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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、また一つ問題を解決した


神王協会の人たちと決闘をし、伝説の白竜王と勘違いされたオーシャルちゃんの権威で和平が結ばれる事になったらしい。

そして現在は、その報告のために赤ワインさんの城へと直行しているところだ。


協会内部に入り込んで色々やる予定だったが、予想よりも早く解決してしまったので、俺としてはかなり上機嫌だったりする。

いまも空を飛ぶオーシャルちゃんの背中の上で、ゼリリンソングを歌っているくらいだ。


「ぜりぜりした~らぜりぜりっ」

『ぜりぜりした~らぜりぜりっ』

「きゅあきゅあきゅぁ~」


うむ。


俺の歌に合わせて皆も合唱してくれている。

ユニッピもなかなか歌が上手いぞ。


ちなみに、ヒメドラゴンパンチで決闘に勝ったオーシャルちゃんだが、なぜか自分が人間の長に勝った事で新たな長になり、ここら辺一帯の支配者に成り代わったのだと勘違いしているらしい。

赤ワインさんに報告した後は光竜族の里に戻って、成長した自分の姿を見せつけるとか言っているので、恐らく数々の功績を打ち立てた証拠品として俺も連行されるだろう。


曰く、チビッ子族と仲良くなった。

曰く、黒龍を倒した。

曰く、人間族の長になった。


というのがここ最近の彼女の功績らしい。

まったくもって勘違いなハズなのに、あながち嘘とも取れない所が恐ろしい限りだ。


これはゼリリンズ七不思議の一つに数えてもいいだろう。


「くふふっ、人間族の長になった今ならば、里の皆も認めてくれるはず。これはオーシャルを追い出した長に逆襲するチャンスですよっ!」

「……ぜりぃ」


まあいいや、ほっとこ。



人間の街からしばらく飛び続け、赤ワインさんの居る吸血城にもどってきた。


「ただいまー」

「おお、早かったではないか。もう神王協会の長を倒し、吸血狩り共を駆逐してきたのか?」

「うむ、まずそこから話そう」


そういえば赤ワインさんもヒメドラゴンの口車に乗り、長をぶっとばせば長になれるという戯言を信じているんだった。

実際は決闘で神王長も倒したし、白竜王とかいう伝説の存在に勘違いされた事で立場が入れ替わったのは事実なのだが、根本的に考え方がズレている。


今後、吸血鬼側と人間側で認識の齟齬そごが生じないように、ちゃんとフォローしておかなければならないだろう。

やれやれである。


「実はその事についてなんだけど」

「いや、皆まで言わずとも良い。全て分かっているとも、……ふふふっ」

「ぜり?」


赤ワインことレヴィアさんが、一口ワインをふくむ。

なんか凄そうな雰囲気だ。


凄そうな雰囲気だが、このままではなぜかマズい気がする、早めに誤解を解かなければ。


「そう言わずに、僕の話を聞いてくれたまえ」

「ふむ?」

「そうです、まず貴方はこのチビッ子の活躍を聞くべきです。確かに長を倒したのはこのオーシャルですが、食って掛かってきた雑兵を相手に逃げ回り、わざと長をおびき寄せたのは他ならぬ彼なのです」

「なんとっ!?」


俺が話そうとした隙に、なぜか誇らしげなオーシャルちゃんが割り込んできた。

こりゃダメだ、一回ゼリリンパンチで正気に戻さないと。


機嫌よく話している今の彼女は隙だらけだし、渾身の魔力でゼリリンパンチを後頭部に打ち込めば、気絶くらいはさせられるはずだ。


──くらぇっ!


「現に私が考え無しに突っ込んでいれば、おそらく標的には逃げられていたでしょう。……真に称賛すべきはチビッ子族であり、私ではありませ──」

「ゼリリンパンチッ!!」

「ぐふぅっ!?」

「うむ」


よし、上手くいったぞ。

やはりゼリリンパンチを不意打ちで食らってはひとたまりも無いらしく、ドサリとその場に倒れた。


これでやっと、真相を伝える事ができるな。


「なっ、何をしているのだ貴様ッ!?」

「ちょっと事情があって、彼女には眠ってもらった」

「……な、なに?」

「実は彼女が話していた事は事実ではなく、ドラゴン族の文化による思い込みから多少の行き違いがあって、うんぬんかんぬん」


かくかくしかじか。


「……なるほど」

「であるからして、結果的に今こういうことに」

「ふむ」


その後は詳細を事細かく、丁寧にゼリリンディスカッションで説明し、レヴィアさんには納得してもらった。

和平に関しては吸血鬼側も納得できる事らしく、どこまでも面倒な人間との争いを避けて通れるならばお安い御用だとの事。


そして争いの元となるハグレ吸血鬼に関しては、今後も人間を襲う場合はレヴィアさん側からも駆除しておくらしいので、一安心だ。


「という事なので、問題も解決したし僕はそろそろ帰るね」

「ああ、それなら私が直接ルチファーの奴の城に送ろう。……今回は助かったぞ」

「友達ならばとうぜんの事だ」


少々トラブルがあったが、これを機に友達も増えたことだし、俺としては万々歳な結果になったと言えよう。

それじゃまた、いずれ。


「何か困ったことがあれば、今度は私が力になろう。【血流魔法、鬼門転移】」

「ぜりっ(笑)」


いざ、傲慢の魔王城へっ!!



レヴィアさんの魔法で床が光り輝き、しばらく眺めているとプライデ君のお城に戻ってきていた。

気絶したヒメドラゴンさんはとりあえず椅子に掛けておくとして、さっそくタクマとルチファー君の決闘結果でも聞こうかな。


外の方でめちゃくちゃ大きな魔力がぶつかり合ってるし、今ならば決着が見られるかもしれない。


「それじゃユニッピ、行こうか」

「きゅぁっ!」


タクマはユニッピの師匠だし、やはり興味があるらしい。



次の話が6章の最終話です。

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