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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、ダメドラゴンさんを給料で釣る


俺がブレイブゴッドと呼ばれるようになってから一週間、タクマとわんわん、そして俺とユニッピの修行の日々がゼリリン城のトレーニングルームで行われていた。

現在のユニッピはオリジンスキルである【すごそうなやつLv2】の効果で、俺のダークオーラと体術をコピーして戦っており、なかなかの強さだ。


既に筋力がAで敏捷がCのユニッピに2つのスキルが加わるので、そこそこな近接能力を有していたりいなかったり。

魔法無しの戦いだったら、わんわんにも勝てるだろう。


まあそもそも、わんわんから魔法を取ったらスピードしか残らないんだけどね。

比べる相手を間違えた。


「ゼリリンパンチ!」

「きゅぁあっ!」

「むっ!? ゼリリンステップッ!」


地味だけど効果的なヒットアンドアウェイだ。

このチビドラゴンはスキルを任意で付け替えることが出来るので、たまに体術の代わりに障壁をセットしてくるのだ。


ゼリリンパンチを障壁で一瞬だけ防ぎ、隙の出来たところを体術をセットした突進で迎え撃つとは、タクマのやつかなり技術を叩き込んだな。

これはかなり強い。


「ふむ、ユニッピの実力はだいたい分かった。もうすでにロリ魔女くらいなら互角の戦いが出来るかもしれない」

「だな。あいつは能力はあるが戦闘には向いてねぇ、一緒に戦わせたらたぶんチビが勝つぜ」


すごい成長速度だ。


「ところでタクマよ」

「なんだセリル」

「この前話した魔王種さんから、こんなものを預かっているんだが」

「……例の地図か」


うむ、例の地図だ。

そろそろ訪問しようかなって思ってる。


だが、さすがに今のユニッピでは心もとないので、ダメドラゴンことオーシャルちゃんに乗って出発することにした。

ゼリリン的にはオーシャルちゃんに乗せてもらうのは不安しか残らないのだが、あの魔王種さんをいつまでも待たせておくわけにもいかないので、苦肉の策というやつだね。


ちなみに体の大きさの問題ではなく、戦闘力の問題だ。

【すごいやつLv1】の効果で体の大きさは自由自在だからね、そちらの問題ではない感じ。


ようするに、またオーシャルちゃんを護衛に使おうっていう事である。


「あー、しゃあねぇ。それなら今回は俺も同伴してやる。S級の白竜がこの場所まで飛ぶってんなら、片道1週間ってところだろ。そのくらいなら部下に任せておける」

「さすがタクマ、話がわかる」

「まあ、俺も興味があるってだけだ」

「なるほど」


じゃ、そういう事で。

出発はダメドラゴンさんを回収してからになるので少し遅れるけど、そこに関しては問題はないだろう。


問題があるとすれば、トレーニングが終わってから甲斐甲斐しく世話をしてくるリグと、公国の王女ちゃんだろうか。


「うーむ」

「ほら若、汗をかきましたよね? タオルをどうぞっ」

「ありがとう」


ゼリリンの体質的に、これくらいで汗はかかないけどね。


「ちょっと! 私のダーリンになにしてくれちゃってるのよこの女っ! ほらセリル様、お水なんていかがですか? 喉が渇いていらっしゃるのでは?」

「ありがとう」


もちろん喉も渇いていない。

強いていえば、キノッピが食べたいくらいだ。


しかしこの2人どうしようか。

まさか俺しか招かれていないのに集団で向かうわけにもいかないし、同行するにしても一人か二人くらいがマナーというものだろう。


ユニッピは子供だからしょうがないとして、既にタクマとオーシャルちゃんでその枠は埋まってしまっている。

困ったぞ。


「……せやっ!!」


良い事を思いついた。


「帰ってくる時までにお土産を選んでおくから、2人は楽しみに待っていてよ。お土産を渡す人がいないと、旅行した気分にはなれないしね」


お土産選びのプロとして、腕の見せ所でもある。


「は、はわわっ!? 若が、わたしに! プ、プレゼント。……あうっ」

「……ほわぁ~」

「だめだ、話を聞いていない」


お土産の話をしたら、2人共お昼寝モードに入ってしまった。

せっかくゼリリントークでお土産の話題を盛り上げようとしてたのに、残念だ。


でも2人が寝たことで自由になれたので、結果オーライである。


「それじゃ、さっそくキノッピ畑でオーシャルちゃんを回収してこよう」


いざ砂漠の地へ。





「という訳で、今日から昇給することにしたゼリリンだよ」

「さすがですチビッ子っ!! このオーシャルの価値が分かるようになるとは、やはり私の目は間違っていなかった」


ダメドラゴンさんは昇給で給料のキノッピが増える事を、何よりも喜んでいるようだ。

さすが報酬のためならなんでもするドラゴンさんである。


少し考えが浅い。


「だけど、そのためには新しいミッションをクリアしてもらわないといけないんだ」

「任せてくださいよっ、私がどんな魔物もブレスで吹き飛ばしてあげますってっ!」

「いや、別に喧嘩しにいくわけじゃないから」


ダメだ、やっぱり全てを力で解決しようとしている。

もう少し落ち着いてほしい。


「ちょっと遠くまで飛んで行かなきゃいけなくなったから、友達と一緒に背中にのりたいんだよ。ちなみに昇給キノッピは従来の2倍、一日6キノッピを約束しよう」

「……チビッ子が優しさに覚醒したっ!?」

「いや、それはちがうぞ。ゼリリンはいつもやさしい」


なにはともあれ承諾してくれるようなので良かった。

これで心配事はほとんどなくなったし、さっそく向かうとしよう。


プライデ君の親戚であろう彼にも、留学生として学校に来るはずの本人の事を伝えておきたいしね。

いろいろやる事があるのだ。



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