


よし、最強戦力ゲットだぜ。



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