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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
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ゼリリン、テイマー志願者を発見する


ドラゴン族の里でしばらく観光したあと、オーシャルちゃんの勘当騒ぎも収まったので王都の学校へと戻ってきた。

少しの間だったが、ゼリリンズのメンバーにかなりの収穫があったな。

主にオーシャルちゃんとユニッピに。


それに、俺もただ手ぶらで帰ってきたわけではない。

里の皆は俺がダンジョンマスターであることをサムライさんから聞くと、とても親切に接してくれたのでお土産がたくさんあるのだ。


今日の夜にでもレナ姉ちゃんやルー兄ちゃんにお裾分けしてあげようかなと思っている。


ちなみにお土産は白ドラゴンまんじゅうだ。

特別な効果はないが、とても美味しくプレミア度も高い。


「という訳で、観光から帰ってきたゼリリンだよ」

「なにがという訳なんだ。お前さっきまで授業受けてなかった? 廊下に行ったっきりしばらく戻ってこなかったけど」

「そうだった」


そういえばゼリリン2号を召喚するまでは学校で授業を受けさせていたんだった、あぶないあぶない。

もう少しで俺の切り札が露呈するところだったな、誰だか知らないがクラスのA君にはお礼を言わなければなるまい。


「ありがとう。……あとこれ、お礼の白ドラゴンまんじゅう」

「おう、ありがとう。……うまいな」

「うむ」


うまい。


ただ、戻ってきたはいいけどそろそろ授業も終わりそうな頃らしく、授業を受けているSクラスの生徒もまばらだ。

俺もそろそろ帰った方がいいかもしれないな。


「それじゃ、僕はもうそろそろ帰るから」

「えっ、帰るのかよ。お前何しに来たんだ」

「挨拶かな」


たとえ出席が免除されているSクラスといえど、ちゃんと挨拶に顔を出すのは重要な事だ。


……そしてゼリリンダッシュで帰路に就くこと数分、ダッシュの途中でふと、スラタロ.Jrを複数連れた生徒が目に入った。

王都ではスラタロ.Jr達が大流行しており、一人で何匹ものスライムを連れている事もおかしな事ではないのだが、なにやらスラタロ.Jr達の様子がおかしい。


もしやスライムいじめだろうか。

これは見逃せないな。


スライム達はその怪しげな生徒の描いた魔法陣の中に押し込められ、魔法陣の中でなにやら訴え続けているようだ。

生徒の方は黒いマントを着た女の子のようだが、スライムで実験をするなど言語道断だ。


こっそり近づいて注意しておこう。


「もしもしそこの人」

「……ッ!! ……ッ!」


やはりすごく驚いている。

俺に気づいた事で肩を震わせて萎縮してしまったようだし、怪しげな実験だったか。


「スライム達に何をしているか知らないけど、いじめはよくない。スライムにもスライムの生活がある」

「……ひっ!? いえっ、あ、あのっ、ち、違うんです」


違うらしい。

なんだ、いじめじゃなかったのか。


ならいいんだ。


「違うの?」

「……はい。スライムさんと、お、お友達になりたくてっ!! お話できないかなって、思ってっ! それで伝説のスキル【テイム】の文献を基に、再現の魔法陣を組んでたんです」

「ぜりっ!?」


なんと、この子はスラタロ.Jr達とお話がしたかったようだ。

それにテイムが伝説のスキルであることにも驚いたが、そんなスキルを再現する魔法陣を組めるなんて、この子は何者なのだろうか。


もしかしたら、ルゥルゥと同じくらい凄いかもしれない。


「めっちゃすごい」

「そ、そうですかね? ……まだ未完成ですが」

「なるほど」


だが、せっかくスラタロ達と仲良くなりたいというのだから、協力してあげるのもやぶさかではない。

魔法陣と言えばルゥルゥなので、テイム研究のヒントになるかもしれない人として、紹介してあげるのもいいだろう。


「でも、何の情報もないんじゃ紹介しようがないし、ちょっと鑑定するね」

「えっ? 鑑定、ですか?」


出でよ攻略本、そして鑑定をしたまえ。


【人族:ニィル】


成長標準:

生命力:D/魔力:C/筋力:D/敏捷:D/対魔力:D

現在値:

生命力:D/魔力:D/筋力:D/敏捷:D/対魔力:D


オリジンスキル:なし

スキル:なし


「普通の人だった」

「あぇっ!? そ、その本どこからっ!?」

「それは内緒」

「えぇっ!?」


だが完全に普通の人がこんな大それた研究をしているとなると、逆にすごい。

さきほどの反応をみるに、魔法陣そのものは作動していたみたいだし、何もあてずっぽうな方法でやっている訳ではなさそうだ。


もしかしたらニィルさんはスキル外スキル、技術において凄く優秀な人なのかもしれないな。

これは期待がもてる。


テイムの謎が解明されれば、ユニッピとのコンビネーションがさらに強化されるだろうし、力になるに越したことは無いな。

コンビネーションの強化は大災害の回避にも繋がるし、ゼリリンとしても隕石の衝突は避けたい。


「ふむ。また明日ここに来るなら、魔法陣の研究者を連れてきてあげるよ」

「えっ、……あの?」

「それじゃ、またね」

「あ、ちょっ──」


さらばテイマー志願者さん。

残念ながら今日は姉ちゃんと兄ちゃんにお土産を渡すのが最優先だ。


再びゼリリンダッシュッ!!


「ぜりぜりぜりっ!!」

「めちゃくちゃ速いっ!? ……、……行っちゃった。なんだったんだろう、あの子。妙にスライム達も懐いていたようだけど、まさかスライム販売の関係者かな? ……まさかね」


ぜりっ!



スライムで実験をするなど……

するなど……


……スライムとポーションを配合!!

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