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ゼリリン、戦闘中に寝る


先代の勇者であるタクマとエリクサーを量産して10分ほど、およそ100本ほどのエリクサーをDPダンジョンポイントから返還し終わった。

これでほぼ準備は整ったと言える。


「ふぅ、こんなもんか。よし、準備は出来たんだし、そろそろダンジョンバトルでもおっぱじめるか?」

「いや、ちょっとまって。まだやる事がある」

「あん? なんだ、まだなんかあるのか?」

「うん、ちょっとね。こい、攻略本っ!」


俺が攻略本を召喚すると、既にこの本の説明を聞いていたタクマは合点がいったようにうなずいた。

まあ戦闘はおそらく無いだろうけど、万が一に備えて中級魔族の魔石をコンプリートしておかなければならないんだよね。


戦力増強という訳だ。


ということで、コンプリート開始!


【魔物図鑑】

中級魔族:100%コンプリート

報酬:スキル<ダークチェーン>


【ダークチェーン】

スキル効果:

闇のオーラを纏った鎖を召喚し、相手の動きを封じる。

この鎖で拘束されている間は、魔力での身体強化が無効化され、魔法系統のスキルが封印される。


ごっつい妨害スキルが手に入った。

これ魔力型の敵相手には無敵の効果なんじゃなかろうか。


だが、ある程度の筋力で無理やり破壊できるし、スライム状態の俺みたいに、拘束がそもそもできない可能性もあるんだけどね。


「ほむほむ、優秀なスキルが手に入った」

「どれどれ、どんなスキルだ? ……おい、なんだこのチートスキルは」


すまん、確かにこれはチートスキルだわ。

Bランクの魔物から入手できるスキルがこんなに有用だとは思わなかった。


いくら上位者にとっては脆いだけの鎖とはいえ、一瞬でも魔法や身体強化を妨害できるのはものすごいアドバンテージである。

さすが攻略本だ、どんな分野においても攻略してくれるな。


「まあだが、これで不測の事態に対する抵抗力が増した。俺らが強くなる分にはなにも問題ねぇ」

「そういう事だね。それじゃあそろそろ、ダンジョンバトルを始めようか」

「おう、まかせろ。えっと確か、お前のダンジョンは亜空間迷宮だったか? 申請するぜ」


そう言うと、タクマは意識を集中して自分の目の前にVRディスプレイを表示し、俺の迷宮にダンジョンバトルの申請をした。

おそらくこれで一番近くにある俺の迷宮、つまりは教会のコアとつながるだろう。


「さて、バトル申請許可っと。それじゃあダンジョンバトル開始かな」


『<亜空間迷宮>に<連綿と続く悲劇の迷宮>のダンジョンマスターからのバトル申請が認可されました。これよりダンジョンバトルを行います。挑戦者、タクマ・サトウ』


ダンジョンバトルが始まった。


すると、謁見の間の出口が歪み、クローム神聖国教会の入り口と繋がったようだ。

うむ、とりあえずここまでは成功。


成功だけど、やけに後ろから視線を感じる。

はて?


「はっ!? こ、これは一体。あっ、セリルっ!?」

「あ、ユウキだ。さっきぶりだね、ちょうどいま決着つけるところだったんだよ。いっしょに見る?」


なぜか教会の祭壇にユウキが居た。

夜も教会で祈ってるなんて、信心深い奴だなぁ……


さすが人類の希望やってるだけある、こういうところも抜かりない。

俺とは大違いだな、うん。


「決着だって!? それじゃ、そいつが魔王ってことなのかいっ!? よかった、今度こそ間に合ったっ、加勢するよセリル! うぉおおおおっ!!」

「よし、んじゃあ降参するぞ…… って、なんだ!? うぉおおおっ!」

「えっえっ、君らなにやってんの? う、うぉおおお!!?」


なんだなんだ、ユウキが暴走してタクマに切りかかってきたぞ!?


しかも焦ったタクマが俺を盾にして剣をかわすし、こちらが剣をギリで避けるとまた同じ速度でタクマが後ろに回るループが発生した。


……カオスだ。



「魔王、貴様ァ!! 僕の親友を盾にするとは卑怯だぞっ! 絶対に許さないっ」

「待てっ! ちょっと待てっ! お前はなにか勘違いしている、話せばわかるっ」

「ぬわーっ!?」


だめだこりゃ、収拾がつかない。

こうなったらさっそくアレを使うしかない。


「ちょっとおちつくんだユウキ、彼は助っ人であって敵ではないよっ!【ダークチェーン】っ!!」

「グァアッ! くそっ、セリルを洗脳したのか貴様ァ!!」

「「いや、そうじゃねぇからっ」」

「ガハァッ! ……グッ」


完全に頭に血が上って言う事を聞かないので、とりあえず俺とタクマのダブルパンチで気絶させた。


いや、ほんと超ビックリした。

ゼリリンビックリ。


そしてその後、意味不明な速度で気絶から立ち直ったユウキ相手に、さらに2回ほど気絶させて現状を説明し終えた。

無駄なところでタフだな勇者って、回復早すぎるだろ。


「……なるほど、そういう訳だったんですね。あなたは先代の勇者で、セリルはその呪いを解除するためにあなたに協力していると。……だいたい事情は把握しました」

「おう、わかればいいんだ。よし、それじゃあ作戦通り降参するぞ」

「うん、もうさっさとやってほしい。ゼリリン疲れたよ」


夜まで残業した上に、全力の勇者の剣を避け続けるとかいうトラウマを負わせられた。

今日はふんだりけったりである。


「それじゃ、宣言するぜ。俺はこのダンジョンバトルを降参する」


『<亜空間迷宮>と<連綿と続く悲劇の迷宮>のダンジョンバトルに決着がつきました。勝者<亜空間迷宮>のマスター、ゼリリン。コア破壊報酬なし』


タクマが敗北を宣言すると、彼の体からシュウシュウと音を立てて呪印が消えていった。

これで一見落着かな。


「はー、やっとお家かえって寝れるよ」


しばらく宿でゴロゴロしてよ。

冒険者活動も1週間は停止、キノッピたべて寝るだけの生活が俺を待っている。


「……いや、まだみたいだぜ? ……新手の登場だ」

「……っ!? この圧力は、まさか」

「んあ?」


なんか勇者二人が語ってるけど知らない。

何も聞こえないもんね、あとはがんばって。


「ああ、あれは俺の先代、先々代の勇者達だな。しかも全部で3人か、まったく嫌になるぜ」

「これがあのコアの最後の悪あがきってことなのかな、……ハハハ」

「スピー、スピー、……んぁ? ……スピー」


こうして、俺の知らない所でラストバトルが始まった。



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