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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
5章 ゼリリンの大冒険編
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ゼリリン、レナダッシュにも負けない



リグの面倒をみてしばらく、ようやく夕ご飯の時間になった。

きっとオーシャルちゃんの自己紹介に時間がかかったのだろう、いつもより少し遅めな気がする。


俺もそろそろご飯を食べたいので、とりあえず席につかなきゃ。


「ぜりっ」

「やっと来ましたかチビッ子。私などチビッ子族の女王との謁見が終わり次第、すぐに着席しましたよ」

「それは無駄にはやすぎる」


母ちゃんに自己紹介してからずっとご飯を待ってたらしい。

食べる事しか頭になさそうな残念美少女だ。


商談の時はダメじゃないドラゴンさんだったのに、もうダメドラゴンさんに戻ってしまったのかもしれない。

これはもう一回鍛えなおさないとダメだな。


「あらあら、今日のお友達はやっぱり面白い子ね」

「しかし、セリルが町でスライム販売していたところを、この少女が助けてくれたそうじゃないか。現に5匹も売れたと聞くぞ」

「それは凄いね。父さんが買ってきたポーション代を含めても、もう黒字だよ」


スラタロが売れたことで、父ちゃんとルー兄ちゃんの評価を得たようだ。

自分から良いところを売り込みに行くとは、オーシャルちゃんはこういう時だけ頭がまわる。


「5匹で金貨50枚になったよ」

「おぉ、やるなセリル。これは父ちゃんも負けてられないぞ」


泉の都オアシスで、お館様からもらった金貨を父ちゃんにススッと渡す。

これで明日からはご飯が豪華になるハズだ。


それじゃ、今日はたくさん働いたし、ご飯を食べてゆっくり休むとしようかな。

いただきまーす。



──そして翌朝。


今日はレナ姉ちゃんとの約束の日だ。

さっそくロックナー領のギルドに向かい、町で高ランク依頼を受ける事にする。


最初はレナ姉ちゃんの事が少し心配だったけど、仮にもドラゴン族の姫であるオーシャルちゃんが護衛につくので、今はそこまで心配はしていない。


オーシャルちゃんの方も、チビッ子族との大事な会談を成功させた事で、豪華なご飯にありつけたのだと確信している。

完全に誤解なのだが、レナ姉ちゃんの護衛は進んでやる気のようなのでこれはこれで良しだ。


本人曰く、この会談を成功させた事は光竜族でも大きな成果であるらしく、いまなら長にも認められるかもしれない、……とかなんとか。


そもそもロックナー家はチビッ子族とかじゃないので、その話は根本から間違ってるんだけどね。

だが、言っても信じてもらえないのでスルーする事にした。


「ということで、今日は3人で高ランク依頼を受けに行きます」

「お姉ちゃん楽しみ」

「戦闘は任せてもらってもいいですよ、チビッ子族の王家は私が守ります」


どうやらみんなやる気のようだ。


ちなみに、リグは今日も花嫁修業らしいので、母ちゃんとの特訓で忙しい。

学校が再開されるまでは、しばらくこういう日が続くと思う。


今日のお昼は依頼を受けるからという理由で、長時間作業する事を考慮して断っているが、リグは料理の才能があるのでちょっと惜しい気もするな。

お弁当とか頼めば良かったかもしれない。


まあなにはともあれ、ゼリリンダッシュで早速ギルドに向かう事にしよう。


「ぜりぜりぜりっ!」

「レナレナレナッ!」


姉ちゃんがマネしてきた。

全体に合わせて少しスピードを落としているが、それでもついてこれるのは凄い。


レナダッシュも見どころがある。


「チビッ子族はみんな足が速いですね。力の竜族といい関係が作れそうです」

「ぜりぜりぜりっ!」

「レナレナレナッ!」


冒険者ギルドまではもう少しかな?

このスピードならすぐに着くだろう。

町の人々には、高速で移動する子供にビックリして仰天する人も出ているくらいだ。


すでに馬車を数台追い越している。


「ぜりぜりぜりっ! ……うむ、ついたか」

「レナレナレナッ! ……さすがにゼリルンの力を持っているだけあって、お姉ちゃんより速いかもしれない」


うむ。


「ほう、ここが冒険者ギルドですか。確かに人族にしては力の強い者が集まっているようです」


ロックナー領のギルドに来たのは初めてだけど、案外いままで行ってきた王都とかと変わらない感じだ。

ちょっと建物の規模が小さいけど、田舎を基準にしたら大きい方だろう。


さっそく中へ入ってみようかな。


「たのもー」

「……んん? なんだ坊主、依頼を出しに来たのか?」


入ったら突然おっちゃんに話しかけられた。

すごい筋肉だな、ここの冒険者かなにかだろうか。


「ちがうよ、僕はもう冒険者だ。今日は高ランク依頼をみんなで受けに来たんだよ」

「ガハハハハッ!! 面白れぇ冗談だ。……この俺にビビらずにそんな事を言えるたぁ、お前見どころがあるぞ」


褒められたけど、そういう事じゃない。

変なおっちゃんを相手にしていてもしょうがないので、さっさと依頼を探すことにする。


「ふふんっ、このチビッ子が天才だと見破るとは、なかなかやりますね人間」

「おうよっ! 竜人の嬢ちゃんも話が分かるじゃねぇか、こりゃあいい酒が飲めそうだ」

「ふふふふふ」

「ガハハハハッ!」


オーシャルちゃんがおっちゃんと盛り上がってる隙に依頼を探すが、やはり高ランク依頼なんかは見当たらない。

まあ田舎だしね、こんなものだろう。


「姉ちゃん、やっぱりCランク依頼くらいしかないよ」

「セリルは探し方が下手なんだよ。ここはお姉ちゃんに任せて」


依頼には探し方とかいうのがあるらしい。

あんまり冒険者ギルドを活用してこなかったので知らなかった。


「高ランクの依頼はあんまり数が多くないから、他の依頼に埋もれてるの。だから初級依頼の裏をみると見つかるんだよ」

「なるほど」


そしてレナ姉ちゃんが依頼を探すこと数分、Sランクの竜討伐依頼が見つかった。


「……ぜりっ!?」

「大丈夫、ゼリルンとならいける」


いや、どっちかというと、本当にそんな依頼がある事に驚いたのだ。

オーシャルちゃんを連れてきていて良かった。


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