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ゼリリン、大地に立つ

──目が覚めた。


やはりあの草原は夢だったようで、今いるここがリアルだとハッキリわかる。

まあそうだよな、転生なんていうファンタジーな出来事がそうそうあるわけがない。

ああいうのは夢の中で本気にすると起きてからの失意がすさまじいんだ、適当に遊んで終わりくらいがちょうどいい。


さて、回想も済んだところで中古ゲームの続きでもするかと目を開けるが…

なぜだか目がよく見えない…

なんど瞬きしてもそれは変わらず、手で目をこすろうとしたが体が思うように動かない。

…はて?

かなしばりにでもあったのだろうか。


「オギャー!オギャー!(はぁ…これだから徹夜は体に悪い)」


……え?

なんだ!?

言葉が喋れない…!?


一体どうしてしまったのだ、俺。

体を酷使しすぎて頭までぶっとんでしまったというのか。

誰か現状の説明を頼む、ヘルプだヘルプ。


すると、どこからともなく分厚い事典のような本が空中から落ちてきた。

よく見えないけどシルエットがそんな感じだ。


「ギャー!オギャー!(って、あぶねぇ!止まれ、止まれぇ!)」


あれ、ピタッと止まった。

なんだ、なんなんだこのドッキリは。

まあでも止まったならいいんだ、うん。


しばらく空中遊泳する謎の事典を眺めていると、頭に情報が流れ込んできた。

そして理解した。


──俺は転生したらしい。


それも赤ん坊からスタートだ、どうりで体も動かないし視界もボヤけているわけだな…

流れ込んだ情報によると、この事典は俺が適当に選択した攻略本とかいう転生特典で、任意の場所に出し消し可能なようだ。


攻略本の機能は以下の通り。

マップ:出現時のみ半径1kmのマップを生物、地形問わず捉えることができる。

鑑定:出現時のみ、自身と視界に映っている対象の鑑定が可能。

データベース:出現時のみ、この世界の現在の知識を引き出すことが出来る。人の過去を覗くなど、歴史を引き出すことは不可能。

翻訳:出さなくても言葉が翻訳される。文字は出現時のみ翻訳される。

魔物図鑑:魔物の素材を図鑑に吸収させると、図鑑の経験値がたまりグレードアップする。


現状はこの4つのようだ、適当に選んだアイテムがここまでチートだった事がかなり驚きだな。

情報が流れ込んできたのはデータベースの機能だったらしい。


…よし、だいたい現状もわかったしとりあえず事典は消しておこう、一応転生先の親は人間にしておいたし、誰か来るかもしれない。

…少し念じると、ふわふわと浮いていた攻略本が音もなく消えていった。

めちゃくちゃ便利な本じゃないか、適当に選んだとかいってすまんな。


しばらくすると、先ほどの泣き声をききつけた大人たちが俺の部屋にやってきた。

男女である事が辛うじてわかるので、おそらく俺の両親だと推測する。

まあなんにせよ、俺にできることは今のところ特に無さそうなので、ここからは赤ん坊らしく惰眠を貪る事にする。


また起きた時にでも明日の事を考えよう。



……起きた。

起きたというか、あれから1週間が経った。


この家は5人家族らしく、結構な頻度で俺の周りに人がやってくる。

小さいのが2人で大きいのが2人なので、大人の方は俺の両親で間違いないみたいだな。

あんまうろちょろしてると寝れないし、俺の赤ん坊シャウトをお見舞いするぞ…


…まあだが、最初は寝て起きての繰り返しだったが、今は違う。

どうしようもなく暇だったので、せっかくだからデータベースに色々質問してみたりしていたのだ。

あ、もちろん大人たちのいない時限定だけど。


調べた結果、どうやらこの世界は中世ヨーロッパぐらいの文明度らしく、魔法なんていうのもあるらしい。

いわゆる魔物あり剣ありの中世ファンタジーだ。

そして俺が転生特典で習得したオリジンスキルとかいうのは、この世界でも所持している存在が極端に少ないチート能力らしく、強力無比な物が多い。

故に魔物なんかが生息するこの世界では、生き残るための切り札の一つといえるかもしれない。

使った事ないけどな、使い方とかよく分かんないし。



そこで暇つぶしに、現在なにかできる事がないかと考えに耽っていた時、そういえば魔法ってどうやって使うんだろうという結論に達する。

確か魔力はSSだったはずだし、そこそこの魔力量というやつがあるはずと思った俺は、攻略本に魔力の動かし方を質問したのだ。


で、一応答えは返ってきた。


魔力を感じ取るには他者から微弱な魔法を流してもらう事が一番の近道で、自力で会得するのは不可能ではないが困難とのこと。

しかし攻略本を出し入れするときには微弱な魔力が流れるらしく、それを感知するのが俺にとっては一番の近道となる事が分かった。

使っていれば動かし方もスムーズになって魔力量も増えやすいようなので、とりあえずこの訓練を暇つぶしにやっていこうと思っている。


なにかと便利な攻略本さんだ、やっぱり攻略本なだけある。


それじゃまた、しばらく同じ事を繰り返していくと思うので、代り映えの無い毎日を貪るとしますか。

おやすみ~。


すやぁ……





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