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ゼリリン、依頼を達成する


100枚の葉っぱ、もとい薬草を採取したので町へ戻ることになった。

薬草クエスト10回分がどのくらいの成果なのかはわからないが、攻略本で鑑定しなきゃ毒草と薬草の違いが全くわからなかったので、そこそこ難易度の高い部類に入るのだろう。

たぶんね。



「で、パチュルのギルドランクはどのくらいなの?このクエストってすごい難しそうだけど」


俺がいた地域で例えるなら、ギルドランクはEからSまであり、Eが新人冒険者でSが英雄級のような扱いだったはずだ。

例外として見習いのFランクもあるが、パチュルのことだしきっとFランクだろう。


「ふふん、聞いて驚きなさいよ!私はこれでもEランクの冒険者なの!毎日F級クエストの荷物運びとかでランクを上げたんだからっ」

「なん…だと…」


なんと見習いのF級を超えて、正規の冒険者であるE級までたどり着いていたようだ。

まさか地道に荷物運びができる忍耐強さがあるなんて驚きだ、これは認識を改めなくてはならない。


「さすがだよパチュル、これからは出世払いちゃんとは呼べないね」

「……?出世払いちゃんって?」

「いや、こっちのはなしだよ」


ならこれからは金髪ドリルちゃんだな…

由来はもちろん、ドリルヘアーだからだ。


そんなことを話しながらだらだら歩いていると、冒険者ギルドのカウンターまでたどり着いた。

どこの受付が査定カウンターなのかわからないし、ここはパチュルに従ってついていこう。


「受付のおねーさんっ!ほら、今度こそ本物の薬草を採取してきたわよっ。その数なんと、100枚なんだからっ」

「はぁ…毒草をこんなに…」

「今度は毒草じゃないわっ、それっ!」


薬草100枚入りのパンパンに膨れ上がった袋をみてゲンナリしたお姉さんだったが、今度はちゃんとした薬草だから安心してほしい。

攻略本さんが1枚1枚鑑定した、由緒正しい葉っぱたちなのだ。


「ふぅ…はいはい、では拝見させていただきますね。どれどれ…」


うむ、拝見してくれ。

そしてお姉さんが葉っぱを確認していくごとに、血色の良かった顔が青ざめていき、ついには手が震え始めた。

いったいどうしたというのかね。


「おい、あのチビッ子がまた毒草をもってきたぞ。受付のねーちゃんもあまりのショックで手が震えてやがるぜ」

「まったくだ、近頃のガキ共は数だけ集めりゃいいと思ってやがる」

「…いや、もしかしたら全て本物の薬草だから動揺しているって線はどうよ?俺はそっちに銅貨1枚賭けるぜ」

「「「銅貨1枚かよっ!!」」」


なにやら俺たちを対象に賭けが勃発してしまったようだ。

まあさっき10枚の毒草を持ってきた子供が100枚も取り揃えてきたんだ、話のネタになるのもわかる。


「さ、査定が終わりました…全て、最高級の薬草<レジェンダリーフ>で間違いありません…はわわ」

「「「なにぃ!?」」」


うむ、やはり薬草で間違いなかったようだ。

しかし、冒険者の方は何をそんなに驚いているんだろうか…

マップで絞り込んだ中でも質の良さそうな薬草を見つけてきたつもりだが、やっぱり100枚はやりすぎたのかな…?


「まあ何はともあれ、依頼成功だね」

「な、な、な…依頼成功だね、じゃないわよバカセリルっ」

「あだぁっ!」


なぜか金髪ドリルちゃんにまた叩かれた。

いったいどうしたというのだ。


「確かに依頼は成功したけど、求められているのは<サラリーフ>よ!?…<レジェンダリーフ>って、あんた…薬草の最上位じゃない…」

「ふむふむ…ふむ?」

「はぁ…あんたに常識を求めたのが間違いだったわ…」


なぜかは知らないが、どうやら質の良すぎる薬草を採取したことが原因らしい。

あんなにポコポコ生えてたのに、最高級とはこれいかに。


「と、とりあえずギルドマスターを呼んできますっ!あなたたちはそこで待機していて下さいっ」

「はーい」

「はぁ…」


だが採取してしまったものは仕方ない、とりあえずギルドマスターさんが来るまでのんびりしていよう。

あ、カウンターのおっちゃんミルクください。



お姉さんがギルドマスターを呼びに行って数分…

戻ってきたお姉さんによると、俺たちと直接話をしたいとの事だったので、逆に俺たちが部屋にお呼ばれしていた。


「ギルドマスター、薬草を採取してきた子供たちを連れてまいりました」

「ああ、入ってきなさい」


重厚そうな扉をくぐると、目の前には高級そうなソファーに座り、三角帽を深く被った銀髪の女性がいた。

この人がギルドマスターだろうか。


「えっと、よろしくお願いします?」

「よよよ、よろしくお願いします!」


パチュルがガチガチに緊張している。

ほら、リラックスリラックス。


「ははは、まあ楽にしてくれたまえ。何も君たちを取って食おうっていう訳じゃないんだ。ただ、ちょっと聞きたいことがあってね。ほら、緊張していてもなんだから、お菓子でもどうだい?」

「おお、これはオシャレなお菓子…」


うむ、この人はいい人だ、間違いない。

なぜなら俺にお菓子をくれるから。


ちなみに三角帽のギルドマスターさんの部屋の中には、様々な杖や魔道具が並べられていた。

耳もとがってるし、おそらく魔法特化のエルフで間違いないだろう。


「気に入ってもらえてよかったよ。それでは本題に移るけど、君たちはこの薬草をどこで採取してきたんだい?」

「もぐもぐ…この町の近くにある森からですよ、そこらへんに生えてました。…もぐもぐ」

「そ、そうです!セリルが勝手にとってきました!」


なんでや、なんで俺が真犯人みたいな感じになってるんだ。

ドリルちゃんの思考はよくわからない。


とりあえずまだ全体の話がつかめないし、黙って話を聞いておこう。

俺は人の話を聞くゼリリンなのだ。




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