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ゼリリン、逃げる


のじゃロリちゃんにスライムショップの事を聞かれたので、正直に答えてあげることにした。


「スライムショップは僕が運営してたお店だよ? さっきお店をたたんだ所なんだ」

「……むっ、なんと!? おぬしがあの珍妙なスライムの開発者じゃったとはっ! どれどれ、確かに濃いスライムの匂いがするのー」


俺がスラタロ.Jrたちの開発者であると分かるや否や、とても幼女とは思えない身体能力を駆使し、超スピードで接近して俺の体の匂いを嗅ぎ始めた。


今もクンクンしてる、なんなのこの子。


「ふんふん、おや? なるほど、これはこれは……」

「貴様!! いきなり若の匂いを嗅ぐとは何事だっ! 私だって嗅いだ事ないのにっ!」


それは説得になってないのじゃなかろうか。

さいきんのリグはややおかしい。


「なんじゃ、チビッ子の匂いを嗅ぎたいならお前も好きにするがええぞ」

「な、ななな何を言いだすんだ貴様はっ! くっ、いやだが、しかし……」

「まてリグ、悪魔の誘惑にまけてはいけない……」


やばい、タクマに続きこの幼女まで悪魔の囁きが使えるとは。

俺の周りには悪魔しかいないというのか。


……まあ、そもそも俺が魔王だからしょうがないね。

周りに変なのが集まる訳だ。


「ええい、じれったい奴じゃの。したいならさっさとせんかっ」

「きゃぁあ!? …………へにゃぁ」

「なんなんだこの状況は」


なんと、どうしようか逡巡しているリグの頭を幼女がつかみ、俺の胸に押し付けてきた。

まさか囁きどころか、物理的に動いてくるとは思わなかったよ。

なんてアクティブなやつなんだ、ゼリリンびっくり。


それからその後、骨抜きになって目を回したリグをそこらへんに捨てて、幼女が語りだした。


「……ふむ。最初はスライムの匂いがこびり付いているのかと思ったのじゃが、これはちと違うようじゃの。これはこびり付いているというより、魔物そのものの匂いじゃ。……もしやおぬし、魔族じゃろ?」

「な、なんだってー!?」

「なぜおぬしが驚くんじゃ」


いや、驚いたのは俺が魔族ってところじゃなくて、種族が看破されところなんだけどね。

いやはや、何者なんだこの子。


「でも匂いだけでよくわかったね、すごいセンスだ。でも、僕が魔族であることはみんなには内緒だよ? 僕はわるいゼリリンじゃないからね、ホントだよ」

「カッカッカッ! 分かっておるわい。魔族だからというだけで、人間に敵対しているとは限らないしのぉ。それにほら、わしだって魔族じゃし」

「……な、なんだってー!?」

「……よく驚くやつじゃの」


まさかこの子も魔族だったとは。

でもたしかに、ただの幼女がこんな芸当できるわけないか。


よし、そうと分かれば鑑定だっ!



【亜空の魔女:ルゥルゥ】

成長標準:

生命力:C/魔力:SS/筋力:D/敏捷:B/対魔力:A

現在値:

生命力:C/魔力:S/筋力:D/敏捷:C/対魔力:A


オリジンスキル:魔導の探究者Lv2

スキル:魔法陣・空間魔法・闇魔法・火魔法・風魔法・土魔法・毒魔法・etc


【魔導の探究者Lv2】

└Lv1効果:魔法系スキルの習得速度が大幅にあがる。無詠唱習得

└Lv2効果:魔法を道具に込めることが出来る。魔法陣習得。


美魔女さんらならぬ、幼魔女さんだった。

しかし魔女って種族だったんだね、はじめて知ったよ。


「で、魔女のルゥルゥさんが僕になんの用なの? スライムは売り切れだよ」

「……なぜワシの名前をしっておるのじゃ?」

「ゼリリンだからさ」


すべてはそういう事だ。


「ふむ、なるほどゼリリンだからか」

「そうだぞ」


納得したらしい。


「確かに上位の魔族には特殊な能力を持った者も多いからの、そこまで不思議でもないわい。それとスライムに関しては、生産方法を知りたかっただけじゃから、別に売り切れでも構わんよ」

「そうなのか」


でもまあ、教えないけどね。

ルゥルゥちゃんには悪いが、これは企業秘密なのだ。

とりあえず気絶しているリグを抱えて逃げるとしよう。


秘技、ゼリリンダッシュ!!


「うむ、まあスライムに関してはまたいずれ。あばよ!」

「むっ!? またんかチビッ子っ! ……逃がさんぞ!」


追いかけてきたっ!?

このスピードに追いついてくるなんて、なんて幼女だ。

さすが魔族である。


だが、こうなったら身体強化とダークオーラも発動させて逃げ切るしかない。

これが本気のゼリリンダッシュだっ!


「……ぜりぜりぜりぜりっ!!」

「速い!?」


おらおら、どうしたどうしたっ!

ふはははっ、このまま逃げ切ってやる。


そして追いかけっこをすること約10分、スピードと体力において圧倒していた俺が勝利を収めた。

途中でルゥルゥが地面にへばりついていたので、体力を使い果たしたのだろう。


なかなかいい勝負だったぜ、また今度遊ぼうな。


余談だが、その日の宿の食堂では、超スピードで追いかけっこするチビッ子2人の話題で持ち切りとなっていた。

なにやら追いかけっこの亡霊だのなんだのと、ありえない速度で逃げていたために幽霊かなんかだと勘違いされたようだ。


すでに都市伝説となりつつある。

レジェンダリーゼリリンになる日も近い。


それにしても、また明日ギルドに行ったら待ち伏せされていそうだし、しばらくは行くのはやめた方が良いかもしれない。


……よし決めた。

ならば、明日からは学校でエンジョイしてやろうっ!

俺の充実した学校生活が今、幕を開ける。



……かもしれない。


クラスメイトのお土産にスラタロ.Jr生産しとこ。



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