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ゼリリン、初めてのダンジョンバトル


他の迷宮の調査を依頼されてからしばらく、俺は白い空間にもどり土の迷宮の強化をしていた。

急いで強化を行った理由は、調査の中で土の迷宮も一緒に発見されてしまえば、攻略されてしまうかもしれないからである。

まあ、いくら強化しても攻略されるときはされるので、気休め程度にしかならないと思うけどね。


主に行ったのは土のダンジョンの階層追加、わんわん部隊の強化だ。


【亜空間迷宮、DPダンジョンポイント:2122】

明細履歴:

土のダンジョン階層追加(-100)

グレートウルフ進化×9(-900)

シャドウフェンリル進化(-1000)


『グレートウルフがDPの投入により、エクセレントウルフに進化しました』

『シャドウフェンリル、わんわんがDPの投入により、サタンフェンリルに進化しました』


よし、思いっきり進化したな。

エクセレントウルフは白い毛並みが特徴のC級モンスターだ、進化前と比べて全能力が平均的にあがっている。

特徴は相変わらず耐久力らしい、今回はちょっとした回復魔法が使えるのが強みだな。


そしてサタンフェンリルことわんわんだが、B級からA級モンスターになったことで特殊能力と、氷のブレスを使えるようになったらしい。


特殊能力は睨んだだけで狙った部分を凍らせることが出来る効果で、ブレスは凍り付くビームだね。

睨む能力は太陽の見えない洞窟の中や夜にしか使えないようだけど、なんとなく強そう、たぶん。

肉体的にはスピードとパワーがぐんぐん上がっているようなので、あいかわらず頼もしい限りだ。



ちなみに階層を新しく追加した理由は、1層目の洞窟に誰もいないように偽装するためだ。

以前の階層追加と今回でこの迷宮は3階層になったことになるが、2層をわんわん達の生活に使い3層をキノッピ部屋にすることで、1層をガラ空きにすることができるのである。


ガラ空きの洞窟なら、パッと見迷宮とはバレまい…



「よし、だいたいの準備は整った。わんわん達は無理して戦おうとせず、負けそうになったら一目散に逃げるんだ、いいね?」

「クゥーン……」

「大丈夫だよ、僕は死なないから」


いくらA級モンスターといえど、徒党を組んだ人間たちが相手では勝つことはできないだろう。

2度や3度は返り討ちにできても、繰り返しているうちに強い冒険者が出てきて一巻の終わりなのだ。

最善の策は、やはり見つからないこと。


ちなみにだが、俺が死ぬことはありえない。

別にコアが壊れてもここに転移できなくなるだけだからね、バレたらすぐにトンズラするだけだ。


それじゃあ準備も整ったし、また明日ギルドに向かうとしようかな。



──翌日。


「こんにちはー、また来たよ」

「遅いわよセリル! 私なんてもうずっと前に来てたんだからっ」

「おや、来たようだね」


早朝にギルドへ顔を出してみると、腕を組んだパチュルと爽やかな笑顔のギルドマスターに迎えられた。

うむ、相変わらず三角帽の似合った美女エルフさんだ、これからは美魔女さんと呼んであげよう。


「ところで護衛の人たちは?今日はギルドの人たちと一緒に調査するんじゃ?」

「はははっ! 何を言っているんだい、護衛ならここに居るじゃないか。……私だよ、私」

「ふふん、驚いた? 生半可な護衛じゃ私たちの旅にはついてこれないのよ、妥当な判断だわ」


なんと、美魔女さんが直接護衛についてくれることになったらしい。

ギルドでもいろいろ議論が交わされた結果だろうけど、これはこれでありがたい。


なにせパチュルがいるからね…

それこそ、生半可な護衛ではお転婆幼女を抑えきれるとは思えない。

これはある意味で妥当な判断だと思うよ。


「それではさっそく向かうとしようか。だいたいの方角は私が絞り込んでいるから、セリル君は怪しそうなところがあれば報告してくれたまえ」

「任せなさいっ」


なぜかパチュルが任されたらしい……

いつも通り元気なようでなによりだ。


それからは土の迷宮とは逆方向の門をくぐり、森へと歩を進めた。

以前にダンジョンの特質を聞いた時からわかっていたことだけど、やっぱり美魔女さんが警戒していたのは土の迷宮のことではなかったらしい。


あせって強化したけど、いらぬ心配だったようだな。


そして森を探索して1時間ほど、近づいてくるゴブリンやホーンラビットたちを狩りながら調査していると、明らかな異変を発見した。

森の中に唐突な空き地があり、どうみてもダンジョンとしか思えない穴が開いているのだ。

今のところ俺にしか異変が見えてないとなると、これが例のダンジョンということになるのかもしれない。

タイプ的にはおそらく土の迷宮タイプかな、洞窟のような感じになっている。


ちなみに美魔女さんの戦闘スタイルはやっぱり魔法だった。

詠唱も早いし威力もある、さすがはギルドマスターといったところだろう。


「美魔女さん、変な場所を見つけたよ。どうみてもあれがダンジョンだと思う」

「む?美魔女とは私のことかね? ……そうかそうか、はっはっは! 君は女性を見る目があるね」

「どこみてるのよエロセリルっ、私の方がかわいいじゃない! ……たぶん?」

「いや…… だからダンジョンを……」


なんだこの人たち、せっかくダンジョンを見つけたのに違う方向に会話が流れて行ってるぞ。

あと俺はエロセリルではない、紳士なゼリリンだ。

でも、パチュルもかわいいから心配しなくていいと思うよ。


「まあともかく、ダンジョンを見つけられたのなら僥倖だ。今回は調査なのでとりあえずは入口だけ見て帰る事にしよう、案内を頼むよセリル。いくら幻影といえど、一度場所がわかればどうということはないからね」

「あいあいさー」


まあマッピングしちゃえば幻影があろうとなかろうと関係ないからね、そりゃそうだ。


そして俺を先頭にして進み一歩足を踏み入れた瞬間、唐突に頭にアナウンスが流れ込んできた。


『<命芽吹く森の迷宮>に<亜空間迷宮>のダンジョンマスターの侵入が確認されました。これよりダンジョンバトルを行います。挑戦者、魔王ゼリリン』


「うおっ!? なんだなんだ…」


他の二人には聞こえてないみたいだけど、ダンジョバトルとかいうのが始まったらしい。

ダンジョンバトルってなんだろう。


すると、洞窟の入り口だった空間がなくなり、土の迷宮の入り口と思われる景色とつながってしまった。

まさか迷宮が合体したのか……?



「むっ!?なんだこの現象は…… まさかトラップ……?」

「あ、あわわわ……」

「…………」


どうやら美魔女さんも知らない出来事らしい。

さてはて、どうしたものか。


あとパチュルさんや、怖いのはわかるけど俺の後ろから抱き着くのはやめておくれ。

力入れすぎてめちゃくちゃ首がしまってるんだ……





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