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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
7章 ゼリリンの異文化交流編
141/164

ゼリリン、オーシャルちゃんの里にいく

新章突入


気絶したオーシャルちゃんを起こし、リグの待つ王都の宿屋へと戻ってきた。


あの後タクマはそのまま魔王ゼリリン城へと直行していき、部下の様子を見てくると言っていたので、今は居ない。

なんだかんだでカジノ運営が気に入ってるようなのでなによりだ。


「おかえりなさい若っ!!」

「ただいま」


王都に着きユウキを助けて赤ワインさんを助けてと、色々忙しい日々だったが、日数的にはあまり経過していない。

2週間弱くらいだ。


「まあ、とりあえず今日はゆっくり休もう」

「はいっ、お料理はもう作ってありますっ!」

「おおー」


さすがリグ、母ちゃんの花嫁修業は伊達じゃなかった。


それに最近は働いてばかりでゆっくりしてなかったので、久しぶりに休暇をとるのも悪くないな。

ゼリリンはよく働きよく休む、そういう種族なのだ。


また近いうちに光竜族の里にも旅行に行くし、学校はゼリリン2号に任せて眠るとしよう。

おやすみー。



──翌朝。



「おはよう」

「むにゃぁ……」

「くぅ、くぅ」

「きゅぁ……」


いま起きた。


寝たのは昨日の夕方頃だったはずだが、もう朝だ。

ずいぶんぐっすり眠ったらしい。


俺のお腹の上にはユニッピと、抱き着いて寝るリグ。

そして少し離れたところに大の字で寝ているオーシャルちゃんがいる。


よく眠って気力も回復したし、そろそろ活動するとしよう。

よっこいせっと。


「うむ、良い朝だ」

「ふにゃぁ~、若ぁ~、おはようございますぅ」

「ぜりっ」


寝ぼけたリグがもたれかかってくる。

いくらゼリリンボディがぷにぷにで気持ちいいからって、朝なのに起きないのはダメだ。


ここはリグを無視して旅行の準備をしよう。


「あぅっ! 若がぁ~、私の若が逃げていくぅ……、スヤァ」


準備するものはゼリリン2号がせっせと回収している畑のキノッピ、その確認だけだ。


「ひー、ふー、みー、……1024キノッピか、増えたな」


旅行中はリグとオーシャルちゃん、ユニッピと俺の4人分の食料が必要なので、まあこのくらいあってもいいだろう。

それじゃ、全員が起きたら出発だ。





あれから全員が起きるまでに1時間ほどかかった。

特にオーシャルちゃんなんか、ゆさゆさ揺すってもぺちぺち叩いても全く起きないので苦労した。

なんて図太いドラゴンさんなんだ、顔は美少女なのにまったく女性という感じがしない。


リグは母ちゃんとの修行の成果が出てきているのか、ボーイッシュではあるけど女の子らしい雰囲気になってきたというのに、ヒメなハズのドラゴンさんは全然だ。


「うーむ」

『どうしたんですかチビッ子、私の顔にまた虫がついていますか?』

「何を言っているんでしょうかこのドラゴンは、若がそんな些細な事を気にするはずがないでしょう」


まあいいか。


ちなみに現在、いつものように背中にのってキノッピ畑から移動中で、光竜族の里を目指しているところだったりする。


リグはドラゴンの姿になったオーシャルちゃんを見て唖然としていたようだが、本来の姿が人間タイプでない事を知りなぜか上機嫌になったらしい。

本人曰く、俺を狙うライバルが減ったとの事。


リグはたまに、よく分からない事を口にする。


「ところで、里まではどのくらいかかるの?」


帰るのは収納で一瞬だけど、向こうに着くまではそうもいかない。

初めて出会った時に俺のキノッピを奪い取るくらいお腹ペコペコだったところをみるに、おそらく2~3日はかかるんだろうけどね。


『そうですね、この砂漠からだと夕方過ぎくらいには着きますね』

「いや、それはおかしい」


意外と近い、というか近すぎる。

なんでそんな近い場所で飢え死にしそうになってるんだ。


白竜の王種である彼女の飛行スピードが尋常ではないとはいえ、いくらなんでも早すぎる。


『おかしくないですよぉ。私は里を追い出されてから数日間くらい、ずっと里の近辺で食べ物を探してたんですから。あわよくば近場の森で食って寝ての生活をしようと思っていたのですが、見通しが甘かったみたいですね』

「それもそれでおかしい」


なるほど理解した。

このヒメドラゴンさん、ドラゴン族の中でも相当常識がないに違いない。


まずドラゴンなんていう最強種族の住みつくような所に、他の食料になるような魔物がのんきに暮らしているとは思えないしね。


ついでに言うと、追い出されたのにも拘わらず、近場の森で食って寝ての生活をしようとする図太さに脱帽だ。

普通は勘当された意味を考えて、他の街に適応するなりなんなりすると思うのだが、まったく懲りてないのだろう。


そこが彼女の凄い所とも言えなくはないけど、もしかしたらある意味大物なのかもしれない。


そしてしばらく飛行を続けながら、ユニッピとしりとりをしたり、リグを混ぜてしりとりをしたり、全員でしりとりをしたりしながら光竜族の集まる里へと向かった。


勝率はリグとユニッピが半々の引き分けで、俺とオーシャルちゃんは一度も勝てていない。

意外な事だが、どうやら俺はしりとりが弱いらしい。


どうしてもゼリリンって言っちゃうんだよね、これは本能ともいえる。


「でもオーシャルちゃんは普通に負けるね」

『ふぅ、やれやれですね。チビッ子族ともあろうものが、このような遊びに本気になるとは。……こ、この敗北はサ、サービスという奴ですよ、サービス。本気の私はこんなものではありません』

「なるほど」


どうやら負けたのが悔しいらしい。

まああえて突っ込むのはやめておこう。


俺は空気の読めるゼリリンなのだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] お土産忘れた話が入るかと思ったが、そんな事はなかった。
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