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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
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ゼリリン、実は天才だった



ルゥルゥが壊れてから少し待つと、ロリ魔女はニヤニヤしながらカラースライムを撫で始めた。

スライムの方は自信ありげに何かを訴えているので、テイムの効果で意思疎通が可能になったのかもしれない。


「もしかして、あれは会話しているのだろうか」

「はい、そのようですね。私達が開発した魔法陣はルゥルゥ大師匠の指導の下、より意思疎通ができるような方針で固めていきましたから。その代わり、魔物への支配は最低限に抑えています」

「なるほど」


どうやら今回開発したテイムは、既存のスキルを意思疎通の方向に強くカスタマイズした代物のようだ。

俺がテイムで初ゲットしたスラタロや、ダンジョンの支配下におかれているわんわんなどとは違う関係にあるのだろう。


だが、これはかなり良い方向の改良と言えよう。


既存のテイムでは、社長であるダンジョンマスターの裁量でモンスターの運命が決まってしまうため、やり手のマスターじゃないと不幸一直線だったのだ。

しかしこの魔法陣型テイムの方法ならば、モンスターの自由はある程度保証されることになるし、そのおかげで契約もしやすくなったかもしれない。

ようするに、やる方もやられる方も気軽になったのだ。


「さすがロリ魔女、やるときはやるな」

「やっと気づきおったか小童め。わしは偉大なる亜空の大魔女、ルゥルゥなるぞ!」

「ははーっ」


いつも通り調子にのりはじめているが、ちゃんと結果は出しているので素直に踊っておくことにする。

感謝のゼリリンダンスだ。


「ぶふぅっ! な、なんで急に踊り出すんですかセリルくんっ!? ちょ、その動き……、ぶはぁっ!!」

「のじゃのじゃのじゃっ! もっと踊れいっ! 腰はもっとこうじゃっ!」

「ぜりっ!」

「ぶほぉっ、げほっ、げほっ」


ニィルさんが女の子にあるまじき勢いで吹き出しているが、これは由緒正しい感謝のダンスだ。

なぜかルゥルゥも一緒になって踊り始めたが、まあ人数は多い方が景気がいい。


「のじゃっ、のじゃっ!」

「ぜりっ、ぜりっ、ぜりっ!!」

「あびゃびゃびゃびゃびゃっ!」


──10分後。


「ふぅ。……まぁ、こんなものかな」


踊り終わった。

現在は過酷なダンスに休憩を入れ、スライムたちと一緒にお茶しているところである。


「ハァー、ハァー、ハァー……。セ、セリルくんって意外とノリがいいんですね、びっくりしました」

「ふむ」


いや、ゼリリンはいつだってみんなと仲良しだ。

だが魔王という称号の先入観から、もうちょっとダークなイメージを持っていたのかもしれない。

イメージが払拭ふっしょくできてよかった。


「それで、出来上がった魔法陣はどんなものなの?」

「あ、魔法陣ですね。少々おまちを」


ルゥルゥは肉体労働に慣れていないせいか、ダンスに疲れて寝ているのでニィルさんに聞くことにする。

出来上がった魔法陣をちゃんとカジノに広めないといけないのもあるが、一度自分で使ってみて使用感を確かめたかった所だ。


もしいまのテイム状態に重ね掛けできるようなら、今後有用な切り札の一つになるだろう。

部下への魔力供給もできるみたいだしね。


すると、ニィルさんが地面にさきほど完成した魔法陣を書き始めた。

周りは夜なので暗いが、陣がほんのり光っているので形を認識するのは問題ない。


「えーっと、……ここをこうして、こうやって」

「…………」

「こうですっ! できたっ!」

「なるほど」


さっぱり分からない。

というか、こんな複雑な陣形をどうやって覚えろというのだろうか。

なんか変な記号みたいな文字がいっぱい並んでいるし、はっきりいって紙に書いて覚えないとまともに使える気がしない。


なのでここは、魔法陣を完璧に使いこなす裏ワザを使うことにする。


「どうですセリルくんっ!」

「なかなかの出来栄えだ」

「くふふ、本当に分かっているんですかぁ? でも、この技術を王国に広めれば、私も下級貴族から一皮むけるかも。そ、そしてルー様ともお近づきにっ! ……くふっ」

「うむ。……ごそごそ」


そしてごそごそと取り出したのは、もちろんあの攻略本さんだ。

なぜここで攻略本を取り出したかと言えば、……なにを隠そうこの攻略本さん、最近はまったく使ってなかったデータベースという機能が搭載されているからだ。


データベースは出現時のみ、現在のありとあらゆる知識を授けてくれるゼリリン秘蔵の裏技で、これに質問した内容は直接頭に流れてくるという便利機能が備わっている。


人間の記憶がのぞけるわけではないので、歴史や過去を覗く事はできないけどね。

あくまでも現在までに誰かが世界に記録した何か、のみだ。

そして、それにはもちろん「今開発された魔法陣」も含まれる。


「我に知識を授けたまへ~」


そして掛け声と共に、魔法陣の情報がスススッと流れてきた。


「またその本ですか? いったい何を……」

「……全て理解した」

「えっ?」

「この魔法陣は第2世代型の陣形と魔紋を駆使して作られた、第5世代をベースとした……うんぬんかんぬん」

「えっ、えっ、……えぇぇええっ!? さっきまで何も知らなかったんじゃっ!? ……これが、天才っ!?」


唐突に理解したことで、ニィルさんが驚きの声をあげている。

まあ、ゼリリンの力を使えばこんなものかな。


さっそくテスターとしてわんわんを召喚し、テイムの魔法陣を試してみる事にする。

出でよわんわんっ!


攻略本の機能は以下の通り。


マップ:出現時のみ半径1kmのマップを生物、地形問わず捉えることができる。

(グレードアップして出現しなくても可能に)


鑑定:出現時のみ、自身と視界に映っている対象の鑑定が可能。

データベース:出現時のみ、この世界の現在の知識を引き出すことが出来る。人の過去を覗くなど、歴史を引き出すことは不可能。

翻訳:出さなくても言葉が翻訳される。文字は出現時のみ翻訳される。


魔物図鑑:魔物の素材を図鑑に吸収させると、図鑑の経験値がたまりグレードアップする。

(1回だけグレードアップした)

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