ゼリリン、お祭りに興味をもつ
『9匹のダンジョンモンスターテイムに成功しました』
『ウルフがグレートウルフに進化しました』
『ブラックウルフ、わんわんがDPの投入により、シャドウフェンリルに進化しました』
【亜空間迷宮、DP:800】
明細履歴:
階層追加(-100)
ダンジョンモンスターテイム:(-10)×9
ダンジョンモンスター進化(-528)
どうやら無事にテイムが成功したようだ。
グレートウルフというのはブラックウルフよりちょっと弱い程度の進化系統らしく、この種の中では耐久力が高いのが特徴らしい。
ランクは以前のわんわんと同じでD、そこそこの強さであると思われる。
……ちなみにだが、ウルフたちの名前はそれぞれ空白だ。
名付けをしても覚えきれる自信がない。
そして[500]DP以上を投入して進化したシャドウフェンリルだが、これはB級モンスターだ。
ブラック、シャドウ系は魔力が豊富で素早いのが特徴で、B級にもなると魔法まで使いこなすらしい。
使う系統は氷魔法や闇魔法で、上空から氷柱を雨のように降らせたり、陰に潜んだりする凶悪な戦い方をするようだ。
俺の影に潜んでいてもらえれば、町に出掛けているときにわんわんが護衛することもできる訳だし、頼もしい限りである。
「うん、これならダンジョンを任せられるな。さすがに冒険者が本気になって攻めてきたら無理だけど、まだ見つかってないんだし追々強化していけばいいや」
運営を始めて1ヶ月でここまできたんだから、今後はもっと稼ぎやすくなるだろう。
さて、目的であったダンジョンも強化したし、次はまたいつもの日課をするかな。
例のキノッピの大食いだ。
それからはいつもの様に土のダンジョンに降り立ち、進化した群れと戯れながらキノコを完食した。
食べるたびに毎回力が強くなっている感覚があるが、実際に今はどのくらいの能力なんだろう。
どこかで力比べをしてみたいものである。
ちなみに毎回取引しているあの道具屋だが、提供している迷宮産キノッピのおかげかポーションの質がかなりあがったようだ。
高級ポーションを作るのに必須のキノッピだが、本来はまず入手するのが難しく節約しながらポーションを作らなければいけない。
ところがこちらの質と供給量が半端ではないため、ポーションの質がどんどんあがり、現在は他の町にまで名前が轟くほどの大手道具屋に成長するにまで至っているようだ。
まさにキノッピ革命だな。
しかも俺が町の外から輸入していることを伝えると、道具屋の店主自らが商人用の通行手形を用意しはじめたのだ。
手形の効果により、いまじゃ門番を華麗にスルーしている。
なお、商人用の通行手形は冒険者ギルドのカードほどじゃないが町へ入る分には十分な証明で、今は店主の弟子という形で仮登録されているようだ。
最初は冒険者ギルドに登録する予定だったが、思わぬ方向で身分証明ができるようになった。
商人なだけあって情報の秘匿性も高いし、かなり便利である。
「よし、食事も終わったし次は町にいくぞ。今日はわんわんだけがついてきてくれればいいので、群れは迷宮を守護していてくれ。それと町に近づいたら俺の影に潜み護衛すること、いいな?」
「「「グルォオン!」」」
それじゃあさそっく町へ向かうとしよう。
レッツゴーわんわん、進化した速度をみせてくれ。
それから町へ向かい疾駆することしばらく、いつもの道に出たので影に潜ってもらった。
おそらくまだ手加減しているのだろうが、ここまで来るのにかかった時間が半分ほどになっていたので、だいぶ速力が強化されたようだ。
さすが速度重視のシャドウフェンリル、かっこよさに痺れるぜ。
……そして歩くこと十数分、町の門が見えてきた。
「お、いつもの門番さんだ。たのもー」
「おう、いつものガキんちょじゃないか、相変わらず精が出るな。最近はキノッピが採れてないのか?」
「うーん、最近はなかなか見つからないねー」
まあ見つかるはずがないんだがな、自分で栽培したものだし。
「気にすることは無い、一個みつけただけでも上等だからな。それと今日は冒険者ギルドで祭りが開かれてるから見ていくと良い。お前が将来何になるか知らんが、冒険者から学べることは多いぞ」
ほう、祭りとな?
いったい何の祭りがあるか知らないが、見るだけならタダだろうし行ってみるのもいいかもしれない。
「それってなんのお祭りなの?」
「ん?お前この町に住んでるのにそんなことも知らないのか? あれだよ、一般参加型の闘技大会だ」
「ふむふむ」
その後聞いた話によると、殺傷なし、降参か気絶、場外に落ちたら負けの力比べをする闘技大会らしい。
貴族が自分の代表を一人連れてきて試合をする形式で、勝てば自分の権威を誇示できるとのこと。
選ぶ人間はその場の冒険者でもいいし、あらかじめ用意していてもいい。
腕が立つなら、ギルドに登録していない一般人も闘技大会で選ばれることもあるので、お祭りみたいなものだそうだ。
なお優勝賞品はあるが、試合には勝っても負けても報酬はないとのこと。
「主に冒険者ギルドと公爵家が主催の大会だが、今年は参加している貴族も多いらしいからな、見ごたえあると思うぞ」
「なら僕もみてみようかな、これでも父ちゃんに剣術習ってるんだ」
「ははは、やっぱ男の夢は剣だよな、わかるぜ」
いや、魔法も好きだけどね。
まあとりあえず見てみる事にしよう。




