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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
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ゼリリン、ゼリリンズを召喚する



突然乱入してきたサムライのおじさんが、自分も腕試しに混ぜろという。

一瞬どうしたものかと迷ったけど、まあリグと俺の2人ががかりじゃあ王妃さんとの2対1になるし、ちょうどいいかなって思い始めた。


むしろ2対2の方が正々堂々としてていいかもしれない。


俺はフェアなゼリリンを目指しているので、こういう時も正々堂々が基本なのだ。


「うん、まあ別にいいよ」

「ま、またんかっ!! そのこ奴を混ぜたらパワーバランスが崩壊するわいっ! サムライ馬鹿はひっこんでおれっ」

「おう、話が分かる坊主は嫌いじゃないぜ、まさかゼリリンの坊主が魔王だとは思わなかったがな。だが戦事にこの俺が出張らないんじゃ、王としての名折れってもんよ。なっ、いいだろ? 俺も混ぜろよカミさん」

「混ぜられるか馬鹿夫っ! お主、自分が楽しみたいだけじゃろっ!」

「カッカッカッカッ!! ちげぇねぇっ!」


うむ、こういうイベントは楽しんだもの勝ちだ。

このサムライおじさんは大事な事が分かっている。


俺も勝ち負けにはあまりこだわらず、実力を見せつつも楽しむつもりだしね。


「まあまあお母さま、チビッ子族が別にいいって言っているときは、だいたい別にいいって事が多いです。今回もきっとそうなのでしょう、オーシャルには分かります」

「くっ、いくらグータラ娘とはいえ、短期間でここまでの信頼を寄せていようとは。……ゼリリンといったか、お主? 確かに魔王、……いや、王の器はしかとあるようだ」

「むっ? ……うむ」


王の器っていうのを気にした事はないけど、王妃さんが認めたならそうなのだろう。

俺としては、将来ビッグな男になるために日々キノッピを食べているだけなんだけどね。


まあ、こういう事もあるだろう。

努力が実を結んだと解釈しておく。


ちなみにユニッピは見学だ。

オーシャルちゃんが抱きしめて離さないので、参加はたぶんむりだと思う。


「では、王たる器を持つお主の覚悟に免じて、私ら夫婦で相手をしてやろう。……先手は譲ってやる、かかってくるがいい」

「おぉっ!? やっぱ俺のカミさんは話が分かるぜ、そうこなくっちゃなぁっ! カカカカカッ!!」


なんと、先手を譲ってくれるらしい。

どれだけ自信があるのかは知らないが、これは好機とみていいだろう。


となれば、まずは準備からだ。

せっかく先手をくれるのに準備をしないのでは、なんの意味も無いからね。

ここは入念にいこう。


「リグは手を出さないで、まず僕が戦闘の準備をするから」

「分かりましたっ! 何か作戦があるのですねっ」

「うーん、そこはかとなくあるよ」


まあただの準備だったりする、作戦とかはあまりない。


さて、それではさっそく本気の戦闘モードに移るとしよう。

出でよゼリリンズッ!!!


「来いっ! 2号、3号っ!! そして攻略本っ!」

『ぜりっ!』

『ぜりっ!』


本気を出した俺は、王都で授業を受けている2号を廊下で消して、3号と一緒にこの場に召喚させた。

狙いはもちろん、手数を増やすためだ。


2号はそのまま俺と同じ耐久を持った魔法使いになれるし、3号はリグに巻き付いてゼリーボディによる鎧になる。

攻撃と防御を兼ね揃えた、ゼリリンの切り札なのだ。


それと攻略本は3号のまわりに展開し、リグの防御壁となってもらう予定である。


「……ほう、分身か。俺も人間のニンジャとかいう職業の奴に分身魔法を教わった事があったが、これが案外難しくてな。結局俺には習得できなかった魔法だ、やるな坊主」

「当り前です、若に不可能などありませんから」

「……ほう。こりゃあ、坊主の方を俺が貰った方が楽しめそうだなぁ」


何やら準備を進めているうちに、リグとサムライおじさんのにらみ合いが始まっていたようだ。

戦う前から戦いを始めるとは、2人共こういうの好きだね。

きっと戦闘民族とかそういう種族の血が流れているに違いない。


「さて、こっちの準備はもう終わったから、そろそろ攻撃を始めようかな」

「おう、それじゃあおっぱじめるとするかぁっ!! どこからでも掛かってこいっ!」

「うむ」


それじゃまずはダークオーラを展開して、2号と一緒に魔力をコネコネする。

もちろん特大のゼリリンボムを形成するためだ。


俺のゼリリンパンチで効果が見込めるとは思えないし、サムライおじさんと王妃さんに近接戦闘は相性がよろしくなさそうだ。

今回の前衛はリグにまかせよう。


万が一俺のゼリリンボムを食らっても、3号が巻き付いていれば全く効かないはずだしね。

心置きなく神殿内を爆撃できる。


そしてコネコネする事1分ほど、頭上にドラゴンサイズでも余裕ができそうな神殿を覆いつくす、特大の魔力弾が形成された。


「よし、完成した。リグ、もう突撃していいよ」

「はいっ! お任せをっ!!」

「お、……おいおい。マジかよこりゃあ」

「なるほどの、さすがはルチファーの奴が認めた魔王種といったところか。やはり種族としての規格が違うわい、くくくっ」


しゃべっていると舌かむよ、爆発の威力はたぶんゼリリン史上最大だろうからね。


「それでは、行きますっ!!」

「おう、かかってこ──」

「そーれっ!!」


────ドォオオオオオンッ


サムライおじさんが喋っている間に、超巨大ゼリリンボムが炸裂した。

やっぱり舌噛んだっぽいね。


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