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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
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ゼリリン、ディスカッションの構えをとる


ニィルさんと別れ、そこそこ本気のダッシュでそそくさと宿へ帰宅し、レナ姉ちゃんとルー兄ちゃんにお土産を渡してからカジノへやってきた。

もちろんルゥルゥを探すためである。


「やぁタクマ、ルゥルゥいる?」

「なんだお前もう帰ってきたのか、ドラゴン族の里に行ったんじゃなかったのか」

「行ってきたよ。そこでサムライおじさんと決闘もしたし、光竜族の王妃さんにも勝った。あとこれ、白ドラゴンまんじゅう」


まともに戦えばサムライおじさんに勝てるか怪しかったが、相手が油断してくれたのでかなり楽ができた。

あのおじさん、十中八九王妃さんより強かったな。


「サムライに王妃にまんじゅうだぁ? ……今更始まった事じゃないが、お前何しに行ってたんだよ。まるで観光だな」

「いや、ちゃんとユニッピに関する情報は得た。問題ない」

「観光である事は否定しないのか」


うむ、楽しかった。


余談だが、あの時はドラゴンに変身する前に倒しちゃったけど、たぶんあの人はドラゴン形態よりもサムライ形態の方が強いと思う。

ドラゴンになれば基礎的な能力は底上げされるだろうが、人間の時にしか使えないスキル外スキルが使えなくなるのが痛い。


あくまでも、サムライおじさんの強さはサムライである所なのだ。


「それでルゥルゥはいずこへ」

「ああ、奴なら今日もリベンジャーズレッドと自分のスライムを戦わせてるだろうぜ。あの魔女のスライムは日に日に強くなっているが、元来の逃げ腰のせいでまだ一勝もできてねぇらしい」

「まだ勝てないのか」


やはり弱い。

まあ、とりあえずスライム闘技場へ行ってみよう。


そして魔王ゼリリン城3Fのチャレンジ施設へと足を運ぶと、ちょうど騎士団長さんのリベンジャーズレッドがロリ魔女のスライムと決着をつけるところが目に入った。

なにやら必殺技を放つ構えを見せている。


「ぬぉぉおおっ!! 今だ紅き盟友よっ! その闘志をあのスライムへと叩きつけろっ!」

「のじゃぁっ!? 避けるのじゃっハイパーミラクルルゥルゥ号っ! あの技が来るっ!」

「……奥儀、【復讐の一撃リベンジャーズインパクト】」

『スゥラァアアアッ!!』


──バチーンッ!


そして騎士団長さんの掛け声と共に大きく飛び跳ねたレッドスライムは、空中から落下する勢いと共に、回転を加えた捨て身の体当たりでルゥルゥ号を沈めた。

あの必殺技、なかなかの勢いだ。


「しかし、また負けたか」

「……のじゃぁぁあ、なぜじゃ、なぜなんじゃ。能力はワシのスライムの方がずっと高いのに、……勝てない」

「ふむ」


おそらく逃げ腰であることが原因だが、一番大きな差はスライムとルゥルゥの心が通じ合っていないところだろう。

いや、他の一般的なチャレンジャーに比べたらずっと強い繋がりを持っているのだろうけど、騎士団長さんとリベンジャーズレッドと比べると、やはり見劣りする。


いまの必殺技のシーンだって、トレーナーとスライムの連携がとれていれば躱せたはずの大技だ。

躱せば相手には大きな隙が出来るし、お互いに体力が消耗した今ならば勝てていたかもしれないのに、それが出来ないのは連携不足によるところが大きい。


これが信念の差というやつか。


「まあ、どんまい。次があるさ」

「のじゃぁ……? なんじゃ、お主か。久しぶりじゃな」

「久しぶり」

「じゃが今日はそっとしておいてほしい。ワシは寝る」


声をかけたはいいが、今日も今日とて試合に負けて意気消沈しているようだ。

少し可哀そうなので、仕入れた情報を伝えてみることにする。


「そんなあなたに、リベンジャーズレッドに勝つお得な情報が」

「のじゃっ!? そんな情報があるのか、はよう吐かんかチビっ子!!」

「あばばばばば」

「はよう、はよう!! もしや奴の弱点を知っているのかっ!? そうなんじゃな!?」


ルゥルゥが急に元気になり、服の襟をつかんでボディを揺さぶる。

そんなに慌てなくてもちゃんと情報は伝えるよ。


とびっきりの情報をね。


「まって、僕は騎士団長さんのスライムに詳しくないし、弱点はしらないよ」

「って知らんのかーいっ!」

「うむ。……でも、試合に勝つためのとっておきの情報を持っている」


そして一歩下がり、ゼリリンディスカッションの構えをとる。

ここからが交渉タイムだ。


「まず、ルゥルゥ号の弱点はトレーナーとの連携不足だ。もちろんそこそこ鍛えてるけど、あのレッドスライムと比べるとやはり見劣りする。……ここまではいいね?」

「う、うむ。そう言われると悔しいが、あの騎士団長の指示とスライムの連携に勝てたことはない」

「そうそう。だから、そこで僕は考えた。……それならスライムと直接話せたり、感情のやり取りができてしまえば良いのではないかってね」

「……ッ!!」


そう、とっておきの情報とは、連携不足を補うテイムの魔法陣の開発だ。

こうすればテイマー志願者のニィルさんの助けにもなるし、試合にも勝てるようになる。


そして最後に、まわりまわって俺とユニッピのコンビネーションが強化され、隕石ミッションにも影響が出てくるというわけだ。

我ながらかんぺきな作戦だな。


「どう、興味湧いた?」

「く、詳しく話すのじゃっ!! もしそのような事が可能ならば、ワシはスライム闘技場のキングになれるっ!」


よし、乗ってきたな。

これで希望が見えてきたぞ。


「ぜりぜりぜり(笑)」




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