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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、決闘を見守る



神王長と名乗る謎の銀髪女性が決闘に割って入ったが、これは試験の評価的にどうなるのだろうか。

俺としてはここで一発華麗にパンチを決めて、最高評価をもらうつもりだったんだけどね。


うーむ。

そうだ、試験結果を聞いてみよう。


「もしもし」

「……ふぅ。これだからコネで協会に入った者はたちが悪いのです」

「僕の結果はいかほどに」

「これは神王協会の腐敗にもつながりますし、いっそのことこれをきっかけに大掃除したほうがいいかも?」

「だめだ、聞いてない」


騎士さんを一撃でノックアウトした神王長さんが自分の世界に入ってしまった。

まあいつかこちらに気づくだろうし、気長に待つことにする。


まさかもう一度戦わなければならないなんて事はないだろうけど、暇だしゼリリンダンスでも踊ってウォーミングアップしとこう。

ゼリリンダンスには準備体操の10倍くらいの柔軟効果があるのだ。


ぜりっぜりっ!


「ぜりっぜりっ」

「……まあ大掃除のことは一旦おいておくとして、他国の貴族殿、こちらの不手際でご迷惑をおかけしまし、た?」

「ぜりっ?」


しまった、彼女の意識が戻ってくる前にダンスをやめたかったが、つい気合が入りすぎて踊っているところを見られてしまった。

ゼリー細胞をフルに活用して踊るので、人間の構造的に無理な動きをするダンスを不審に思われたかもしれない。


「あっ、……あの、今の動きは?」

「気にしてはいけない、錯覚だ」

「……す、すばっ」

「ぬ?」

「素晴らしいです!! 先ほどの魔力操作も見事でしたが、まさかこれほどの体術を極めているとは!! 我が協会の者があなたの一撃で死んでしまわないように止めたつもりでしたが、あなたの力ならばあの状態からでも寸止めが可能だったとお見受けしますっ!」

「うむ」


考え事から帰ってきた神王長さん曰く、あれは俺の魔力操作を見て騎士さんがやばいと思ったが故の行動だったらしい。

寸止めする気はまったくなかったけど、ゼリリンダンスの良さが分かるとはやるな。


さすがかっこいい装備をしているだけある。


「して、僕の試験結果はいかほどに」

「試験、ですか?」

「神王協会に入団するには、決闘をしないと門前払いと聞いたんだ」

「なっ!? 誰ですかそんな物騒な事を吹聴したのは!」


赤ワインさんだぞ。

それにしても決闘はやってないのか、とても残念だ。


吸血鬼の生態に関する筆記テストなんて出たら合格する自信はないし、できれば実力で入団したかったんだけどね。


「確かに一般人の方にヴァンパイアハントを手伝わせるわけにはいきませんし、力や覚悟が足りない場合は戦闘職には回していませんが、いきなり決闘なんてしませんよ! 入団試験は、……そうですね、私が認めたらたぶん入団できますよ?」

「なるほど」


どうやら、かなりのお偉いさんのようだ。

それから話を聞くと、どうやら騎士学校や魔法学校の卒業生が推薦なんかで入ってくる事が多いらしく、いきなり入団とかはできないらしい。


これは困ったぞ。


「うーむ、困ったな」

「ですがそれは、あくまでも一般枠での話」

「ふむ」

「フリーのヴァンパイアハンターを採用する場合は、その限りではありません。すべては実力次第です。……つまり」

「つまり」


なんだなんだ、やはり決闘か。

しかしこの流れ、まずいな。


「つまり、オーシャルがあなたを倒せばいいってことですね!?」

「誰ですかあなたは!?」


やはり出てきてしまったか。

彼女の頭の中は、まだ決闘で勝てばいいみたいに考えているだろうし、こうなるかもしれないとは思っていた。


それにすごく暇そうしていたしね。


「た、確かに私を倒せるほどの者ならば申し分ないですが。魔力操作の完成度でだいたい分かるので大丈夫ですよ?」

「やっぱりあなたを倒せば、この私が次の長ということですね! 話は分かりました、それではさっそくこのオーシャルと勝負しなさい」

「えっ? ……えっ?」

「ニヤッ」


神王長さんの問いかけに対し不敵な笑みを見せているが、たぶん本人は何も分かっていないだろう。

おそらく宣戦布告みたいな感じに受け取っているに違いない。


ここで俺が説明してもたぶん無駄なので、ここは決闘を見守ることにする。


「えっ、うーん、……分かりました。それでは私があなたの力量を測りますけど、構いませんね?」

「フフッ」

「それではどこからでも掛かってきてください。先手は譲ります」


それはまずい。

神王長さんは分かっていないだろうけど、オーシャルちゃんは腐っても白竜の王種だ。


あの筋力を相手に先手を譲るのはやってはいけない事の一つだと思われる。


「大きく出ましたね人間の長、そういう気概は嫌いじゃないですよ。……ヒメドラゴンダッシュ!!」

「えっ!? は、速いっ……!!」

「隙だらけですよ! ヒメドラゴンパンチ!!」

「隙などありませ、……きゃぁああっ!?」


ふむ。

虹色の剣でパンチをガードしようとしたみたいだけど、ガードの上からヒメドラゴンパンチをくらい吹っ飛んでいった。


まあいくら防御しても、あのパワーで突進されたらどうしようもない。

彼女たち協会の人はヴァンパイアに対して特化しているというだけで、素の戦闘力がめちゃくちゃ高いわけないからね。


この結果は予想できていた。


「飛んでいったね」

「フッ、私の勝ちです。チビッ子はボーナスのキノッピを忘れずに」

「うむ」


さて、吹っ飛んでいった神王長さんを捜索しにいこうかな。



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