ゼリリン、チビドラゴンを育てきった
更新遅れていて申し訳ありません。
ルゥルゥとの会議が終了し、必要なアイテムを手に入れたことから次の作戦フェーズへと移る事になった。
もちろん、ユニッピの進化の件である。
現在はコアルームにタクマと俺の2人で居残り、魔法陣でテイムしようとしている段階だ。
「ということで、進化するんだ」
「きゅぁ?」
「いや、それはちがう」
進化というものがよく分かっていないらしい。
またタクマとの修行が始まるかと勘違いしたユニッピが、軽くジャブを繰り出してウォーミングアップをはじめてしまった。
仕方ない、論より証拠というし、魔法陣を先に構築してしまおう。
「ぜりぜりぜりらぁ~」
「きゅぁっ!?」
あ、効いてる。
「ぜりらんらん~ぜりらんる~」
「なんだその掛け声は」
「テイムするときのために考えた呪文」
「……そうか」
うむ、何事も気合が大事だ。
こういうのはやる気で結果が変わってくる。
そしてテイムの魔法陣が吸い込まれていくと、ユニッピにも内容が伝わったのか、納得した表情をしだした。
「あとはしばらく放置して、寝て起きたら進化しているはず」
「なるほどな、時間がかかるって訳か。……で、何に進化するんだ?」
「どうなんだユニッピ」
「きゅぁ?」
何に進化するんだろう。
本人にも分かってないようなので、そこらへんはお楽しみらしい。
「まあ、進化してみればわかるかな」
「いやセリルお前、なんで分からないのが当然だろ、みたいな顔してるんだ。ギャラクシードラゴンが飛行能力に向けた進化をしなかったらどうするんだ」
「う~む」
まあユニッピは凄いやつだし、今必要なのが宇宙進出なのできっと理解してくれるだろう、だから大丈夫だ。
それじゃ、ひとまずコアルームでお昼寝をするとしよう。
おやすみ~。
◇
コアルームでゴロ寝を堪能していると、遠くで誰かが俺を呼ぶ声がする。
「おいっ! セリル起きろっ!!」
「Zzz」
「……おいっ! くそ、こいつ一回寝るとまじで起きねぇ」
やはり誰かが呼んでいるが、今はリラックスするのに忙しいので反応に困る。
ゼリリンのボディ的に、一回リラックスしたら完全な状態になるまで休眠状態に入るようになっているのだ(セリル調べ)。
「……スピィ」
「……しゃあねえ、悪く思うなよっ!! 【勇者流剣技改・絶剣】」
「ゼリラァァアアアッ!?」
なんだ、敵襲かっ!?
ボディに深刻な魔力ダメージを受けた気がするが、これはいったい。
「よう、起きたか。あのギャラクシードラゴンが進化したらしいぜ」
「ふむ」
どうやらタクマが目覚まし代わりに起こしてくれたらしい。
よくみるとボディは既に回復しており、さきほどのダメージはハッタリだった事が分かる。
まったく、ビックリさせないでほしいものだ。
物理ダメージならともかく、魔力ダメージはゼリリンに有効だからね。
「いや、あれを受けてハッタリだったか、みたいな顔してんじゃねぇ。ルチファーの奴ですら攻略不可能だった剣技だぞ」
「まあ、それよりもユニッピだ。……ユニッピはいずこへ」
「目の前にいるぞ」
いや、目の前には壁しかない。
ちょっとコアルームの壁に肉感が増しているけど、これはいったい。
「ぜり?」
「そうだ、そこだ。その目の前の奴があのチビドラゴンだ」
「ギュルルルァアアアッ!!」
「…………」
……。
…………。
チラッと上を見上げてみる。
「ギュルォオオオオッ!!」
「ぬわぁぁぁあああああっ!?」
「ギュァアアアアッ!?」
見上げてみると、オーシャルちゃんより数段でかいドラゴンが地下のコアルームにぎっしり収まっていた。
ばかなっ、これがユニッピなのかっ!?
……凄いっ!
「や、やるなユニッピ。でかしたっ!」
「いや、そのリアクションはおかしいだろ。チビの時の原型留めてねぇぞこいつ」
「たしかに」
チビドラゴンだった時は肌もツルツルでトカゲに羽が生えたみたいな奴だったが、今はガチガチに鱗で覆われた巨大竜になっている。
元々あった特徴が何一つ一致しない。
「でもスキルで小さくなれるハズだから、そこらへんは些細な事かな。じゃ、鑑定するから小さくなって」
「きゅぁっ」
「いや、質量的にそれは無理だ、……ろ? はぁっ!?」
すると、巨大な体がみるみる小さくなっていき、進化前と同じ大きさに戻った。
こうして元のサイズで観察すると、単純に幼体から成体になったという感じを受ける。
ミニ形態でも威厳が漂うカッコいい姿だ。
「かんぺきだ」
「…………お前といると、どっちが正しい常識なのか分からなくなってくるぞ」
「まあ、常識は覆るものだしね。それじゃ、鑑定っ!」
【ギャラクシードラゴン(完全)】
成長標準:
生命力:SS/魔力:S/筋力:SS/敏捷:B/対魔力:S
現在値:
生命力:SS/魔力:S/筋力:SS/敏捷:B/対魔力:S
オリジンスキル:渦巻く魔力、すごそうなやつLv3
スキル:竜光魔法、竜闇魔法、飛翔、合成魔法
【すごそうなやつLv3】
└Lv1効果:卵時代、魔王ゼリリンの期待を一身に背負った事で、成長標準以上の進化が見込めるようになった。また、体を変化させて凄そうにみせる事もできる。
└Lv2効果:魔王ゼリリンの魔力を大量に受けて孵化したことで、魔王ゼリリンとシンクロできるようになった。シンクロ中は二つだけ、オリジン未満のスキルを借りられる。
└Lv3効果:魔王ゼリリンの魔力により成体へと成長する事で、本来の生息域である大気圏外への突入が可能になった。宇宙空間での飛行が可能。
どうやら進化ではなく、成長だったようだ。
次回、新章突入。




