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ゼリリン、寝過ごす

森へと帰ってきたのはいいが、家に着いた頃にはちょっとだけお昼ごはんの時間を過ぎていた。

だが過ぎたものはしょうがない、何食わぬ顔で玄関へ向かおう。

こう、自然に、自然に……


「ただいまー」

「あらあら、おかえりなさいセリル。それと、ちゃんと時間通りに帰ってこなきゃだめでしょう? 悪い子にはお仕置きです」

「あばばばっ」


母ちゃんのほっぺた抓り攻撃が炸裂してしまった。

やはり誤魔化せなかったか、手ごわいぞ母ちゃん…


「それに服もこんなに土まみれにして、仕方のない子ね。いったい何をしたらこんなにボロボロになるのかしら」


すみません、知らない国の闘技大会に出てました。

特に最後の爆発魔法で結構ボロボロになったんだよ。


そしてその後はお風呂に入り、着替えをして昼食の時間となった。

みなさん、お待たせしてしまって申し訳ない。


「もぐもぐ…… そういえば、冒険者の人はいつ来るの?」

「ん? ハッハッハ! セリルはやる気満々だなぁ、さすが俺の子だ。そうだなぁ…… うむ、夕方くらいには到着するだろう。だがあいつは気まぐれだからなぁ、もしかしたらもっと早く来るかもしれん」


何やら、結構仲が良いご様子。

もしかしたら一緒に戦った事とかあるのかもしれないな、昔は父ちゃんも騎士だったみたいだし。


そんなことを考えていると、ルー兄ちゃんも話しに食いついてきた。

やはりここら辺の事は気になるのかもしれない。


「父さんは冒険者の人といっしょに戦ったことがあるの?」

「おう、あるぞ。……っといっても、父さんが現役の頃に一方的に助けられただけだがな。確か遠い東にある、独特の文化をもった島国の出身者だったはずだ。いろいろと多才な奴だったな、変な形の短剣を投げたりして戦ってたぞ。基本的に剣が得意な奴だが、補助系統の魔法も使えたはずだ、ルーも魔法の家庭教師がくるまでにいろいろと聞いてみるといい」


ふむふむ、東の島国の冒険者か。


うん、というかそれどうみても忍者だな。

変な形の短剣というのも、手裏剣やクナイのことだろう。

この世界にも忍者がいたとは驚きだ。


すると、今度はレナ姉ちゃんが会話に参加してきた。

何やらちょっとご機嫌ななめの様子、いったいどうしたというんだ…


「むー。お父さんより強いの……?」

「ふむ、強さか。父さんも騎士だったが、まだ勝てる気はしないな。それほどにB級冒険者というのは強いんだ。実力だけで貴族と同じくらいの権力をもつくらいだからな」

「ふーん、そっか。……もぐもぐ。でも、セリルのほうが凄いもんっ! ……にしし」


こっちを見ながら満面の笑みで俺を猛プッシュしだした。

やばいぞ、この流れはゼリリンの存在がバレるパターンだ、早急に話題を変えなければ。


飲み会で鍛えた俺のコミュ力をくらぇっ!


「ごはんおいしいね」


あぁっ!

…またやっちまった。

ごはんおいしいねってなんだ、唐突すぎるだろう。

宴会芸に引き続き、飲み会のスキルも通用しないなんて、難易度高すぎるぜ…


「うん、おいしーね!」

「あらあら、嬉しいこと言うわねセリルは。お母さん嬉しいわ」


ふぅ…レナ姉ちゃんのおかげでなんとか修羅場を乗り切ったようだ。

まあご飯がおいしいのは本当だからな、嘘はいっていない。


それから聞いた話によると、忍者さんの魔法は幻影を見せたり相手を麻痺させたり毒にさせたりするのが得意らしい。

他にも煙玉のような魔道具の作成が得意らしく、まさにこれ以上ない忍者であった。

分身魔法みたいなのが無いのが残念であったが、学べることは多そうだ。


ただ、俺は詠唱魔法を学ぶ気はないので魔道具作りと剣術の訓練に没頭する事にはなると思うけど。

報酬による無詠唱の便利さを知ってしまったら、詠唱にはもどれないのだよ。

もどるも何も、進んですらいないけどね。

とにかく、まったくもって魔物図鑑さまさまって事である。


さて、そろそろご飯も食べ終わるしまたお昼寝でもするかな。

夕方にでも起きればいいだろう。



目が覚めた。

目が覚めたらそこには、俺をガッチリだっこしながら寝てるレナ姉ちゃんがいた。

お肌がふよふよでちょっと気持ちいい。


「うむ、くるしゅうない」


だが、そろそろ家庭教師が来ていると思うし起きなくては。

忍者の技を身につけたいでござる。


「ほら、レナ姉ちゃん。そろそろ起きよう」

「……むう、ゼリルン?」

「ちがうよ、今はセリルだよ」

「……うーん?」


完全に寝ぼけているらしい。

まだ何も魔法を使ってないのに、俺をゼリリンだと勘違いしている。

さて、どうしたものか。


…どうしたもなにも、どうしようもないけど。

とりあえずもう一度声をかけてみよう。


「今日は冒険者の人が来ているから、ちゃんと起きないと」

「むぅ? ……、……すー、すー」


ダメだ、起きたと思ったらまた寝た。

しょうがない、今日はお昼寝の日だったと思ってこのまま寝ちゃおう。

まだ向こう来もたばかりだろうし、訓練を急いでもしょうがないな。

弟子入りは明日でからいいや。


夕飯になったらおこしてね母ちゃん。

うむ、今日は色々あって疲れた。

それじゃあ、おやすみー……



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