第6話:7vs10
誤字、修正は後日します。
扉をくぐった先にあったのは円形の闘技場だった。観戦客らしき人もちらほらといる。
「俺達がここに来てからあまりたってないはずだが、何故こんなにも人が集まっているんだ?」
凱飛は不思議そうに言っていた。まぁ正直俺らも不思議そうな顔をしていた。
「新しい方が来るとみな、有能な人材を求めてこの闘技場にくるのです」
ニーナはさらに続け
「ですが、個人を引き抜ことはほとんどできません。なので大抵はチームごと引き込んでいます」
「ですがスカウトに応じるのか応じないのかはそのチーム次第です」
俺達には関係なさそうな話だな。俺達はこのメンバーでやっていくつもりだし。チーム変更するにしても加わる側ではなく加える側になるだろうしな。
「まぁ、そのへんのことは試験にクリアしてからです」
そういえばまだ聞いてなかった。
「俺達の受ける試験っていったいなんなんですか?」
ニーナは一瞬暗い顔をしたがすぐに戻り
「あなた達の試練は3人以上VS3人以上のチームバトルです」
「そしてその相手に勝って下さい」
どうやらこの世界で一番定番そうな試練がきた。
「今回はあなた達は7人ですので相手も7人です」
ここで恭雅が久しぶりに出てきた。頼むからいらないことを言わないでくれよ...
「たしか最大10人まで出れるんだよな?」
「ええそうです。一応相手選手は10人以上用意しています」
「なら7vs10でいいじゃないか」
『......』
やっぱり余計なことしか言わない。全員固まってしまったじゃないか。
「そもそも何かピンチだから相手側の人は新米のチームと戦うことになっているんだろ?」
「別に相手が何人でもいいんじゃないか?いま恭雅が言ったこともあるし」
凱飛までこんなことを言い出したよ。別に負ける心配なんて1mmもしてないけどなんか目立ちそうだしなぁ。気にしてないけど。
「あなた達がいいなら彼らにもチャンスですし10人で参加したがると思いますよ」
あ。やっぱり相手側は何かあるみたいだ。
「柊君。別にいいんじゃない?底辺の実力が知れる機会ですし」
うん。完璧舐めきっているね。俺もそのひとりだけど。祐歌だけは少し心配そうな顔をしているが問題ないだろう。
俺は頷き
「ニーナさん。こちらは10人でも構わないと相手選手に伝えて貰っても構いませんよ」
ニーナはすごく驚いていた。
「わかりました。ではあなた達は先に入場していてください。私は相手側にこのことを知らせてきます」
ニーナは言うなりさっさと行ってしまった。
俺達は歩きながら作戦会議をする。
「今回は底辺の方達みたいだから実力はあまり見せないように行こう」
みんなも同感のようですぐに頷き初夏も
「そうね。人数差の件ではあれだけど、弱ければあまり目立たないでしょうね」
祐歌が困った顔をしながら聞く。
「今回は魔術はどの程度使うんですか?」
「そうだな。相手の遠距離攻撃を阻害できる程度の威力のものぐらいかな?」
そして俺は恭雅をしっかりみながら
「恭雅。わかっているだろうな。間違っても大魔術なんて使うなよ」
「わかっているよ柊。僕もそうアホじゃないさ」
最近思っていたが恭雅の厨二病発言が減ってきているな。これはもしかしたら治るのか?
などと簡単な作戦会議をしていると闘技場の真ん中についた。
そして反対側からはいかにも異世界物語に出てきそうな冒険者が10人出てきた。
その10人は手に武器を既に持っていた。
えーと。大剣が2人と槍使いが4人と剣士が1人で魔法使いらしきやつが3人。
など相手を見たまま思っているとニーナさんが、
「あなた達は武器を使わないのですか?」
「あ、いまだします」
そして俺達はクリエーションリングを展開する。指輪はそれぞれの武器へと姿を変える。
俺のは漆黒に赤の線の模様のついた刀だ。
初夏さんは血のような赤の槍。それはあの魔槍ゲイ・ボルグを連想させる。
琴乃葉は両手に2本の連接剣。右手には白に黒の模様のついた陽剣。左手には黒に白の模様のついた陰剣。手元の柄についているリングで操る。
凱飛は迷彩色の2mの大盾。
時雨は今回は真っ黒の弓を展開している。
祐歌は羽を思わせるような弓。
恭雅は黒の杖で先端に短剣がついている。
ニーナを含め他の人も驚いていたがすぐに興味深そうな目で見てくる。
相手選手は...なんだか怯えてるように見えるな。
「それでは軽くルール説明をします」
要約するとこういうことだ。
・腕輪が破壊されたら脱落。
・意識を失うと脱落。
・怪我をしても試合が終われば治る。
・over killで跡形なく消し飛ばされた場合、会場外にあるポップゾーンにて復活する。
「それでは試合を始めます。両者準備はいいですか?」
全員同時に頷く。
ニーナはそれを確認すると
「それでは。レディーセット・スタート」
あ、今のが開始の合図なんだ。相手側が動き出すまで気づかなかった。
そして俺達の雰囲気が変わる。
相手は全員で同時に攻撃してくるようだ。
ならこちらも
「展開、鋒矢の陣」
走りながら陣形を作る。
鋒矢の陣とは矢印の形になり突破力に優れている。
凱飛は大盾を構えて一番先頭へ。その右後側に俺が行き反対の左後側に琴乃葉。凱飛の後には初夏がおりその後に恭雅、祐歌、時雨の順番で並んでいる。
相手は陣なんて知らなさそうだな。
大剣使いの2人が前に出て槍使いが間に入るように後についている。剣士はというと後ろをちょこちょこと左右している。魔法師は杖を掲げ何かつぶやいている。
いちいち長く言うのもめんどくさい。大剣使いは大剣1.2、槍使いも槍1.2.3.4と魔法師1.2.3、剣士は剣士でいいや。
まず先に仕掛けてきたのは大剣1と大剣2だった。
2人は走ってきた勢いをそのままに同時に凱飛へと叩きつけた。
だがそれは凱飛の盾術で両サイドへと流された。どうやら一瞬だがタイミングがズレていたようだ。
相手は叩きつけた勢いにそのまま飲まれバランスを崩す。
そこをすかさず俺と琴乃葉で自分の方へきた方の腕輪を切る。
この一連の他にもう一つの攻防が行われていた。
魔法師1.2.3は火球を30球と風の刃を5枚飛ばしてきた。
それを相殺したのは後にいた3人だ。
「恭雅さん火球の20球はおまかせします。私は残りの10球を。時雨さんは風の刃を」
「「了解」」
遠距離担当の司令塔は祐歌だ。一番的確な指示を出せて他の2人もそれに即座に対応できるというところからなった。
『水の矢:ウォーターランス』
祐歌は水の槍を10本を一瞬で速射した。
そしてすべてが貫きそのまま後ろへと魔法師のところまで飛んでいく。
水の槍は魔法師の足へと刺さり立てなくする。
『喰らいつくせ!水龍』
恭雅は水の龍を操り残りの火球をすべて喰らう。そしてそのまま倒れてる魔術師へと襲い喰らいつくす。
おいおい。結構派手なのやってくれたな。
『風の矢:ウィンドソード・ロタリー』
時雨が放ったのは1つの回転式の風の剣。その風の剣と風の刃が接触した瞬間、豪快な音をたてながら風の刃が霧散した。そして今度は槍使いの後にいた剣士に向かって行く。
剣士は音のするほうを見たという感じにそちらを向くと回転した風の剣が飛んできた。
「なん...」
剣士は何かを最後まで言えないまま腕輪のある部分から下を切り落とされ気絶した。ちなみに腕輪は綺麗に真っ二つだった。
という2つの戦いが同時に行われていた。
そして残された槍1.2.3.4は後衛がやられたことを知らずに突っ込んでくる。
槍1と槍2はさっきの大剣1.2と同じように同時に凱飛を薙ぎ払いに来て、槍3は俺の方へ、槍4は琴乃葉の方へと来る。
槍3は槍を回転させながら上段から振り下ろしてくる。
それを俺は
『影流剣:遅雷光』
槍3は俺へと向け槍を下ろした。彼の顔はすごく笑顔だった。が、一瞬で驚愕の顔へと変わりそして槍は俺には当たらずに床に刺さる。
次の瞬間には雷が一閃し腕輪だけが地面に落ちた。
俺は何をしたこと言うと。
まずはほんの一瞬だけ加速して影だけを先に流しそして俺は相手の無意識かに入り視界から外れ、相手が影を切った瞬間に雷を纏わせた刀で抜刀した。
槍3は雷の影響により麻痺している。
槍4は真正面から突きに行く。
琴乃葉はそれを
『回剣:ツヴァイ』
70cmある両方の連接剣を10cm事に逆回転させる。
槍4の突きを陰剣で薙ぐ。そして陽剣で腕輪のところ刺す。
槍4は腕輪のあった部分をえぐられ、見ているだけで気持ち悪い。
槍1と槍2の薙ぎ払いを凱飛は直前で飛び上がることによって避ける。槍3.4はそれを目で追おうとした瞬間。初夏が
『鳴雷槍舞』
初夏は槍を回転させながら舞う。その軌道は弧を描かずジグザグだった。
初夏が槍1.2とすれ違いざまに腕輪を切る。
こうしてわずか15秒で終わってしまった。
ニーナを含め観戦客も固まっていた。
だが、ニーナは他の人よりも先に回復し、
「し...試合終了!」
あ、終わりの時はなんか普通な言い方だな。
そんなつまらないことを考えながら武器を指輪に戻す。
そんなこんなで一瞬で終わってしまった。
ニーナはこちらへ来ると
「みなさん、お強いですね」
ぎこちない笑みを浮かべながら言ってくる。
「もしかして相手の方達は...その強い方だったんですか?」
「えーと。その前に先に移動しましょう」
たしかにそうだな観戦客が絡んでくる前に移動しよう。
「そうですね」
「では、これから主な施設の説明。住居の選択。などいろいろあるので応接室へ行きます」
俺らはニーナに連れられ闘技場をあとにする。
なんやら闘技場が騒がしかったような気がするが無視しよう。
バトル回でしたけど。相手弱すぎましたねw
次のバトルは強者どうしになるはずです。
初めて書くので下手ですがそこはスルーで