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魔王ゼリリン、異世界を生きる  作者: たまごかけキャンディー
5章 ゼリリンの大冒険編
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ゼリリン、スライムを増やすコツをつかんでいた



お館様とはもっと商談をしたかったが、そろそろ母ちゃんがご飯を作り終わる頃だと感じたので、ロックナー領へと戻ることにした。

俺がいつも転移の隠れ蓑にしているこの森は、家から徒歩10分とかからない近場なのだが、なにぶん母ちゃんのご飯が出来上がるタイミングが不定期なので、早め早めを意識しなくてはいけない。


特に今日はリグが料理を手伝っているらしいので、万が一遅れるようなことがあればお尻ペンペン30回は堅いだろう。

遅れるワケにはいかないのだ。


ということで、さっそくゼリリンダッシュで家についた。


「ただいまーっ!!」

「……あらあら。セリルにしては早いわね? もうすぐご飯が出来る頃なのよ」

「あーっ! やっとセリルが帰ってきたっ! お姉ちゃんと遊ぼーっ!!」

「うむ」


なんとか間に合ったようだ。


レナ姉ちゃんはやる事がなくて暇だったのか、俺を求めて彷徨っていたらしい。

ちょこっと森で遊んだ泥の跡とかもあるし、いつものようにアサシン・レナになってついてきたに違いない。

……しかし俺がなかなか帰ってこないので、飽きて家に戻っていたのだろう。


「今日はゼリルンの日だったの?」

「そうだよ。でも今日はもうゼリリンになっちゃったから、凄いのはまた明日かな」


3歳の頃に約束した事をまだ覚えていたらしい。

確かあの時は、1日1回だけゼリリンになれると適当な事を言った覚えがあるけど、あってたかな。


まあ間違ってたらてきとうに誤魔化そう。


「そっかー、なら明日はお姉ちゃんと冒険に行こっ! ゼリルンとなら凄い魔物も倒せる気がする」

「いいよ」


きっと冒険者ギルドのB級依頼とかだろう。

レナ姉ちゃんと俺は冒険者ランクCなので、一つ上くらいのクエストを狙うに違いない。


依頼を受けるランクに制限などはないが、まあ常識的に考えたらそういう事になる。


「分かった! じゃあお昼ご飯食べたらS級クエストの申し込みしてくるね。お姉ちゃん楽しみだなー」

「ぜりっ?」


……あれっ?


「ゼリルンとならやれるっ!」

「ぜりっ? ……あ、あのっ」

「いぇーいっ!」

「い、いぇーいっ!!」


あ、流れで承諾しちゃった。

まあいいか、きっとこんな辺境にS級クエストなんてないだろう。


きっとそのくらい楽しみだという事に違いない、レナ姉ちゃんはいつも元気でなによりだ。


そしてしばらくレナ姉ちゃんとゼリリンの凄さについて語っていると、父ちゃんが町の買い物から帰ってきた。

背中の大袋にはポーションらしきものが大量に入っているようで、父ちゃんが動くたびにカツンカツンと硬い音を響かせる。


「おかえり父ちゃん」

「おかえりお父さん」

「おう、帰ったぞセリル、レナッ! 町の道具屋から、回復ポーションを50本ほど買ってきた。これでヒールスライムを大量生産できるぞっ」


やっぱり大量に買ってきちゃったか。


あんまりヒールスライムを大量生産しても、田舎の町じゃお金を払える人が居ないと思うんだけどね。

需要と供給とかもいろいろ釣り合ってないのに、いっきに50匹は多すぎると思うよ、たぶんね。


でもスラタロ達のエサは水とかで十分なので、別に飼うのにお金が掛かる訳じゃないからいいか。

売れるまで地道に管理しておこう。


ちなみに、この町の低級ポーションが1つ金貨0.5枚、銀貨でいうと5枚なので日本円で5万円だったりする。

そしてヒールスラタロ.Jrが一匹金貨10枚の、日本円で言う100万円なので、3匹も売ればポーション代含めて黒字という事から、母ちゃんも文句を言う事はないだろう。


バザーの儲かり分もこっそり父ちゃんの財布に忍ばせておく予定なので、きっと明日からはご飯が大盛になるだろうと予測される。


うむ。


「それじゃ、ご飯ができるまでにとりあえず作っておこうかな」

「おう、父ちゃんにも見せてくれ」

「お姉ちゃんにもー」

「じゃあ、僕にも」


父ちゃん、レナ姉ちゃん、ルー兄ちゃんと皆が集まってきた。

あんまり近くにいるとあぶないよ。


「あんまり近くにいると、スラタロに押しつぶされるから気を付けてね」

「……ひぃっ!? 若がまたスライムの大群をっ!? に、逃げなきゃ、逃げなきゃぁ……」

「リグは怖がり過ぎだ」


以前スライムピラミッドに押しつぶされたのがトラウマなのか、リグが遠くで震えだしてしまった。

前みたいに100匹も作らないから大丈夫なのに、心配性だなぁ。


「それじゃ、ゼリリンチャージッ!!」

「スラァアアッ!!」

「よし、うまくいった」


俺の魔力チャージが完了すると同時に、スラタロがぷるぷると震えだす。

青いスライムボディにより深みが増し、体もさらにつやつやしているようだ。


「おおっ! スライムが震えだしたぞっ!! 来るのか、来るのかっ!?」

「わー、スラタロがつやつやしてるー」

「これは……、興味深いね。まさかスライムにこんな能力があったなんて」

「これはスラタロの種族だけがもつ能力だよ。マザースライムと仲良くなったら試してみてね」


ルー兄ちゃんが研究したがってたので、ヒントを与えておく。


……そしてスラタロが震えだすことしばらく、変化が訪れた。

やっと増殖が始まったか。


「スラァァアアアアッ!」

『すららっ』

「おおーっ! 本当に増殖したぞっ! でかしたセリル、さすが俺の息子だ」

「うむ」


計算通り、およそ40~50匹のスライムが誕生したようだ。

増殖量は魔力を込める量で決まるので、最近はだいたいのコツをつかめてきたのがでかいな。


「ひぃいいいっ! 潰されるぅ、スライムにつぶされるぅっ!」

「リグはすこしおちつこう」


それじゃ、地道に合成しますかね。


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