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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、魔王をけん制する



せっかくユウキが回復したことだし、戦う前に情報を収集しておくことにする。

まだ未熟とはいえ、勇者として召喚されたユウキをここまで追い詰める相手だ、油断はできない。


普通はここまでボロボロになる前に、彼の光魔法で傷を回復させる事もできるだろうしね。

それが出来なかったという事は、何かしらの必殺技があったという事なのだ。


「それで、魔王と戦ってみてどうだった?」

「……くっ、面目ない。戦った僕が言うのもなんだけど、遠距離魔法で一方的にやられてしまい、なにがなんだか分かってないんだ」

「なるほど」


そういう事ならば、相手は魔法特化型という事で間違いないだろう。

ゼリリンはステータス的に対魔力が高いので、この戦いはかなり有利だな。


しかし逆に、戦士型の多い勇者にとっては天敵ともいえる相手なので、もしユウキを参戦させるなら対魔力を上げておく必要があるだろう。


「それじゃ、僕は今から魔王に挑みにいくけど、ユウキはどうする?」

「当然、行かせてもらうよ。さすがにセリル一人で勝てる相手じゃないはずだ」


いや、一人で勝てるよ。


「なっ!? こんな子供を連れていくというのかユウキっ!! 我が盟友ともあろう者が、血迷ったか!?」

「そうですよ勇者様っ!! この子は確かに変な道具を使えますけど、どうみても子供ですっ」


金髪ロングさんとツインテちゃんが声をあげるが、その認識は間違っていると言わざるを得ない。


俺はちっちゃいが魔法使い相手に絶対的な耐久力を誇るし、変な道具が使えるだけではなく、いろいろな技があるのだ。

現に、ゼリリンパンチは数々の悪を打ち倒してきた。


「王女殿下、勇者リア、自分で言うのもなんだけど、セリルは本物の勇者だし、僕より強いよ。正直なところ、彼が居なければこの戦いに勝つのは難しいだろう」

「バカなっ!? お前よりも強い勇者など居るものかっ!」

「……ははは。それが、知り合いに結構いるんだよ」


知り合いというのは、おそらくタクマの事を言っているのだろう。

相棒の近接戦闘は少し次元が違うからね、接近されるとゼリリンでも危ない。


ちなみに、勇者リアっていうのは金髪ロングさんの事らしい。

装備は豪華だし光魔法が使えるのでそれっぽくはあるけど、強さ的にはAランクくらいだ。

カジノで大暴れしてる騎士団長さんと同じくらいだし、召喚されたにしてはちょっと弱すぎるな。


この国の勇者の定義が分からない。


「金髪ロングさんは勇者なの?」

「ああ、彼女はこの国の聖剣に選ばれた勇者だよ。召喚ではないけど、実力は本物だ。……ただ、今回は相手が悪すぎる」

「ふむ」


なるほど、武器が強いということらしい。

それなら本人の実力に難があるのもしょうがないね、むしろ召喚チートが無いのによくここまで鍛えたものだ。


もしかしたら金髪さんが大けがをしていないのも、武器のおかげかもしれない。

意外と戦力になるのかも?


まあ、なにはともあれ情報は入手できたので、さっそく現地へ向かおう。

城の外にはかなり大きい魔力反応があるし、今は騎士や兵士が食い止めているに違いない。


「だいたい分かった。なら、僕はもう行くね。ゼリリンダッシュ!」

「待ってくれ、僕も行くっ!! ……くっ、相変わらずめちゃくちゃ速いな」


そこらへんはご自由にどうぞだ。





王城を飛び出してから数分、城下町をすぎて平原へとやってきた。

兵士さんや騎士さん、宮廷魔導士たちの戦いぶりを見るに、やはり相手は遠距離魔法型だったらしい。


宮廷魔導士たちが張った結界の中で騎士が盾を構え、遠くからくる魔法を防ぎ続けている。

防戦一方なように見えるけど、勇者が戻ってくるまでの時間稼ぎだと思えば悪くない選択だな。


実力はともかく、戦い慣れている。


よし、ここは一発、意趣返しも込めてゼリリンビームで反撃してやろう。

遠距離攻撃が得意なのはゼリリンも同じなのだ。


「ゼリリンビームッ!!」


膨大な無属性魔力を指に集中させ、解き放つ!


俺が放ったゼリリンビームは米粒くらい遠くに見える魔王に直撃し、大爆発を起こした。

今回はボス戦という事もあり、かなりの魔力を込めたので見た目もハデだな。


土煙がすごい。


「な、なんなのだこの子供はっ!?」

「だから言っただろうリア、セリルは強いって。勇者にしては珍しく、魔法型なんだよ」

「そうだぞ」


だから体の大きさで判断してはいけない。


さて、俺の攻撃により相手の動きも止まったので、今がチャンスだ。

連続ゼリリンビームでけん制を続けている間に、勇者組には魔王に接近してもらうとしよう。


「ぜりぜりぜりっ!!」


おらおら、ビームビームっ!!

ゼリリンビームのシャワーだっ!


完全に怯んでいるようだし、今がチャンス!


「いくよリアっ! おそらく、これが最初で最後のチャンスだっ!!」

「任せてくれ。我が盟友の期待、必ず応えてみせるっ!!」


いや、最後ではないけどね。

まだ魔力の1割も消耗してないし、エリクサーもある。

ただ周りの被害を考えて、ビームをけん制に留めているだけなのだ。


「誰なんだあの子供はっ!? 勇者様の関係者かっ!?」

「関係ないだろ俺たちにはよぉっ! 勇者様たちが戻ってきて、魔王も動きを止めた、勝てるぞこの戦いっ!」

「兵士たちよっ! リア様とユウキ様を援護しろぉ!」

『うぉぉおおおっ!!!』


兵士たちの指揮も上がってきたので、あとはもう流れ作業になるだろう。

……勝ったな。


「ぜりっ(笑)」


しかしそう確信した直後、どこからともなく上空に黒いドラゴンが出現した。

さっきまで居なかったのに、一体どこから出現したのだろうか。


というかこれまずいぞ、ビームでけん制してるから逃げられない。

もしここでブレスを討たれたら直撃コースだ。


『グルォオオオァッ!!』

「ぜりぜりぜりっ!!」


だがビームを止める訳にもいかないので、現状維持である。

ブレスはやめてね。


黒竜さんの顎に魔力が集中してきてるけど、そういうのよくないと思う。


『……黒竜魔法、ドラゴニックダークスマッシャーッ!!』

「ぜりぜりぜりぬぅわあぁあああっ!!?」


結局ブレスを使われてしまったようだ。

かなり眩しい。



ゼリリンがやられたっ!?

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