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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
6章 ゼリリンの魔王邂逅編
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ゼリリン、キノッピの色で悩む



新しく出来た友達である、プライデ・ルチファー君と握手を交わした後、すぐに別行動となった。

プライデ君としては、第一目標であった「俺と友達になる目的」が達成されたため、今回はもうこれといってやる事が無いのだという。


もうちょっと遊びたかったが、残念だ。


まあ、彼も他国の代表としての立場とかあるだろうしね、ずっと遊んでいるわけにもいかないのだろう。

留学生もたいへんだな。


「ただいまー」

「おかえりなさい若、おやつは出来てますよ」


そして宿に戻ると、既に沢山のフルーツが机に並べられていた。

この短時間で全ての準備を終えるとは、さすが母ちゃんの弟子だ。


きっとロックナー領での修行も功を奏したのだろう、これだけの早業なのに疲れ一つ見せていない。

もしかしたら、リグのオリジンスキルである英雄の血によって、包丁の扱いが上達しているのも大きいかもしれないな。


ただ一つ謎があるとすれば、なぜか俺のテーブルにだけハートを模したフルーツが多いことだろうか。

めっちゃ目立ってる。


「花嫁修業もたいへんだね。うむ、おいしい」

「は、はいっ! ですが、こうして形にする事ができるようになりましたっ」

「なるほど」


いつか現れるだろうリグのお婿さんも安心の女子力だ、技術に関しては完璧と言わざるを得ないな。


「オーシャルさんといい、リグちゃんといい、セリルはモテモテだね」

「ぜりっ!?」


待つんだルー兄ちゃんっ!

リグの前でオーシャルちゃんの話題を出してはいけないっ!!


ダメドラゴンさんは働き者のリグと相性が悪いので、話題に出すと彼女の頭に血が上ってしまうのだ。

ゼリリン的にはそう分析している。


「オーシャル……? オーシャル……ッ!!」

「きゅあぁっ!?」


一瞬でボルテージのあがったリグが、勢いよくフルーツにフォークを突き刺した。

怒った顔が無表情なだけに、すごい迫力だな。


ユニッピなんて、勢いに驚いてひっくりかえってしまっているぞ。


「……やはりこうなったか」


しょうがない、もうこうなったら青キノッピの力に頼る他ないな。

くらぇ、キノッピ爆弾っ!


「リグのお口にシュートッ!!」

「あむっ!? ……ふわぁあっ! この味は、天使の施しっ!?」

「ははは。なんだか、リグちゃんの扱いにすごく慣れてるね。仲が良くてなによりだよ」


やはりキノッピの力は偉大だ。


「うーん。お姉ちゃん、ちょっとふくざつ」

「ぜりっ?」


キノッピをシュートしたら、レナ姉ちゃんが複雑そうに口を尖らせた。


……なんてことだ、青キノッピ派の人がこんなに多いなんて。

俺は赤キノッピ派なのだが、赤に人気が無いのは少し残念だったりする。


キノッピの色は6色もあるので、それぞれの色で派閥が分かれる事で有名なのだが、いかんせん俺の知り合いに赤派が少ないのが最近の悩みだ。


ゼリリン的に、いつか布教しなければいけないと思っている。





ロックナー領を旅立って数週間後。

中継地点を転々としながら、ついに王都までやってきた。


この世界の学校には日本と違って始業式とかはないので、夏休みが終わり次第いきなり授業が再開される。

とはいっても、Sクラスの俺は授業に参加するかしないか自由だったりするので、今日はカジノの運営をするつもりだ。


余談だが、プライデ君の姿はまだ見ていないので、きっと遅れてやってくるのだろう。

ゼリリン2号を学校に配置して様子を見ておけば、そのうち現れるに違いない。


それにしてもカジノを2ヶ月ほど放置していたけど、みんな元気にしてるかな。

公国の王女ちゃんなんかもカジノで寝泊まりしているので、一緒にいたゼリリン2号の目線から、だいたいの事は知ってるんだけどね。


経営側では動いてなかった事から、従業員のストレス管理とかが心配なだけだ。


「なんにしても、まずは収納だ。……っとうっ!」


そしてカジノへやってきた。

ただいまゼリリン城。


「おう、セリルじゃねぇか。やっと戻ってきやがったか」

「うむ、夏休みが終わったからようすを見に来たんだ」

「まあこの2か月ほど俺が運営してた感じじゃ、何も問題はなかったぜ? いつものようにルゥルゥが負けて寝込んで、リベンジャーズレッドが無双しているだけだな」


なるほど、相変わらずのようでなによりだ。

というかスーパーミラクルルゥルゥ号、この2か月間まだ一勝もできていないのか、憐れである。


ロリ魔女の開発した育成論のおかげで、スライムのスペックは良いはずなのに、なんでなんだろう。


「よわい、よわすぎる」

「あいつ騎士団長のスライムにしか挑まねぇからな、それが悪いんじゃねえの? 最強のプレイヤーに挑み続ける根性は認めるけどなっ! クハハハハッ!!」

「やはりロリ魔女は頭がいいのにバカだったか」


他のプレイヤーで自信をつけてから挑めばいいのに、なにやってるんだ。

というか、逃げ腰なのか根性があるのか分からないのが本当に謎だ。


どこまでも戦闘に向いていない魔族である。


「まあそれはいいとして、新しい仲間が出来たんだ」

「きゅぁっ!」

「……んん? なんだこいつ、見たことねぇドラゴンだな」


ユニッピが手をあげて挨拶する。

こういう礼儀作法は竜車の移動中に仕込んでいおいた。


「それで、このドラゴンをどう思う? 推測でもいいよ」

「印象的には黒竜と白竜の良いとこどりって感じだが、まあ珍しいことには変わりねぇな。たぶん新種だろうぜ」


タクマやオーシャルちゃんにも分からないとは、やっぱり攻略本さんが生み出した新種で間違いなさそうだ。

鑑定結果はかなり良かったし、今日から真面目に育ててみようかな。


「よし、それじゃあしばらくユニッピを鍛える事にしよう」

「おう、それなら任せろ。この俺が対人戦ってやつを叩きこんでやる」

「なんだタクマ、やけに乗り気だな」

「クハハッ! 面白そうな事は放っておかねぇ主義でな」


種族魔王と称号魔王による英才教育とはこれいかに。

なんか凄そうなドラゴンに育ちそうな予感がするぞ。


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