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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
149/164

ゼリリン、納得した顔をする


「なかなかの激戦だった」


ドラゴン族の王種である王妃さんとの戦闘を終え、一息つく。


まさかゼリリンの魔力が尽きる寸前まで追い詰められるとは思わなかったな。

ゼリー細胞再生は魔力に依存するところが大きいので、魔力が無くなると復活できなくなるし、危ないところだった。

さすがドラゴンの頂点と言うべき王の実力だ。


「お父様とお母さまが負けたっ!? チビッ子族がこんなに強かったなんて驚きました。しかしそのチビッ子族との友好を結んだ私は、光竜族史に残るファインプレーでしたね。鼻が高いです」

「娘よ、お前はいったい何をいっているのだ……」


オーシャルちゃん的には、力のある優秀な種族と友好を結べた事が、里の発展につながると考えているのだろう。

俺はチビッ子族ではないが、ゼリリンズのメンバーである彼女の期待に応えられた事は大きい。


結果オーライだ。


「カァ~、痛ぇなぁオイ。ちったぁ手加減しろよ坊主、あやうく死にかけるところだったぜ」

「むっ」

「やっと起きたか戦闘マニアめ」


気づくと、さきほど気絶したサムライおじさんが起き上がっていた。

あちこち服が破けているが、肉体に外傷は見当たらない。


あれだけの爆発を受けてもう完全回復とは、なんてタフなんだ。

この2人、本当に生き物なのだろうか。


「いやぁ~、久しぶりに負けたぜ。過去をさかのぼっても、この白竜王たる俺が戦いに負けたのは勇者サムライに出会った時だけだ。……誇っていいぞ坊主」

「うむ。今回はリグの働きも大きかった」

「そんなっ!? 私は若のために時間稼ぎをしたにすぎませんっ!」

「そういや嬢ちゃんも頑張っていたな! 戦い甲斐のある相手が沢山いて嬉しいぞっ!! カッカッカッカッ!!」


リグは謙遜しているが、時間稼ぎがなければ勝てなかっただろう。

いくら俺でもこの2人を同時には相手にできないしね。

そう考えると、過去に技術を教えたという勇者サムライさんも凄い強さだったのかもしれない。


やはり世界は広いな。


だがもう戦いは終わったし、この神殿でやる事ももうないだろうから、あとは里とか見てブラブラしようかな。

ユニッピがどういうドラゴンなのかとか、そういう事は王妃さんの傷が回復してからでいいや。

オーシャルちゃんの勘当騒ぎも収まりそうだしね。


「それじゃ、僕はしばらく里で遊んでくるね」

「あ、若! 私も行きますっ」

「こら、待たんか魔王」

「ぜりっ!?」


そそくさと退散しようとしたら、王妃さんに首根っこを掴まれて持ち上げられてしまった。

足がぶらぶらする。


「私はお前を見極めるために戦ったと言っただろう、話はここからだ」

「そうだぜ坊主、……まあ俺は戦いたかっただけだけどなっ!」


なんだ、そうだったのか。

そういう事ははやめにいってほしい。

てっきりバトルが大好きなだけかと思っていた。


「ふむ」

「まず最初に、今回こやつらを見つけ神殿まで送り届けた我が娘よ、感謝する。あまりのグータラ故、世界の厳しさを見せようと思い勘当したが、……大人になったようだな」

「ニヤッ」


褒められたオーシャルちゃんが不敵に笑う。

なんとなくこの感じ、言われた意味は分かってないけど、とりあえず自分が凄い事をしたとか思っているタイプの笑いだ。


付き合いの長いゼリリンには分かる。


「当然ですよお母さま、私はチビッ子に働くことの大切さを教えてもらいましたからね。1キノッピを稼ぐのだって相当な労力が必要なのです」

「そうか、やはり大人に──」

「だからこそ、私はこのチビッ子についていき、あわよくばボーナスをもらって悠々自適に暮らすのです。クッ、クククッ」

「…………」


やっぱりあまり分かってなさそうだ。

働く事が大事だというのは理解したようだけど、グータラに関しては元のままらしい。


まあ、ゼリリンも休憩は大事だと思っているので、オーシャルちゃん的にはこのくらいが丁度良いのかもしれない。

なにごともバランスだ。


「ま、まあ、いい。娘に関してはよろしく頼むぞ魔王」

「任せてほしい」

「うむ。それでは本題だが、魔王よ、お前はこの世界の大災害についてどれだけ知っている?」


大災害とな。


「ふむ」

「…………」

「なるほど」


なるほどね。


「やはり、ダンジョンマスターである以上は、ある程度知っていたか」

「いや、まったく分かってないし、何も知らないよ」

「…………」


王妃さんが謎の生き物を見る目で見つめてくる。

ちゃんと答えたのに、こんなのあんまりだ。


でも大災害ってなんだろう、がけ崩れとかそういうやつかな。

ここ山の高い所にたってるしね、そういう事もあるだろう。


「なぜ、納得した顔をしている」

「山の上だからかな」

「……そうか。ま、まあ産まれて間もないダンジョンマスターなら知らない事もあるだろう。その年齢でこの実力というのが恐ろしいが、魔王種である以上は有り得ないこともない」

「そうだぞ」


まだ7歳だし、知らない事は多い。

そういうのはこれから知っていけばいいのだ。


「では、改めて説明させてもらうが、大災害というのはだな……」

「なるほど」

「かくかくしかじか」

「ぜりっ!?」

「……という訳なのだ」

「ゼリラァァアアアッ!?」


そして王妃さんから放たれた言葉は、とんでもないものだった。


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