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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、ついに気づく



オオカミ獣人さんの爪がポッキリ折れてしまったが、大丈夫だろうか。

俺も、もうちょっと早く危険を伝えてあげるべきだったとは思うが、テンションの高い彼に気を取られてついうっかりしてしまった。


「だいじょうぶ?」


痛そうなので背中をさすさすしてあげる。


「くそっ!! き、貴様ァっ!? 今、何をっ!?」

「さすさすした」

「さすさすっ!? 何かのスキルかっ!?」


ふむ。

あえて言うならば、気持ちよくなれるスキルかもしれない。

痛みが和らぐ効果がある。


「少しだけ楽になれるよ」

「楽になれる、だと」


そうだぞ。

ゼリリンの手は柔らかいから、気持ちいいと思う。


「……ブフォっ!! ゲホッゲホッ!」

「ぜりっ?」


痛がるオオカミさんの背中をさすさすしていると、赤ワインを飲んでいた金髪さんがワインを噴き出した。

いったいどうしたのだろうか。


「プ、ククッ、アハハハハハハッ!! お、おいお前、なかなか愉快な奴じゃないか。準魔王級とはいえ、魔の頂点に名を連ねるそ奴の攻撃を凌いだばかりか、相手にすらしていないとはなぁ? いいぞ、気に入った。お前さえよければワタシの眷属にしてやってもいいが、どうする? んん?」

「なるほど」


友達が欲しいってことらしい。


「僕も友達を募集しに来たんだ、赤ワインさんさえ良ければ今後ともよろしく。僕は魔王ゼリリンだ」

「そうかそうか、そんなにワタシが気に入ったか! アハハハハッ!!」

「うむ」


ついでに鑑定もしておこう。


【魔王ヴァンパイアロード:レヴィア】

成長標準:

生命力:SS/魔力:S/筋力:SS/敏捷:C/対魔力:B

現在値:

生命力:SS/魔力:S/筋力:S/敏捷:C/対魔力:B


オリジンスキル:吸血王Lv3

スキル:闇魔法・流血魔法・不老・眷属契約(王)


【吸血王Lv3】

└Lv1効果:血を摂取する事で体力と魔力を回復する。不老を習得。

└Lv2効果:一時的に感情を犠牲にすることで、筋力を爆発的に跳ね上げる。

└Lv3効果:血を吸う事で格下の生物を眷属にすることが出来る。眷属契約(王)を習得。


【不老】

肉体の全盛期以上に歳をとらない。


【眷属契約(王)】

眷属化に成功しやすくなり、眷属の力を一部はく奪できる。対等の相手の場合、同意の意志がないと成功しない。対等以上の場合、どうやっても成功しない。


「ふむふむ」

「なるほどな、これが奴の能力か」

「興味深い」

「……お前なんにでも興味持つな」


タクマが何か言っているが、興味深いのだから仕方がない。

俺以外の魔王種さんの能力を見るのは初めてなので、わくわくしているのだ。


特に吸血王Lv2の効果を使った赤ワインさんなら、パワーだけならタクマよりも上かもしれない。

限界突破があるタクマは筋力と敏捷が上がるので、接近戦における総合値なら負けは無いだろうけどね。


「そんなもん読んでないで、はやくワタシのところに来い。くふふっ」

「そうだった」


せっかく友達のお誘いが来ているのに、待たせちゃわるいからね。

きっと握手でもするのだろう。


「ぜりっ」


握手を求めるように、右手をススッと差し出す。

本当は友好の証にキノッピを進呈したいところだけど、いまは我慢する。


「ほう、契約紋は右手が良いと? くふふっ、それじゃいただきまーす。かぷっ」

「ぜりっ!!?」


握手をするのかと思ったら、俺の差し出した右手に噛みついてきた。

俺の体は人間のように見えて、実はゼリー細胞で構成されているのでダメージとか痛みは全くないが、それでもビックリはするのだ。


それに、噛みついた彼女の歯からちょっとした魔力も流れてきている。

全部ゼリー細胞に魔力が吸収されているようなので、特にこれといった変化はないが、これが魔王流の挨拶なのだろうか?


ちょっと真似する気にはなれない。


「……なぜだ?」

「ふむ」

「なぜワタシの眷属契約が効かんっ!? 貴様は確かに同意したはず!!」

「友達に契約はひつようない」

「……ばかな、こんな子供がワタシより強力な存在だとでも? ……いや、そんなはず」


よくわからないけど、さっきの噛みつきは何かの契約だったらしい。

だが友達になるのに同意は必要ない、なりたいと思えばそこで友達なのだ。


俺はまた一つ、ゼリリンとして大事な事を伝えてしまった。


「うむ」

「いやセリルお前、色々勘違いしてるだろ」

「してないぞ」

「そうか」


そうだ。


そしてしばらく、俺の言葉にショックを受けたかもしれない赤ワインさんがぶつぶつと唸っていると、大きな魔力の反応が近づいてきた。


プライデ君の親戚だろうか?

急に魔力反応が現れたところを見ると、きっと転移か何かを習得しているのだろう。


「やぁやぁ、遅れてごめんね、ちょっと聖剣について色々事情があってさ。魔力反応でも分かってたけど、待たせたみたいだねセリル君。……それと、何かひと悶着あったみたいだね」

「なかったよ」


しかし、現れた人物はプライデの親戚というより、プライデ君そのものだった。

以前見た角や、肌の赤黒い模様が見当たらないので、親戚さんの方ではなかったらしい。


……しかし、なぜプライデ君がここに?

親戚とはいえ、彼は一般人だったはずだ。


「そう? 君がそういうなら良いけど。ともかく、ようこそ傲慢の魔王城へ、僕がここの城主である傲慢の魔王、プライデ・ルチファーさっ!! 歓迎するよ、我が同胞たち!!」

「ゼリラァアアアアッ!?」


なんと、傲慢の魔王種さんはプライデ君と同一人物だったらしい。

でもまあ、なんだかそんな予感はしてたんだ。


ゼリリンの予感はよく当たる。


ゼリリンがぬけぬけと何か言い張ってます。

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